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【特別企画】兄弟機「W1080ST」との連続視聴第1弾

3D&フルHD対応で10万円以下のハイCP機 − BenQのDLPプロジェクター「W1070」実力徹底解剖

公開日 2013/04/19 10:18 鴻池賢三
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映像の明るさは、一般的なオフィスの基準である150ルクス程度の照明のある部屋で、100型相当の大きさで投写しても、充分に映像を見る事ができた。「BrilliantColor」機能をOnにすると、 さらに明るく色も鮮やかに見える。実際の視聴感でも、測定上のデータからも、「BrilliantColor」は原則Onで良いだろう。

■DLPらしからぬ設置性

設置性の良さも本機の魅力のひとつだ。一般的にDLPタイプのプロジェターは打ち上げ角が大きい。例えば、卓上に本体を設置すると、投射光が天井にかかるほど高く上がってしまうケースが多く、適度な高さに投射するには、本体を床置きするか天吊りを迫られるなど不便があった。しかし本機は打ち上げ角が液晶プロジェクターと同等の印象で、今回の検証では、ローボードの上に設置して、適度な高さに投射する事ができた。

また、レンズシフトは、100インチ投射時で±15cm程度の調整ができた。マスクのあるスクリーンに投射する際、微調整に活用できる。それ以上に画面を高くしたい場合は、前脚をワンタッチで伸ばして台形補正で対応できる。

ワンタッチで前脚が伸び、高さ調整に利用できる

併せて、100インチ投射に必要な距離は最短で2.54mと比較的短くて済むので、リビングでソファーの前のテーブルに置くような設置イメージにピッタリとはまる。水平方向の傾きは、ネジ式の後ろ足を回して微調整が可能と抜かりない。

ファン騒音は大型のホームシアター専用プロジェクターに比べるとやや大きい印象だが、音色はマイルドで耳触りは悪く無い。少し距離を離せば気にならないだろう。一般的な小型データプロジェクターに比べるとずっと静かで、アクション映画やゲーム用途なら、全く問題の無いレベルだ。

■「クラスを超えた3D画質など価格以上の価値がある優秀モデル」

フルHDに期待する高密度で滑らかな画、ナチュラルで忠実な色再現性能、クラスを超えた3D画質など、価格以上の価値がある優秀モデルだ。デザインの良さ、外観の質感の高さも、同価格帯の製品に比べると品位が高い。

敢えて気を付けたいポイントを挙げるとすれば、内蔵スピーカーの音質はオマケ程度で小音量時に微調整ができず、映画鑑賞には適さない。ファンの騒音はホームシアター専用機に比べるとやや大きいのも覚悟しよう。レンズで映像の拡大縮小を行う際、ピントを保てないのは驚いたが、希望の画面サイズは得られるので、この点は本機を検討する上で問題とならないだろう。

ただ、あえて厳しい指摘も書いたが総合的にみて、10万円以下でフルHDの画を手に入れたいユーザー、そして、しっかりとした3D再生能力を持つプロジェクターを手頃な価格で手にしたいユーザーにはおすすめしたい好製品だ。


【著者プロフィール】
<鴻池賢三 Kenzo Kounoike>
THXISF認定ホームシアターデザイナー。ISF認定映像エンジニア。AV機器メーカー勤務を経て独立。現在、AV機器メーカーおよび関連サービスの企画コンサルタント業を軸に、AV専門誌、WEB、テレビ、新聞などのメディアを通じてアドバイザーして活躍中。2009年より(社)日本オーディオ協会「デジタルホームシアター普及委員会」委員/映像環境WG主査。

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