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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第52回】Androidとデジタル接続! iBasso Audio新ポタアン「D zero-SE」レビュー

公開日 2013/07/05 11:05 高橋敦
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Androidスマホと組み合わせて音質チェック!

まずはやはり、本命のAndroid-USB接続の音質が気になるところだ。GALAXY S IIIのヘッドホン端子にヘッドホンを直結した状態の音を確認してから、続いてUSB接続でD zero-SEを追加。再生アプリはGALAXYに標準搭載の「メディアプレーヤー」を使った。イヤホンはSHURE「SE535」を使用した。

付属ケーブルで接続するだけで何の設定も必要なくD zero-SEから音が出た!

画面サイズ4.8インチのGALAXY S3がでかくてD zero-SEが小さいので重ねるとこのような対比に

これは…結論からいうと効果大!

GALAXY S IIIのヘッドホン出力は、意図的にだと思うが低音をかなり強めに出す。このボリューム感があるわかりやすい低音を好む方もいるだろうが、しかしその低音が全体にもわっと広がって、他の音を邪魔している感も否めない。音色の感触も強めのソフト傾向で、聴きやすいのだが精密感に欠ける。

そこにUSB接続したD zero-SEを通すとそこが一気に解消!低音がシェイプされて全体の見通しが格段に向上。また高音のキレや質感も見違える。もはや別物だ。

具体的に見ていこう。

上原ひろみさんのピアノトリオによるアグレッシブな演奏が印象的な「MOVE」。まず前述のように、低音がもわっと広がっていたところはほぼ完全に解消。ベースやドラムスの厚みや太さは十分に確保しながら余計な膨らみや響きを控えて、ベースやドラムスの音色自体がすっきりするし、音場全体もすっきりする。

それとの相乗効果もあり、シンバルの抜けや細かなフレーズの描き込みといった部分でも違いは大きい。といっても音色の鋭さや解像感を主張しすぎる感じでもなく、バランスのよくなった音場の中から細かな音も自然に届いてくるといった様子だ。実に真っ当に整えられた音と言える。

ポップユニット相対性理論の「ミス・パラレルワールド」でも同傾向の改善を実感できる。印象的なところを挙げていこう。ベースの低音をシェイプしながらもブリブリとした弾力でドライブ感を出してくれるのは、こういったアップテンポの曲では特に気持ちよい。またハイハットシンバルの抜けや開閉のキレもよいので、GALAXY直結ではもたっとしてしまっていたこの曲のスピード感もこちらでは見事に伝わってくる。

高音の具合の良さはボーカルでも感じられる。高音が綺麗に伸びているおかげだと思うが、ボーカルの倍音感がシャープになりすぎずにふわっとした柔らかさも備えている。耳に刺さらない心地よい歌声にしてくれて嬉しい。また低音が広がらないおかげで音場に余白が生まれ、空間性も豊かに感じられるようになる。

井口裕香さんの「Grow Slowly」は爽快で伸びやかなロックサウンド。心地よく深めに歪ませたギターが歌と並んで曲を引っ張る。…のだが、GALAXY直結ではギターの低音に厚みがありすぎて歌を邪魔してしまっていた。D zero-SEを通すとそこはやはり解消される。声とギターの分離が明瞭になり、それぞれ抜けがよくなる。

ギターは高音の具合も格段に向上。リズムの刻みのザクザクとしたキレやピッキングハーモニクス奏法のキュイーンという突き抜けっぷりもさらに楽しめるようになる。もちろん歌の細かな表現もより生き生きと届いてくるので、歌の様々な表情を感じ取って感じ入りたい方も納得だろう。

次ページ徹底試聴は続く! USB以外の接続パターンでも音質チェック

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