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飲食店等での音楽利用料分配は全曲分配方式へ

JASRACが「変革宣言」。新規事業への着手や著作権管理手数料率の抜本的見直しなど構想発表

2019/11/19 編集部:小野佳希
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日本音楽著作権協会(JASRAC)は、今年2019年に創立80周年を迎えたことを受けて「つなごう未来へ、世界へ。80年目の変革宣言」を発表。従来の著作権管理事業に加えて新規事業にも取り組む意向であること、管理手数料率を見直す予定であることなどを明かした。


宣言書では、「権利者の方々の視点、利用者の方々の視点に加え、広く皆さまの視点をより重視し、文化芸術の普及発展に資する取組に力を注いでいきます」と説明。そのために「『著作権管理事業』というこれまで音楽創作のサイクルを支えてきたエンジンに加えて、『委託者共通の目的にかなう事業』という2つめのエンジンを備える組織に変わり、新たな事業を開始します」としている。

新規事業の具体については現時点で未定だが、「文化芸術を発展させるための新たな取組」だとのこと。「音楽著作権の保護と音楽著作物の利用の円滑を図ることによる文化芸術の普及と発展」を目的にしていくという。

取り組む事業については公正性・透明性のある決定プロセスを経るために、外部有識者で構成される委員会において検討する。「例えば、著作権思想の普及を図ることで、広く国民に音楽著作権の保護についての理解を求めていくことや、アジアの団体への支援が考えられます」としている。

一方、従来の著作権管理事業では、2023年度の完了を見据えて、「デジタルトランスフォーメーション」と「組織人事の見直し」を進め、「委託者の方々への付加価値の向上、委託者・利用者のみなさまへのサービス・満足度の向上、そして、そのための透明性の確保と経費削減を実現します」と宣言。

「権利者の方々に向けた変革として、委託者の方々への使用料の分配を、これまで以上に増加させる取組を強化するとともに、委託者ご自身の音楽作品の管理状況が、より分かりやすくなるシステムを整えます」としている。

また、現在の演奏権、複製権、インタラクティブ配信や放送にかかわる著作権管理事業の手数料を3年間かけて抜本的に見直し、2022年に新管理手数料率を完成させるとのこと。

このほか、すでに進めているデータベースの整備や分配明細書の精緻化などの取組をさらに充実させるという。また、ライブハウスや飲食店などにおける演奏に対して支払われた使用料の分配を、サンプリング調査による分配方式から、使用された全ての音楽作品の報告を元に分配比率を決める、全曲分配方式への移行を進める。そして、利用内容などの詳細な情報も、委託者に届けるとしている。

一方、音楽利用者に対する変革として、音楽利用の手続きの利便性向上を今まで以上に実現させると宣言。「お支払いいただいた使用料が、きちんと権利者に届いていることを、利用者の皆さまにも実感いただけるような仕組みを整えます」ともしている。

そして、これらの著作権管理事業の変革においては、ブロックチェーンやAIなどの先進技術の活用が欠かせないとし、様々な先進技術の実用化に向けて検証を進めていくとしている。

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