IoT展開についても言及

クアルコムが描く次世代通信のビジョンとは? 5GやIoTの展開からWi-Fi 6までをキーマンが語る

山本 敦

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2019年03月22日
米クアルコムがカリフォルニア州サンディエゴの本社で、オーディオ向け最新ソリューションのプレス発表会を開催した。2日間にわたって実施されたイベントの後半には、同社が現在オーディオやスマートIoT、Wi-Fi通信の分野にも展開する各ビジネスの最新状況が報告された。

クアルコム本社のメインビルディング

本社周辺には至るところにクアルコムのロゴを掲げたバナーが並ぶ

なお、今回クアルコムが発表したスマートオーディオ向けのアプリケーションプロセッサー「QCS40x」シリーズ(関連ニュース)、デジタルアンプIC「CSRA6640」(関連ニュース)の詳細は各記事をご覧いただきたい。

クアルコムが拠点を構えるアメリカ西海岸のサンディエゴは、海軍基地の街として繁栄してきた。現在はクアルコムのような情報通信企業に加え、医療・製薬関連の企業、あるいは日系企業の米国法人の多くもこの街にヘッドクオーターを置く。

サンディエゴの国際空港を降り車を20〜30分ほど走らせると、クアルコムのブランドロゴを掲げたビルが数多く立ち並ぶ“お膝元”に到着する。今回のプレス発表会は約10年前に竣工したという本社ビルと、同社創業者の一人であるアーウィン・M・ジェイコブス氏の名前を冠する「QUALCOMM HALL」を舞台に開催された。

見渡す限りクアルコムの施設

創業者の一人、KLEIN S GILHOUSEN氏の功績を称えるレリーフ

本社1階のロビーに足を踏み入れると、クアルコムが1985年の創業から今日までに取得してきた特許の表紙に埋め尽くされた「Patent Wall」がゲストを迎える。同じ建物の1階には、クアルコムの礎を築いたCDMA方式の携帯通信端末と、他にも幅広く手がけてきた通信事業の歴史が一望できるミュージアムがある。

本社のクアルコムミュージアム

圧巻のPATENT WALL


“音のいいスマホ”を実現するクアルコムの多彩なソリューション

イベント2日目のセミナーで、スマートフォンなど携帯通信端末に関わるオーディオ技術の最新状況を説明したのは、Qualcomm Technologiesのプロダクトマネージメント部門シニアディレクターのラビ・サティアナラヤナン氏だ。

オーディオの取り組みを紹介したラビ・サティアナラヤナン氏

同社といえばAndroidを中心としたスマートフォン向けのSoC「Snapdragon」シリーズをまず思い浮かべる方も多いだろう。昨年12月に発表された「Snapdragon 855 Mobile Platform」(関連ニュース)は、5GやモバイルAIに対応する最新SoCとして注目されている。完全ワイヤレスイヤホンの接続性を向上させる「Qualcomm TrueWireless Stereo Plus」や、可変ビットレート伝送に対応する新コーデック「aptX Adaptive」への対応など、Bluetooth周辺のオーディオ技術にも見どころは多い。Snapdragon 855を搭載するスマホは、日本国内でも今年の初夏以降に発売されそうだ。

サティアナラヤナン氏は、「Snapdragonを中心に、薄型軽量デザインを求められる昨今のスマートフォンに対して、高品位なオーディオ再生を実現する多様なソリューションを提供できることがクアルコムの強み」と述べる。最大384kHz/32bitのリニアPCM・DSDネイティブ再生を可能にするDACなどを積んだオーディオコーデック専用IC「WCD934x」シリーズや、最大4Wの出力を備えるスマホ内蔵スピーカー向けアンプIC「WSA8815」などを組み合わせることで、端末メーカーは少ない負担で「音のいいスマホ」を開発できると同氏は説明する。

Snapdragonを中核とした多彩なモバイル向けソリューションを揃える強みをアピールした

同氏は、Snapdragon 855のSoCに統合されている高性能DSP「Hexagon 690」が、高度な音声AI機能やコンテンツの省電力再生など、スマホの新しい付加価値を引き出す中核になるとも語る。2月にバルセロナで開催された「MWC19」では、ソニーの「Xperia 1」をはじめ、サムスン、LGエレクトロニクス、シャオミ、ZTEなどがこのSnapdragon 855を搭載するスマートフォンを発表した。近くその真価が私たちの手もとで試せる日が早く来てほしいものだ。

なお完全ワイヤレスイヤホンによる音楽リスニングの品質を高める「Qualcomm TrueWireless Stereo Plus」については、ソニーのXperia 1が対応することを開発者インタビューで報告した(関連記事)。aptX Adaptiveについては、中国シャオミの最新スマホ「Xiaomi Mi9」が、世界初搭載の音楽プレーヤーになりそうだ。本端末がおそらく日本では販売されないのは残念だが、他社の動向にも今後も注目したい。

家庭向けIoT端末にもAI対応の波

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