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上質な音楽リスニングのカタチ

PCオーディオの新スタンダード ー TEAC「Reference01」「S-300NEO」を聴く

公開日 2011/12/21 10:04 レビュー/岩井 喬
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上質な音楽リスニングのカタチを実現する“Reference 01”シリーズ

“Reference 01”シリーズは横幅215mmという、2台横に並べればフルサイズの単品コンポと同じ幅となるコンパクトさを身に纏ったオーディオシステムである。この“Reference 01”を含めたReferenceシリーズは、リーズナブルなエントリークラスの“Reference 200”、シリーズの中核をなす“Reference 380”、AirPlayに対応し、ネットワーク機能、インターネットラジオ再生やiPodデジタル接続も可能にした“Reference 700”、シリーズ最上級となる高品位システムの“Reference 600”から構成され、ミニコンポ〜ハイコンポサイズの本格的なオーディオシステムとして展開してきた。

ここ日本ではEARNESTシリーズ以降、TEACブランドでのハイコンポシステムの展開は途絶えていが、2008年に前述したReference 380シリーズが登場し、久々に本格的なオーディオの系譜が復活したという印象を我々に与えてくれた。そうしたシリーズの歩みの中、PCオーディオの全盛を受けて新たに誕生したのが“Reference 01”シリーズだ。

アルミフロントパネルを主体としたシルバー色と天板のグロスブラック・アクリルパネルが独特なコントラストとなっているが、これはハーフコンポ幅という点も含め、iPadを意識したものであるという。わずかにラウンドさせたフォルムやパネル上部の傾斜カットは同社が擁するハイエンドブランドの“ESOTERIC”にも繋がる意匠に感じられる。現在、“Reference 01”シリーズとしてラインナップされているのはUSB-DAC「UD-H01」、USB入力搭載のデジタルプリメインアンプ「A-H01」、iPodやiPadのデジタル接続に対応したデジタルドッグステーション「DS-H01」の3モデルである。“Reference 01”シリーズはオールインワンを目指す一体化の流れよりも、コンパクトな単品化を目指す流れの中にあり、iPodなどのポータブルオーディオから本格的なオーディオへの入り口となるようなポジションであると同時に、かつてオーディオが好きだったユーザーが再びオーディオを始めるきっかけになりえるような、手軽さと高品位を兼ね備えた製品群であるといえるだろう。


ティアックの先端・高音質PCオーディオ技術を詰め込んだ「UD-H01」

Reference 01シリーズの一号機として登場したのが192kHz/24bit対応のUSB-DAC「UD-H01」である。DAC部は192kHz/32bit処理が可能なバーブラウン製DACチップ「PCM1795」を各チャンネルに1個搭載したデュアル・モノラル構成としており、左右間の干渉をなくしてコンバーターの能力を高めている。すべてのデジタル入力は本機内部で192kHzアップコンバーションを行い、高精度な内部クロックによってジッターも低減。補間アルゴリズムには高比率非同期サンプルレート変換を行うASRC回路を採用しており、192kHzよりも高いサンプリング周波数でデータを補間し、その中から192kHzごとのデータを抽出、FIRフィルターでの不要データ除去を行いサンプリング誤差が大幅に低減しているという。

192kHz/24bit対応のUSB-DAC「UD-H01」

アナログ回路も左右対称パターンレイアウトを採用し、オペアンプにはIV変換性能に優れるFET入力オペアンプ「MUSES8920」を用いて高音質化を実現。デジタル段だけでなく、アナログ段もデュアル・モノラル構成を貫いている。ヘッドホン出力にもライン出力と同等のオペアンプを用いた豪勢な作りとしているほか、この価格帯では珍しいバランスXLRライン出力を搭載するなど、コンパクトなボディを感じさせない密度感あるつくりだ。入力はUSBのほかに、光と同軸を各々1系統ずつ装備。電源においてもACアダプターを使わず、IECコネクタによるACケーブル仕様としているので、オーディオグレード品との交換も可能である。DAC段の電源にはシャントレギュレーター回路を投入し、高速処理時における供給電圧の負荷変動から引き起こされるグランドノイズを抑えており、総合電源部の小型ながらも大容量なトロイダルコア電源トランスとともに、音質の底上げを図っている。

アルミフロントパネルをはじめとしたシルバーと、天板のグロスブラック・アクリルパネルによるコンビカラーを採用。わずかにラウンドさせたフォルムやパネル上部の傾斜カットなどもデザインの特徴だ

UD-H01の筐体内部。アナログ回路の設計は左右各チャンネルの信号経路が同一の距離になるよう、左右対称にパターンレイアウトするなどシンプル&高音質を追求した


高品位なヘッドホンリスニングやゲームを楽しむのにも最適

「UD-H01」は小型軽量なUSB-DACであるので、デスクトップ上へ置いても圧迫感がない。しかもコンパクトモデルにありがちなデザインのチープさとも無縁なので、ハイレゾ音源の上質なサウンドとも合致したイメージを持たせることもできる。デスクトップでの活用法としてはデジタル入力付きヘッドホンアンプとして、PCとUSB接続して楽しむほかに、背面のライン出力をデスクトップ用のアクティブスピーカーに接続して使うようにすれば、サウンドボードからのアナログ出力からでは得られない、純度の高い鮮やかな音がアクティブスピーカーからも楽しめるようになる。光デジタル入力の活用においては、ゲーム機の接続も可能であり、「PS3」ならば音楽CDの176.4kHzアップサンプリング出力をそのまま受け取ることができる。

デジタルオーディオ入力はUSBのほか、同軸/光端子を搭載。出力側にはXLRバランス端子も備えたほか、電源ケーブルも自由に交換できる本格的な仕様としている

一方、アンプやスピーカーといった単品コンポーネントに「UD-H01」を加えれば、PCからのサウンドをより鮮度高く楽しめること以外に、バランス接続が可能なDACとしての活用も期待できる。ヘッドホンアンプとして活用する場合においても、USB-DACがデジタルセレクターとしての機能も持っていることに加え、DAC部が一体化した構成となっているので、最短経路でのシグナル伝送によって信号の劣化を抑えることができるのだ。



UD-H01 ¥OPEN
【SPEC】●DAコンバーター:192kHz/32bit(バーブラウン1795)×2 ●USB入力:High-speed ●USB転送モード:アシンクロナス(非同期)・モード ●デジタル音声入力:USB/光デジタル/同軸デジタル ●入力データサンプリング周波数:192/176.4/96/88.2/48/44.1/32kHz ●入力データビット長:24/16bit ●アナログ音声出力:RCAピンジャック/XLRバランス ●周波数特性:5Hz〜55kHz(-3dB、サンプリング周波数192kHz) ●SN比:115dB ●歪率:0.0015%(1kHz、サンプリング周波数192kHz) ●消費電力:13W ●外形寸法:215W×61H×231Dmm ●質量:1.5kg ●問い合わせ先:ティアック AVお客様相談室 TEL/0570-000-701

>>ティアック「UD-H01」製品情報ページ
>>製品データベース「UD-H01」


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