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折原一也のCESレポート(1)

<CES>ソニー“Crystal LED”とサムスン/LG 有機ELの画質を比較する

公開日 2012/01/13 14:25 折原一也
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■「究極の高画質」ソニーの“Crystal LED Display”

既にニュース記事山之内 正氏の画質レポートをご覧の方も多いかと思うが、有機ELディスプレイとは全く異なる方式として、次世代ディスプレイ“Crystal LED Display”が発表された。55V型でフルHDのデモ機がCES会場で初披露されたのだ。ソニーがかねてから研究中としていた「新方式のディスプレイと呼んでいたものの正体が明らかになったのだ。

ソニーのプレスカンファレンスで名称が明らかになった“Crystal LED Display”

RGBの画素それぞれに対して200万、合計600万のLEDを並べたディスプレイである。LEDというと、サムスンが北米においてマーケティング目的で使っていた「LED TV」(LEDバックライト搭載液晶テレビ)がある。外国メディアは特に混同しそうで心配になるが、“Crystal LED Display”は液晶のバックライトではなく、LEDそのものを発光させて画面を表示する。技術的には屋外などで用いられる大型LEDディスプレイを小さくしたものと考えるとわかりやすい。

画質のインプレッションとしては、デモソースはビデオカメラで撮影された、自然な映像に近いものを視聴できたので、先に紹介した有機ELの2モデルよりも正確な評価が行える。

会場の実機を見て確認した画質はハイコントラスト(暗所コントラストは測定限界以上、明所コントラストは液晶テレビ比で3.5倍)かつ極めて広色域(従来比140%)で、さらに240Hz駆動の液晶がぼやけて見えるほどに動画応答性に優れている。

至近距離に近づいて画素を見ると、開口率の低いプラズマのように見えるが、実際に映像を視聴する上で、特にそれが問題となることはない。

角度がついても色変化のない表示特性も特徴だ

■映像の美しさでは“Crystal LED Display”に軍配

同一ソースで比べることはもちろんできなかったが、サムスン/LGの有機ELと、何度も往復して画質を見比べてみた。

現段階の結論としては、映像の美しさでは間違い無く“Crystal LED Display”に軍配が上がる。視野角は真横に近い位置まで色変化なく表示できる特性を持ち、さらに55V型サイズで70Wという、現行液晶テレビと比較してもトップクラスのエコ性能を持つ。まさに究極のディスプレイといったところだ。

現地説明員によると、LEDはプラズマのようなサブフィールドを使った発光時間によるコントロールではなく、有機ELと同じようにLED個別の発光量自体をリニアに調整するという、究極のローカルディミングが可能な特性を備えている。

また、LEDはナノsecレベルの時間で発光できるため、ミリsec単位である液晶とは、文字通りケタ違いの応答速度を備えている。これが、動画でも静止画の連続のように見えるほどの動画解像度につながっている。

なおLEDの応答速度は非常に速いが、ディスプレイモジュールとしては一画面全体を同時には書き換えられないため、リフレッシュレートを設定して順次書き換えを行っている。ただしLEDはデバイスそのものの応答速度が高速なため、たとえば240Hzなどで駆動する液晶ほどリフレッシュレートを上げる必要はなく、デモではモアレの発生を避ける目的で、60Hzより速い程度のレートで表示しているとのことだった。

展示されていた実機は厚木の研究所と半導体事業部によって作られた技術デモ用のもの。量産化にはラインの立ち上げなど、まだまだハードルはあるものの、展示品の55V型から大型化・小型化どちらの方向に進んでも、技術的に大きな課題があるわけではないという。

価格については、量産も始まっていない現状で論じる段階にはないが、「将来的な発売を見据えた上でのデモ展示」とのことなので、今後の動向を期待して見守りたい。

(折原一也)

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