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【特別企画】

パイオニア「BDP-LX88」1万字レビュー − 最高峰モデルの画質・音質を貝山知弘が徹底分析

公開日 2014/12/22 12:12 貝山知弘
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BD映画の映像クオリティ〜画質を探査する

映画のサラウンドサウンドの試聴も行なった。音の広がりや定位では7ch以上のシステムに一歩を譲るが、音のクリアネスや迫力、ダイナミックレンジや周波数レンジの広さ、セリフの自然な響きなどでは私のシステムの方が勝っていると自負している。テストに使用したBDは『アナと雪の女王』『ジャージー・ボーイズ』『ゴジラ』『グランド・ブダベスト・ホテル』『猿の惑星:新世紀(ライジング)』(すべて輸入盤)である。

まず最初に見たのは『アラビアのロレンス』のマスター・イン・4K版/(ソニーピクチャーズ:SBK-12058)。全長227分の長作映画をBD2枚に分けて収録している高画質盤だ。オリジナルソースは70mmの大作映画。途中には数分の休憩がありその間は映像は〈インターミッション〉の字幕だけ。音声では主題曲が流されている。

『アラビアのロレンス』マスター・イン・4K版 (C)1962,1989 COLUMBIA PICTURES INDUSTRIES, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

第一次大戦の時、トルコと戦ったアラブ軍を指揮したイギリス人将校ロレンスの実伝だが、映画としての見どころは現実にアラビアの砂漠に長期ロケーションを行ない65mmフィルムで撮影していること。解像度は35mmフィルムとは比較にならぬほど高い。フィルム傷やノイズを修復したための質感の低下はあるのだが、それを差し引いてもトップランクの解像度と言っていい。広漠とした砂漠の情景は随所に出てくるが、その映像の美しさと広大な情景の描写は例をみないスケールである。風で砂が飛ばされ、情景が時事刻々変わる砂漠の映像は、実写でなければ捉えられぬリアリティがある。時に数千人ものアラブ人をエキストラで起用した映像も、最近流行りのCG処理群像描写では得られぬ迫力がある。

『アラビアのロレンス』(C)1962,1989 COLUMBIA PICTURES INDUSTRIES, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

DISC1では、ロレンスが案内人と広大な砂漠を旅する情景が最初の見どころ。砂漠の始まり地点でふたりが乗った2匹のラクダをかなり引いたカメラで撮影した横移動の映像では、カメラとラクダ、そしてそこからさらに遠方まで広がった砂漠、またその奥にある丘陵を捉えた大ロングショットで、それぞれのファクターの距離感が見事に表出されている。BDP-LX88で再生した映像ではその距離感がリアルに再現され、握り拳のように小さく捉えられた2匹のラクダとそれに乗った二人の姿が克明に見えている。これは大自然の中での人間の卑小さを見せた優れたショットだ。二人が辿る砂漠では、風が砂を巻き上げる情景が随所で見られるが、砂の質感が感じ取れる解像度の高さは、さすが70mm映画といえる次元だ。

ロレンスがたった50人ほどの兵士とともにネフド砂漠を横断するシーンでは、暑さの表現がさまざまな形で使われている。その猛暑の表現は、観客の喉の渇きを引き起こす。かつての封切時、休憩時間に飲み物を求める観客の列が映画館の中にできたことは強烈な体験だった。この映画は人間の生理に直接働きかけた稀にみる作品だった。今回の試聴でも、わたしの喉の渇きは起こった。あらかじめ用意していた水1リットルのビンは、DISC1を観ただけで空になっていたのだ。

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