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「まだまだ伸ばせる余地がある」

アイ・オー、「“活用できるデータ”ソリューションを実現する」年に。ゲーミングと音声配信サービスの取り組みも強化

公開日 2019/01/31 18:20 Senka21編集部・竹内純
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アイ・オー・データ機器は、プレス向け新年会を開催。冒頭、あいさつに立った同社代表取締役社長・田尚則氏が、新しい経営ビジョンについて説明を行った。新たな取り組みとなる「音声配信サービス」「eスポーツ」についての同社執行役員・加藤光兼氏の話と併せてお届けする。

大事なのは手間暇かけた仕事と粘り強さ
「平成最後の年が始まり、経営環境も大きな変わり目に差し掛かった感じがします。働き方改革の加速がAIやIoTを概念から実装に促し、それが企業のIT設備の刷新につながってくる状況です。この流れに最新のソリューションでお客様のビジネスを応援する、発展に寄与することを念頭に考えています」とあいさつを切り出した田社長。

(株)アイ・オー・データ機器 代表取締役社長・田尚則氏

リストラを経て、6年前に新しいロゴを掲げてスタートを切り、「変革期の中で毎期、経営方針として『今期はこういうことをしよう』『こういうアイ・オー・データになろう』と言葉をつないできました。6年前に366億円だった連結売上高も、今期(44期2019年6月期)は575億円(予想)まで盛り返すことができました」と振り返った。

売上高推移と今期予測

「世の中に増え続けるデータをお客様がただ単に見ている、貯めている段階から、事業やサービスとしてデータを活用できる姿を実現するための応援をしたい」と経営ビジョン、経営方針、それに対するビジネス戦略、行動指針を一新。新たなビジネス戦略の下、「モノはモノとして数を売ることは継続していきますが、たくさんあるカテゴリーを、『映像入出力分野』『ストレージ分野』『ネットワーク分野』の3つの領域に束ね、それぞれソリューション化してお客様に提案していきたい」と訴えた。

新たに掲げた経営ビジョン、経営方針、ビジネス戦略、行動指針

映像入出力分野では、大画面でクリアな画像の「4Kデジタルサイネージ」が飲食店のメニューや商業施設の催事案内の掲示板として。モニターやテレビをタッチパネル化できる「てれたっち」は安価な電子黒板として。オフィスのデスクワークの生産性向上を追究した液晶ディスプレイ「フリースタイルスタンドモデル」は長時間労働の体の負担を軽減するものとして、それぞれ活用提案し、好評を博す。

ストレージ・ネットワーク分野では、サイバーセキュリティの脅威が増し、バックアップの重要性がますます高まる中、「LAN DISKシリーズ」を提案。「お客様のデータ消失のリスクを少なくします。クラウドを使った遠隔稼働監視サービスで、日々のNASの状況をメールで自動通信し、管理者の負荷も軽減。さらに、クラウドストレージサービスとの連携により、不測の障害時に備えたNASとクラウドのハイブリッドを実現できます」と訴求する。

「今期売上高575億円の目標へ向かって、まだまだ伸ばせる余地があると社内の中で議論を重ねています。数値や目標にこだわりながらも、大事なのは手間暇かけた仕事をいかにきちんとするかです。それを粘り強くやっていく。今後のアイ・オー・データにご期待ください」と力を込めた。

導入ハードルの低い「PlatCast」
続いて同社執行役員 事業戦略本部 企画開発部 部長・加藤光兼氏が、音声配信サービス「PlatCast」と「eスポーツ」の2つの新しい取り組みについて説明した。

執行役員 事業戦略本部 企画開発部 部長・加藤光兼氏

「PlatCast」は、手軽かつ簡単な操作で多数の人に音声を配信することができるライブ音声配信サービス。その仕組みは、配信側はRaspberry Pi等の安価なデバイスからインターネットを介して音声データをクラウドに配信。聴取側はスマートフォンでQRコードを読むだけで、WEBブラウザから配信サイトにアクセスして手軽に聴取できる。

「PlatCast」の仕組み。スマートフォンに音楽CDを取り組む同社商品「CDレコ」の機能のひとつである、歌詞を周りの人と共有できる「歌いまっし」を発展させたものだ

