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4名の評論家が週替わりでオーディオを語る

岩井喬のオーディオスクランブル【第1回】ソニー「PCM-D100」と真空管アンプでDSDの魅力を引き出す

公開日 2014/07/28 10:15 岩井 喬
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■PCM-D100と管球アンプだからこそ引き出せたDSDの音楽性

この後、改めて同じ音源を本来のリファレンス環境で聴き直してみたが、逆に音ヌケが悪いのではないかと感じてしまい、一瞬たじろいだ。むろん解像度や音の純度感については気を遣ってシステム作りをしているので、そうしたことはないはずなのだが、PCM-D100と管球アンプによるサウンドの魅力の高さは、音の善し悪しとはまたベクトルの違う、音楽そのものの世界観を聴かせることができる組み合わせであったのだと実感するに至った。

写真右端の整流管80は、ブランドが売却される以前の米国産TUNG-SOL製・刻印モデル。出力管45はナショナルユニオン製・刻印、77はKEN-RAD製でアメリカ海軍向けのもの

自作の腕はまだまだ未熟ではあるが、改めて管球アンプをまた作ってみたい、そしてこの45アンプを見つめ直したいと思う試聴体験となったのである。近いうちにウェスタン・エレクトリックの製品で使われていたNassauのハンダを入手できる予定なので、現在のアンプで使っているケスター“44”を取り除き、Nassauに交換してみたいと考えている最中だ。



【筆者プロフィール】

岩井喬
1977年・長野県北佐久郡出身。東放学園音響専門学校卒業後、レコーディングスタジオに勤務。その後大手ゲームメーカーでの勤務を経て音響雑誌での執筆を開始。現在でも自主的な録音作業に携わる。プロ・民生オーディオ、録音・SR、ゲーム・アニメ製作現場の取材も多数。小学生の頃から始めた電子工作からオーディオへの興味を抱き、管球アンプの自作も始める。 JOURNEY、TOTO、ASIA、Chicago、ビリー・ジョエルといった80年代ロック・ポップスをこよなく愛している。

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