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画質・機能・デザイン充実の高バランスモデル

新技術「ハイスピードUV²A」の威力とは − シャープ“AQUOS”Z5ラインの実力に迫る

公開日 2011/03/28 11:00 編集部:風間雄介
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最近「テレビの画質はどれも大差ない」という論調を目にする機会が増えた。「有名メーカーならどれもほとんど変わらないから、できるだけ安い物を買えばよい」とアドバイスする記事を読んだこともある。

限定された環境や設定においては、これらの意見は必ずしも間違いとは言えない。たとえば明るい量販店の店頭などでは、パネルや画像処理エンジンが本来持っている、繊細な映像表現能力を確かめることは難しい。

もちろん少し調整すれば、実際に家庭内に置いた場合の画質を予想することも可能なのだが、これにはある程度の知識や経験が必要だ。こういったスキルが無かったとしたら、テレビの画質はどれも同じという考えに傾くのも頷ける。

だが通常の明るさ、あるいは少し暗くした部屋にテレビを置いたら話は別だ。実際の視聴環境においては、パネルの方式やバックライトなどの違い、あるいは画作りなどによって、テレビの画質に違いが生じる。これは、誰の目にも明らかなほどの大きな違いだ。

■ユーザーが最も重視しているのも「画質」

また、テレビが急速に多機能化している今でも、消費者の多くはテレビを選択する際に「画質」を最も重視していることも付け加えておきたい。これは以前から全く変わっていない。

仕事柄、様々なユーザー調査結果を見る機会が多いが、画質以外の項目が購入時に重視する性能のトップになったという結果は記憶にない。調査結果を見る限り、テレビの性能で最も重要なのはやはり「画質」なのだ。

これは、少し考えてみれば当たり前のことだ。テレビ放送であれブルーレイであれ、あるいはゲームやネット動画も「映像」であることに変わりはない。これらの映像を、制作者の意図通りに、できる限り美しく表示するのは、テレビにとって最も大事な役割なのだ。

美しい映像を表示するためのテレビの画質競争はこれからも続く。そしてシャープはこの画質競争へ、独自開発の高性能パネル技術「クアトロン」「UV²A」を武器に挑んでいる。

■シャープ独自の「50年ぶりの革命」、クアトロンパネル

AQUOS Z5ラインは、昨年華々しいデビューを飾り、「50年ぶりの革命」と各所で称えられた4原色パネル「クアトロン」を引き続き採用している。

クアトロンの概要はご存じの方も多いだろうが、その独創性の高さは、いくら強調しても強調しすぎることはない。今一度おさらいしておこう。

シャープ以外のメーカーのパネルがレッド/グリーン/ブルー(RGB)の3色のサブピクセルを使って映像を表示しているのに対し、クアトロンはRGBにイエロー(Y)を追加した4原色で映像を作っている。

クアトロンパネルの特徴。これまでより広い色域を実現している

なぜ多原色化するかというと、RGBだけでは表現できない色が表示できるようになるという、大きなメリットが得られるからだ。クアトロンの場合はYが追加されたことで、これまでのRGBでは表現できなかった色、たとえば金管楽器の黄金の輝きやひまわりの鮮やかな黄色、さらにはシアンと呼ばれる明るい青色などを、より忠実に再現できるようになった。

従来の3原色パネルとクアトロンパネルの比較イメージ

またYを選択したのは、LEDバックライトから照射される黄色の光エネルギーを効率的に利用でき、光の利用効率を高められるという理由もある。これは後述する画面輝度の確保、消費電力の低減にも効果を発揮する。

さらに多原色化により、色表現力だけでなく映像の精細度を高めることも可能になる。サブピクセル数が従来の3分の4倍となり、これまでの約622万から約829万に増えたことを利用し、高精細化することができるのだ。Z5ラインでは、このサブピクセルを使って独自の映像信号処理を行う「フルハイプラス」エンジンを搭載。映像の斜め線などをより滑らかに表示し、精細感を高めている。

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