YouTube Liveなど他の配信サービスや放送サービスと比較すると、「音声に特化しているため負荷が少ない。放送系のサービスと比較すると、配信側の設備が小規模で済み、コストが低く、サービス実現の敷居が低くできます。スマートフォンがそのまま受信機となるので聴取者にとっても敷居の低いサービスと言えます」とメリットを強調。また、数秒程度の遅延で音声を届けられることも大きな特徴のひとつ。

サービス導入へハードルを引き下げる「PlatCast」と他サービスとの比較

まず、地元金沢のBリーグ「金沢武士団」、Vリーグ「PFUブルーキャッツ」に協力の下、スポーツ観戦時にプレイ解説や普段聞けない選手情報を提供する実証実験を昨年11月からスタート。スポーツ実況以外にも、学会やセミナーでの同時通訳サービス、博物館・美術館での展示案内サービス、防災案内サービスなど、「導入しやすいサービスモデルを実現していきたい」と意気込む。

盛り上がるeスポーツへ商品とプロモーションを強化
もうひとつがeスポーツへの取り組み。「市場規模は、2017年の段階ではごくわずかでしたが、2018年に前年比10倍以上となる48億円規模に急成長。2022年には100億円程度にまで拡大すると予測されています。ファンの数も現在の約380万人が、4年後には倍以上の約800万人まで拡大する予測です」。

盛り上がりを見せるeスポーツ市場

同社ではゲーム市場向けに、ゲームのプレイ動画をメモリーカードやPCに保存、また、そこから配信するためのゲーム用キャプチャーデバイスとゲーム用途に特化した液晶ディスプレイ「GigaCrysta」シリーズを展開する。2製品の売上げ規模は、2016、17年に6億円強、売上構成比では1%%程度に過ぎなかったが、18年は前年比2.5倍の15億円強、今年はさらに同1.6倍の約26億円にまで伸長。売上構成比も5%に達すると予測する。

ゲーム用キャプチャーデバイスとゲーム用途に特化した液晶ディスプレイ、2つの製品の売上推移

キャプチャー製品は、購入者の実態調査から、ゲームのプレイ動画を作成するために購入している人が約4割も占め、遅延が少ないことが高く評価されていることが判明したことがそもそもの始まりだという。「幅広いゲーマーの皆さんを常に深く観察して、どのようなものを求めているのか。潜在ニーズを見つけ出し、プレーヤースキルが向上する、快適なプレイができるゲーム用デバイスを提供していきたい」と力を入れる。

「ゲーマーの皆さんとゲーム機の間に存在するメーカーとして、ゲーム機の快適なインプット、アウトプットをお手伝いする役割を担っていきたい」と語る加藤氏。現行2つの商品だが、「ストレージ製品、ネットワーク製品など様々な製品があります。それらは現在、PCや家電、スマホの周辺機器として展開していますが、ゲームをする上でも必要となってくるデバイスです。ゲーム市場から見た場合、これらの製品をどう進化できるかを考え、新しい製品を出していきたい」と商品陣容もさらに強化していく構え。

「GigaCrysta」により2014年からゲーミングモニター分野に本格参入したアイ・オー・データ機器だが、「ゲーミングデバイスのブランドとしては、海外勢の認知度が非常に高く、後発のイメージは拭えない」と指摘する同社事業戦略本部 販売促進部 販売促進課・西田谷直弘氏。今後のプロモーション活動として、「ユーザーの皆様と共に成長できるゲーミングブランドを目指したい」と訴えた。

東京ゲームショウ(5年連続)、C4LAN WINTER(2年連続)などのイベントにも積極的に出展。ゲームメーカーとの連携も重視し、大会への機器提供を行うなど、「いろいろなシチュエーションの中で、ゲームメーカーともリレーションを取りながら、ユーザーに機器を使っていただく環境を創っていきたい」と語る。ユーザーが共感できるアプローチとして、プロゲームチーム「Green Leaves」「TSURUGI TOYOMA」「父の背中」のサポートを行うなど、「今年一年、ゲーミングのプロモーションにもご期待ください」とアピールした。

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