低遅延・高速・大容量を活かすサービス

ドコモが『5G』PRイベント。新コンセプト車“ソニーカート”やシャープ8K配信など各社が注目展示

編集部:平山洸太
2019年03月08日
NTTドコモは本日3月8日、5Gを活用したソリューションの拡大・ビジネス化の加速を目的とした、ビジネス向けイベント『DOCOMO 5G Open Partner Program 5G BUSINESS CAMP』を都内で開催。同イベントでは、パナソニックやシャープ、ソニーといった20以上の企業がブースを出展、9月から始まるプレサービスに向け、5Gに関する取り組みについて各社が展示を行った。

「5G BUSINESS CAMP」

ソニーは、5G時代の新コンセプトカート「ソニーカート」を出展。車体には4面にカメラと4Kディスプレイが取り付けられており、5Gの特徴である、低遅延・高速・大容量という特徴をいかして通行人に高精細な映像を表示させるという。

「ソニーカート」

正面にディスプレイを搭載

内部には運転席は設けられておらず、ゲームコントローラーで操作を行う仕様。センサーからの情報などを用いてディープラーニングで解析、運行アシストや安全な走行を目指すとのこと。また窓はなく、カメラからの映像をディスプレイ上に表示させる仕様となっていた。

内部に窓はなく、モニターから外を確認する仕様

側面にもディスプレイを搭載

そして関連会社のソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズでは、カメラ映像の映像を無線でアップロード、そここからクラウド上のスイッチャー「Virtual Productions」を用いてリアルタイムで配信を行うシステムを出展。

4Kカメラに送信機を接続、そこに通信用のドングルを接続する仕組み

「Virtual Productions」

同サービスはすでにヨーロッパで開始されているものだが、現時点では4G LTEなどを用いるシステムで、解像度はフルHDまでの対応。5Gを用いることで、4Kでの配信が可能になると説明していた。

このように、5Gでは特に先述した高速・大容量を利用し、高画質な映像を伝送するという展示が多かった。例えばシャープでは、8Kの映像を5Gで伝送・再生する「8K IP 配信システム」を出展しており、8K映像のデモを実施していた。

自社の8Kテレビを用いてデモ

「8K IP 配信システム」

会場では有線LANを用いていたが、すでにこの部分に5Gを用いた実験は成功しており、ほぼ実用化に近いとのこと。現在はコンテンツが不足していると説明員は話しており、実用化までに充実させたいとのことだ。

またパナソニックでは、5Gを用いて4K映像を配信できるシステムを展示。配信に必要なシステムはバックパックに収まる程度の大きさとなっており、また5Gを用いることで移動しても途切れにくい。

送信装置の一式がバックパックに収まる

パナソニックのブース

これにより、特にスポーツなどさまざまなアングルからの映像を撮ることができるのではないかとのこと。さらにスタジオやスタジアム内での配線も不要になるため、コストダウンも期待されるという。

展示されていたシステムはスマートフォンアプリ「VOGO Sport」を使用して視聴するかたちとなっており、2つのアングルを切り替えて観ることができるようになっていた。なお現在のサーバーの仕様では8chまでの映像を同時配信できるという。

VOGO Sportのアプリ画面

凸版印刷では、すでに導入を行っているシステム「NaturalWindow」のデモを実施。これは4K映像を表示させることでストレスを軽減させるという実験結果に基づいたソリューションという。

「NaturalWindow」

額に入ったバージョンも展示

表示されている映像は4K解像度で、ビットレート最大200Mbpsというほぼ無圧縮のもの。データ量が大きいため、現在はHDD搭載のプレーヤーからしか再生することができないという。

この映像伝送を5Gであれば無線化することでき、設置の手間などが軽減されるとのこと。なお距離によってストレス軽減の効果が変わると説明員は話しており、会場に展示されていた約58インチの4K液晶ディスプレイは、1〜1.5mの距離から観ることで最大の効果を発揮するという。

また5Gの低遅延・高速・大容量という特徴は、従来より大きな解像度を使用するVRにおいて特に発揮されるとのこと。NTTドコモが出展していたVRのライブ配信ソリューションでは、会場に設置した5台のカメラによる8K 360度の映像をVRヘッドセットでみることができるデモを実施。会場では有線接続だったが、5Gを用いることで無線化が期待されるという。

5台のカメラで8K 360度の映像を撮影

カメラで撮影した会場の風景

また同ブースでは、過去に撮影されたさっぽろ雪まつりの様子なども観ることができ、こちらは9台のカメラを用いることで、8K 360度の映像をVRヘッドセットを装着し、3Dでみることができた。

さっぽろ雪まつりの様子

そして富士通ネットワークソリューションズも同様にVRをリアルタイムで配信するデモ実際。またワコムはVR空間上で3Dモデルのデザインを遠隔地からでも共同で作業できるというデモを行うなど、VRにおいても5Gに対する期待を感じることができた。

3Dモデリングを遠隔地から共同作業できる

富士通ネットワークソリューションズによるデモ

そのほかフジテレビジョンは、ドコモと共同開発をおこなっている「ジオスタ」のデモを実施。昨年のInter BEEにも出展されていたもので、iPad ProなどにARで情報を表示させることで、スポーツ中継などのセカンドスクリーンとして活用できるというもの。これに5Gの特徴の1つである “低遅延” を生かし、例えばレースであれば順位などをほぼリアルタイムで表示するという(関連ニュース)。

「ジオスタ」のデモ

レースの情報では順位だけでなく、ブレーキを踏んでいるかどうか、さらにはドライバーのハンドルの動きまでも表示。この情報量は5Gによる、4Gの10分の1となる1ms以下の遅延と、10〜100倍くらいの帯域によって成り立っているとのこと。

ドライバーの心拍数、ハンドルの動きもリアルタイムにグラフィック表示

今回のデモは最新版ではなかったが、最新版では端末側での3Dレンダリングではなく、サーバーで処理し動画の形で配信することで、端末の負荷を減らしているという。これによってさらに通信量も増えてしまうので、5Gの特徴をすべて活用したサービスと説明員は話していた。なお、ほぼ実用化に近い状態に至っているという。

また遅延にフォーカスした展示として、ヤマハはオンライン上で複数人とリアルタイム合奏が行える「NETDUETTO」を展示。独自の圧縮技術によって低遅延の音声通信を可能にするという技術で、すでにPC向けにはデモソフトが配信済み。現在のPC用の光回線ではラグが少ないので問題なく動作しているというが、4G LTEではラグが大きく、モバイル端末では厳しいという。これを5Gの低遅延によって、「スマートフォンと楽器をつなぐだけで合奏ができたら理想」と説明員は話していた。

「NETDUETTO」のデモ。4G LTEでの遅延と5Gでの遅延を比較することができた

関連リンク

関連記事