街のでんきやさん「パナハルス三晃」が大創業祭を開催。ソリューション事業強化でより快適な生活空間の創造へ邁進
多くのお客様で賑わいと活気に満ちた三日間
地域電器専門店「パナハルス三晃」(東京大田区)は、12月5日(金)から7日(日)の3日間にわたり「創業35周年 大創業祭」を開催した。お客様からの「おめでとう」の言葉やお祝いの花束に囲まれ、笑顔に包まれ3日間となった。
セレモニーで挨拶した代表取締役社長・金塚俊朗氏は「父と母が会社を興して35年の月日が経ちました。後につなぐ人間が歴史を重ねていける喜び、そして、託された使命を感じています。お客様もパナハルス三晃のファミリーです。次の40周年、45周年、さらには50周年へと積み重ねていけるように精進して参ります」
専務取締役・金塚知子氏は「おかげさまでこの大森町でお客様に恵まれ、社員に恵まれ、35年やってこられました。パナハルスという名前は、ハイ・アメニティ・リビング・システム、より良い快適な生活空間を創造するということでつけました。家電販売を通じて地域の社会に貢献すること、それももちろん経営理念ではありますが、35年経ってまさにその名前を付けた意味が合っていたことをうれしく思います」
“35”周年とパナハルス“三晃”の語呂合わせから3500万円の売上目標を掲げて臨んだ今回の創業祭。サイコロを転がして3と5が出たら来場記念品をさらに追加してプレゼントするサイコロゲームや、足ウラ測定無料体験会、聞こえの相談会も催され、多くのお客様で賑わった。同店の強みとするリフォームには初日だけでも15件の成約があり、テレビやエアコンなどゼロエミ関連の商品も好調に推移した。
金塚社長は「地デジへの移行時には1日に280世帯もの来場があり、お客様が店の中に入り切れないことがありました。当時はまだキャッシュレスではなく、伝票を外で書いていたことを思い出します。それ以来の大きな盛り上がりです」と顔をほころばせる。
資格取得を奨励。業容はマンションの大規模修繕にまで拡大
3年前に社長に就任した金塚俊朗氏。先代社長である父・克典氏との思い出を振り返った。
「中学生に上がった時に、お前の義務教育は終わりだと言われました。衣食住を整えてほしいのであれば働けと、ゴミの片付けや配送の手伝いなど、学校が終わって帰ってきたらランドセルを置いて、休みの日は一日中働いていました」
電気工事士の資格を取得したときには、次の日から新築の電気配線を任されたという。「資格を取り、プロになったのだから自分でやれと。現場に置き去りにして先に帰ってしまうんです。そういう父でしたね」
しかし、そうした厳しい教育も苦にはならなかったという。「もともと手作業は好きだったんです。この建物はお前の作品だと思えと、エアコンや照明から始まり、次々にパーツをつけ足していくイメージです。『お前がすべてやっているのだから、お前がその家のホームドクターだ』と言われました」
同店では資格の取得を奨励。「先代の社長が亡くなる直前まで資格を取れ、取れとずっと言い続けていました」とその教えが脈々と受け継がれる。18の資格を持っていた先代社長に対し、第一種電気工事士、一級建築施工管理技士、給水装置工事主任技術者など上回る21の資格を取得。電気・水道・ガス、さらには建設業の資格を有することで、業容はリフォーム全般、外壁工事に屋根工事、さらにはマンションの大規模修繕を手掛けるまでに拡大。
今年4月には5年ぶりに高卒新入社員2名を迎え入れ、社長以下10名の体制に。「従業員が増えたことで、売上げも手掛ける仕事の規模も内容も大きくなっています。やはり大切なのは人の力。まずは2人の新入社員を徹底的に鍛えて独り立ちできるようにして、再来年にはまた採用活動を再開したいですね」
採用を担当するのは奥様だ。「最初は全然うちのことは眼中にない感じでしたが、一年間バイトをしてもらうことで、仕事の魅力や社長の考えに気づいてもらうことができました。もう息子みたいなもの。家族同然です」。
ソリューション事業を強化。粗利の高いビジネスへ転換を加速
大きな節目を機に、「拡大を続けているソリューション事業をもっと拡げていきたい」と意気込む。「家電の販売だけに偏るとやはり限界があります。マンパワーは限られ、ひとりで大型家電を配送することはできませんからね。人件費もコストも上がってくる時代にいくつかの柱が必要となる。そのひとつがソリューション事業です」。工事料金は作業内容別に明示。技術力をメインにした粗利の高い商売へと転換を加速する。
販売構成比が高まる法人顧客にも着目する。すでにリフォーム案件では6割以上を不動産ルートが占め、マンションの大規模修繕では住人との交流が生まれ、エアコンや給湯器など大量の同時発注も珍しくないという。「最終的には住人に顧客になってもらえることが大きなメリットですね」。
“高齢化” のキーワードからは、国内メーカーだけを取り扱う補聴器に、新たに海外メーカーを加えた選択肢の拡大を検討する。「高齢化社会で国から様々な施策が打たれます。すると、皆がヨーイドンで一斉にやり始めますから、その結果、大型店に商売をとられてしまう。そうした施策が出る前に方向性を見いだしていくことが必要です」と訴える。
さらに将来を見据え、「売上げを伸ばすことはもちろんですが、地域と関係した仕事をしていきたいですね。5年後にはまだ現場に出ていると思いますが、いつまでも現場に立てるわけではありませんし、マネジメントに力入れるタイミングが必ず来ます」。
すでに、小学校の改装などの依頼も持ち込まれているが、「今やっている仕事で手いっぱいです。街のお客様へのサービスがおろそかになってしまいますし、片手間で請け負うわけにもいきません」とお断りしている状況だという。
今後、人員を増やして体制をさらに拡大。「地域とのつながりもすでに数多くあり、十年後にはそうしたことを手掛けるようになっていると思います。行く行くはこの街を自分の作品にしたいと思っています(笑)」。個人のお客様に対する“ハイ・アメニティ・リビング・システム”の実現にとどまらず、より大きな地域を幸せにする事業へと胸を躍らせる。



