音質・画質・使い勝手を徹底チェック

【レビュー】全面刷新した第5世代「iPod touch」の実力をチェック

編集部:風間雄介

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2012年10月12日

■いよいよ音質チェック!ウォークマンとも比較

本機は様々なアプリを動かせるスマートデバイスなので、ここまで見てきたように、動画再生ビューワー、静止画/動画カメラなど様々な使い方が可能なのだが、iPodの名を冠していることもあり、やはりその音楽再生能力は非常に気になるところだ。

今回はiPhone 5やiPhone 4Sとの比較だけでなく、ソニーのウォークマン新モデル「F800」シリーズも用意し、新iPod touchと比べてみた。使用したヘッドホンはSHURE「SRH940」で、ウォークマンのイコライザー、VPT、DSEE、クリアステレオなどの高音質化技術はオフにして試聴した。

ソニーのウォークマン新モデル「F800」シリーズも用意

まずオスカー・ピーターソン・トリオ「You look good to me」をiPod touchで試聴。ダイナミックレンジが広く、抑揚をドラマチックに描き出す。中域の押し出しが良く、ピアノの音が非常に滑らか。ウッドベースの胴鳴りもしっかり響かせ、最低音域も深く沈み込む。解像感が高く、高域のヌケも良い。ブラシの実在感を克明に描き出し、シンバルの音も伸びきっている。

続いてウォークマンに換えると、iPod touchに比べてS/Nがぐっと良くなることがすぐに実感できる。サウンドは全体的にマイルドで、高域と低域の両端はある程度伸びるが、中域はおとなしい印象。華美な演出とは縁が無く、素材の良さを引き立たせる方向性で、全体的な音のまとまり感が良いと感じる。低域の制動力も高く、ウッドベースの微妙なニュアンスを、iPod touchに比べて克明に描き出す。

iPhone 5にプレーヤーを変更すると、高域や低域は出ているが、細かな音の描き分けができず、解像感が足りないことを不満に感じる。全体的に音が平板な印象なのだ。集中して聴き込まなくても、たとえ圧縮率の高めの音源であっても、iPod touchやウォークマンとの音質差は明確にわかるレベルだ。

ドクター・ジョン「On the wrong side of the railroad tracks」でも同じ傾向が確かめられた。iPod touchではジョンの特有の粘り気ある声が克明に描き出され、エコーの掛け方さえ明瞭に見通せる、見事な描写力を見せる。音場の広がりも豊かだ。ウォークマンではその粘りが少しおとなしくなるが、その代わりヌケが良く、スッキリ爽やかなサウンドが楽しめる。iPhone 5は、このボーカルに対する相性は良いようで、iPod touchやウォークマンほど細かなニュアンスは表現できないものの、押し出し感や粘り気は十分表現できていた。

女声ボーカルは山口百恵「さよならの向こう側」でチェックした。これもほかの楽曲と同じ印象で、メリハリをしっかりと描き出すiPod touch、S/Nが良く滑らかな音が特徴のウォークマンという構図は変わらない。対するiPhoneはボーカルが後ろに引っ込んだように生気がなく、背景楽器との分離も良くない。

ハイトーンの男声ボーカルを聴いてみたら、なぜか、ほかの楽曲とは印象が異なった。コリン・ブランストーン「I Don't Believe In Miracles」では、iPod touchは声のハスキーさがウォークマンに比べ目立ち、やや乾いた、平板な印象となる。ウォークマンの方が声の滑らかさをよく伝え、ボーカルの抑揚がよりダイナミックに出てくるので、歌い手が一歩前に出たような臨場感が得られる。対してiPhone 5は、これまた音楽専用プレーヤーと比べるとかなり残念な印象。ボーカル域をこってり濃厚に味付けしているのだが、声の細かなニュアンスを伝える解像感がないため、ベタッと平板な音になってしまうのだ。

iPhone 5は、まだお持ちの方が少ないため参考にしづらいかもしれない。多くの方がお持ちのiPhone 4Sとも比べてみたが、音のメリハリや音場の広がり、さらにはS/Nの良さなどは、やはり専用機2モデルと大きな開きがあったことを報告しておきたい。

音質を重視するならやはり再生専用機というのが結論だが、ではどちらが良いのかというと、iPod touchとウォークマンは、そもそも狙っている音の方向性が全く異なるため、優劣を付けることは難しい。ざっくり言うと、こってり濃厚な音が好みならiPod touch、すっきり爽かな音で、もとの素材を素直に引き出したいならウォークマンがおすすめだ。



新iPod touchは、画面サイズや解像度はiPhone 5と同じで、処理能力やカメラ機能はiPhone 4Sと同等レベルと、非常にハイスペックな仕様を備えている。価格も32GBで24,800円と値頃感があり、毎月の通信費用などのランニングコストが必要ない点も大きな魅力だ。

iOS用のアプリを手軽に楽しみたい方、ほかのスマートフォンを使っていて使いやすい音楽プレーヤーを探している方、4インチのワイドなRetinディスプレイで動画を再生したい方など、多くの方にオススメできる傑作モデルだ。

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