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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第95回】テレビ周りも絶対領域化!TEACのプリメイン「AI-301DA」自腹導入レポート

公開日 2014/08/15 11:53 高橋敦
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使い勝手の面で地味ながらも重要なボリューム周りについても紹介していこう。本体のボリュームノブは非常に精密なアルミ削り出しで…とかではないが(まあお手頃価格なので)、細かな溝が刻んであって指先に食いついてくれて回しやすい。回し心地の重さも適当だ。

またこのボリュームは無限にくるくる回るタイプではなく、時計の7時をゼロ位置として5時を最大として位置が固定されているフィジカルなタイプ。個人的にはこちらの方が感覚的に操作しやすい。ただしボリューム位置を示すドットが薄い色なので、離れた場所からボリューム位置を視認するのは難しい。

おおよそ使いやすいボリュームノブ。ドットはもう少し濃い方がうれしい

ボリュームの幅や変化の具合は、B&W CM1というスピーカーと組み合わせてテレビ視聴を主にする場合においては、最大音量が大きすぎて小音量での細かな調整は少しやりにくい感はある。僕が日常的に使うあたりの小さな音量での調整だと、ノブをわずかに動かしただけで音量がガクンと大きく変化してしまう範囲があるのだ。しかし致命的に使いにくいというほどではない。

リモコンからのボリューム操作はこの価格帯にして、本体のボリュームノブをモーター駆動で動かすというこれまたフィジカルな手法を採用。何となくうれしい。

コンパクトなリモコン。再生操作関連のボタンは同社CDプレーヤー「PD-H01」に対応(BluetoothやUSB用ではない)

リモコンのボリュームボタンはワンプッシュでは微妙な増減しかしないが、押し続けるとぐいっと増減する。いまのところの僕は「独特な挙動だな」と感じているが、使い慣れれば微調整からざっくり調整までいけそうな気もする。

■DSD対応のハイレゾUSB-DAC機能も搭載する「AI-301DA」

さて、今回はそれをメインでは考えていなかったが、本機はUSB-DACとしての入力も備えていて、192kHz/32bit、DSD128対応というハイスペックだ。これを生かしてのハイレゾ再生もシステム運用の視野には入れてある。というわけでその場合の実際の運用スタイルがこんな感じ。

せっかくのハイスペックなのにこのこじんまり感…

USBケーブルは背面端子に差しっぱなしで、PCにつなぐ側は普段は樹脂カバーで保護

なおシステム全体としては、アンプがBluetooth対応、Apple TVがAirPlay対応なので、ワイヤレス再生の選択肢も抜かりない。

さてこのシステムの音質だが、まあこのアンプそのものの音のよさというのは、もちろん十分なレベルだ。僕の自宅ではそれこそテレビを見るとき程度の音量でばかり鳴らしているのでその真価を発揮させているとは言い難い。しかしその小音量再生時でも、スピーカーをしっかり把握してバランスよく鳴らしてくれているという印象を受ける。

とはいえ今回の場合では、この製品だからどうこうという要素よりも、「テレビ内蔵スピーカーからオーディオアンプ+スピーカーのシステムへのグレードアップ!」という大枠の進化の意義の方が絶大だ。

例えばテレビ放送アニメをいつも通りに見ても、「場面の空気感を重苦しくする重低音が背景にうっすら流されている」「ステレオの幅や位相を工夫してある種のバーチャルサラウンド的な効果を使っている」といった音響効果が、明瞭に届いてくるようになった。低音側の再現性の余裕や、左右のスピーカーの間隔の適切な広さ、定位の正確さ等を確保している、オーディオアンプ+スピーカーのシステムだからこその再生能力のおかげだ。

僕は自分の用途要望に合うのはこれだということでこのAI-301DAを選んだが、他にも例えばOlasonic「NANO-UA1」は同じく光デジタル入力装備で大きさはAI-301DAよりもさらにコンパクト。光デジタルにこだわらずヘッドホン出力からのアナログ接続でいいやと割り切れば、アンプの選択肢はさらに広がる(最近の低価格帯のテレビだとそもそも光デジタル出力が用意されていない製品もあるし)。いずれを選んでも、適当なアンプと適当なスピーカーの組み合わせであれば、大きな効果を得られるはずだ。

ということで今回は、僕の自宅テレビ周りへのオーディオアンプ+スピーカーシステムの導入、そのキーアイテムとなってくれたTEAC「AI-301DA」を紹介させていただいた。僕は完全なるフェンダー派である上に、愛用していたシーケンサー「Vison」が買収→消滅となったこともあり、ティアックがギブソン傘下となったことには複雑な心境だ。しかしこの製品は、そんな心情はさておいて「これはよさげだ!」と購入する気分になり、そして「買ってよかった!」と思えるものだった。このように言えば、僕のこの製品への満足度は強く伝わるものと思う。


高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi
趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。


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