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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第109回】そろそろ買い時 “Bluetoothスピーカー”はココで選ぶ! 購入ポイント徹底解説

2014/12/19 高橋敦
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▼サブウーファー

磁気回路で前後に振動して空気を揺らし音を生み出すドライバーユニットはスピーカーの心臓部だ。それをどんな構成でいくつ搭載するかというのはスピーカーの超重要ポイント。例えば

●フルレンジ|全帯域を単基で担当
●2ウェイ |中低域用と高域用を各基で分担
●3ウェイ |低域・中域・高域を各基で分担


といったことだ。その場合の各ドライバーは

●高域担当=ツイーター
●中域担当=ミッドレンジ
●低域担当=ウーファー(中低域担当も含む)


のように呼ばれる。

で、そのさらに下の低域〜超低域専用にメインのドライバーの他に割り当てられるのが

●サブウーファー

だ。超低域に特化した設計にできるのでそこの再生能力が高い。映画再生シアターシステムのサラウンド「5.1ch」の「0.1ch」がこのサブウーファーだということからも、その特別感はなんとなく伝わることだろう。

ケンウッド「AS-BT77」はサブウーファーと後述のパッシブラジエーターの両方を搭載

ソニー「SRS-X3」はサブウーファーと後述のバスレフの両方を搭載

もっとも今回紹介しているようなBluetoothスピーカーの場合のそれは、シアターシステムのそれとはちょっと異なる。シアターシステムのサブウーファーは他のスピーカーとは独立した筐体で別の場所にどんと置かれるが、ここでのBluetoothスピーカーのサブウーファーは多くの場合、一体型の筐体のどこかしらにこれも一体化されて搭載されている。また担当する帯域もシアターの超低域とは違い普通に低域で、そこを補強するような役割になる。

とうことでサブウーファー搭載のスピーカーは、他の条件がだいたい同じなら、非搭載のスピーカーよりも低域の厚みや太さに優位を発揮する。

しかし低域をしっかり再生させるにはドライバーの口径をできるだけ大きくする必要がある。するとそれを「本体のどの部分に設置するか?」というのはコンパクトさとの兼ね合いで難しい。ただ幸いにも低音は指向性が低く、どこから音が鳴っているかは中高音とくらべてわかりにくい。なので設置場所の自由度は高い。

ということで多いパターンは、底面や背面だ。特に底面は普通であればスピーカーも端子も何も設置されていないことの多い部分。そこを活用すれば、筐体をあまり大型化せずにサブウーファーを設置できるというわけだ。

▼パッシブラジエーター

役割としてはサブウーファーと同じで、低音を補強するもの。見た目もサブウーファーにそっくりだ。

デノン“Envaya Mini”「DSB-100」はパッシブラジエーターのみ搭載

では何が違うのかというと、パッシブラジエーターには自身を駆動させるための磁気回路が搭載されていない。パッシブラジエーターは、同じ筐体に設置された他のドライバーの駆動による筐体内の空気の動きに応じて共振、それに連動して動かされることで低音を補強するのだ。サブウーファーの働きを簡易的な仕組みで実現するものと考えておけば、おおよそまちがいではない。

利点として、その簡易な仕組みのおかげで省スペース低コストであることは挙げられるだろう。もちろん単純な仕組みだからこそ、設計、チューニングに独特の難しさがあるのだろうが。

▼バスレフ

スピーカーの背面や前面あるいは底面などに何か大きめの穴やスリットを見つけたら、それはバスレフポート、バスレフシステムの空気孔である可能性が高い。そのポートで空気の流れや圧を調整することで特定の低域を共鳴させ増幅させるシステムだ。

TDK Life on Record「A360」はサブウーファー+バスレフ

電気的ではないアコースティックな手法での低域補強という意味ではパッシブラジエーターと似ているが、その音の感触の違いや製品ごとのサイズや形状とのマッチングに応じて使い分けられているものと考えてよいだろう。

なお、このバスレフの考え方を発展させ、長い経路のポートをコンパクトな筐体内に折りたたんで収めるなどして効果をさらに高めたシステムもある。

▼ステレオとモノラル

音声を左右分けて録音&収録して左右別々のスピーカーで再生。左右の定位、音の配置を再現する「ステレオ」は現代のオーディオの基本だ。しかし携帯性や設置性を重視する一体型スピーカーシステムでは、そこを切り捨ててでも小型化を優先した製品もある。つまり左右をひとつのスピーカードライバーで再生する「モノラル」スピーカーだ。

ソニー「SRS-X2」。45mm ×左右+バスレフ

ソニー「SRS-X1」。40mm ×1+パッシブラジエーター

弱点としては当然、ステレオによる音の配置、空間性というのはほとんど完全に損なわれる。一方で、コンパクトな上に部屋のどこに置いてもステレオの定位が狂わないので、どこにでも置きやすい。筒や球、多面体など、形状で音を全方位に放出する製品だと「どこに置いてもだいたい同じ音」という特長がさらに強まる。

なお「コンパクトでステレオ」な製品は、必然的に左右のドライバーの間隔が狭い。そのままでは見かけはステレオだけれど音のステレオ感はあんまり…だったりもする。そこでドライバー設置の向きを外に広げるように調整したり、あるいは信号処理の時点で特殊な音響効果を加えたりして、その点を緩和している製品も多い。ホームシアターの「バーチャルサラウンド」的な設計や機能だ。正直に言うと、副作用として音像が崩れたりする製品も少なからずあるのだが、ムリなくステレオ感を演出できている成功例もある。コンパクトさと広がりを兼ね備える製品を望む場合はそういった設計や機能をチェックしてみるとよいだろう。

あとこのところは、モノラルスピーカーなんだけれど同じモデルを2台揃えて設定するとそれが左右のスピーカーとして動作し、ステレオになるという製品も出てきている。ちょっと面倒だが「家ではステレオ。持ち出すときは片側だけ持ってけばコンパクトモノラル」みたいな使い方もできるのは便利かもしれない。

またまたソニー「SRS-X1」。左右で色違いとか面白いかも

TDK Life on Record「TREK Micro A12」。こちらも防水でお風呂とかでも使えるタイプ

■終わり

というわけで今回は、Bluetoothスピーカーのポイントまとめをお届けさせていただいた。いろいろと確立されてきた印象で、製品スタイルや主要機能が出揃った感がある。なので、もう「選び時」がやってきた感がある。とはいえ、完成度の向上はこれからも続くだろうし、さらに新たなスタイルや機能の提案もあることだろう。引き続き注目しておくべきジャンルだ。

高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi
趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。


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