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Reference 501シリーズ 徹底解剖

ついに登場、「501」のバランス対応プリメイン − ティアック「AX-501」を聴く

公開日 2013/12/27 10:54 高橋敦
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S/Nやスピード感が高くハイクオリティなサウンド


ティアックのReference 501シリーズはブラックだけでなくシルバーモデルも用意されている
では、実際に音を確認してみよう。もちろんUD-501との組み合わせでバランス接続。スピーカーはモニターオーディオの最新フロア型Silver 6だ。

まずは上原ひろみ「MOVE」を聴く。ピアノトリオによるアグレッシブな演奏だ。

最初に印象的なのは音場の背景の静かさ、透明度だ。オーディオ的な言葉で言うと、S/Nの良さということになる。おかげでシンバルの余韻の消え際の美しさであるとか、全体を常に満たす細やかな空気感であるとか、微細な成分を豊かに感じることができる。音場の広がりの良さもこのおかげだろう。

音調は好ましい硬質さや明るさを備える。ベースやドラムスはタイトでスパッと抜けが良い。少しドライな感触で現代的なスピード感を良く再現。ドラムスは一打ごとの抜けっぷりと収まりの良さで、手数が極度に多い場面でも音が密集して潰れる感じがしない。

スネアやシンバルは、きつい高音で悪目立ちするのではなく、自然な明るさでぱっと際立つ。低音のドライなスピード感と合わせて、ロック好きの方に向けて言うならば、ブリティッシュな湿り気ではなくアメリカンな明るさという印象だ。

続いてはエレクトロなサウンドを聴いてみる。Perfume「Enter the Sphere」と「Baby cruising Love」。

冒頭からバスドラムがドォゥオゥンと大きく響き、それが音場を支配し続けるが、その響きは盛大でありながらもクリアで、他の音を邪魔しない。ここがまずいと音場が常に飽和している感じになってしまうが、本機はアンプの力で低音を確実に御している。そのバスドラムを中心にリスナー前方全面が面で鳴っているかのような、独特の迫力の空間処理も見事に再現する。

素晴らしく秀逸なのはボーカルの立ち姿。三人の声が絶妙に計算された配置で現れては消える様子が、ホログラフィック的な人造の現実感で描写される。オーディオの言葉で言うならば、音像の明瞭度と定位がとても素晴らしい。声の本体に遅れて現れるディレイ成分の緻密な処理もクリアに描き出し、それも合わさって前述のホログラフィック感が生み出されている。

アンバランス接続での音質も確認した。バランス接続と比べて中低音のまとまった厚みを増すが、代わり中低音が少しもたつく感もある。また全体のクリアさはやはりバランスが上で、基本的にはバランス接続がおすすめだ。だがもちろん、両方を試して自分の好みに合わせて選ぶ、曲や気分に応じて使い分けるというのも、オーディオらしい楽しみ方だ。

ヘッドホン再生は、駆動しにくさとしっかり駆動できたときの音の良さに定評のあるbayerdynamic「T1」で確認した。一言で言えば「T1の音」を十分に楽しめた。UD-501のヘッドホン出力では、低域側を出し切れずに高域とのバランスが少し崩れる感があったが、AX-501では適度なバランスが確保される。

ヘッドホン出力の音質はbayerdynamic「T1」でチェックした

期待に応える仕上がりだ。アンプに特化したAX-501の登場によって、USB-DAC内蔵で単機でシステムの核になれるAI-501DAの立ち位置もより明確になった。シリーズ全体の完成度をぐっと高める新モデルだ。

(高橋敦)

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