通常プレーヤーで利用可能

ULTRASONE、約40万円の静電型トゥイーター搭載イヤホン「SAPHIRE」。4ウェイ・6ドライバー構成

編集部:小澤貴信
2019年03月08日
アユートは、独ULTRASONE(ウルトラゾーン)の新製品として、静電型トゥイーターを2基搭載した4ウェイ・6ドライバー ハイブリッド型イヤホン「SAPHIRE」を4月より発売する。価格はオープンだが、399,980円前後での実売が想定される。

「SAPHIRE」

ULTRASONEの輸入代理業務は今年3月からアユートに移管(関連ニュース)、それ以降で初の新製品となる。昨日7日に開催されたプレス向け製品発表会には、ウルトラゾーンのCEOであるMichael Willberg氏が登場。本製品の詳細や日本展開への意気込みについて語った。同時に発表されたヘッドホン「Edition 15 Veritas」の詳細はこちら

Michael Willberg氏

Editionシリーズをはじめとする高級ヘッドホンでおなじみのウルトラゾーンだが、2012年に同社初のイヤホン「IQ」「Tio」(関連ニュース)を日本発売。「IQ」は当時まだ数が少なかったBAとダイナミックのハイブリッド型で、2014年にはプロ仕様モデル「IQ Pro」(関連ニュース)も発売された。

SAPHIREは、IQ Pro以来の同社イヤホン新製品。ちなみに製品名のSAPHIREはドイツ語綴り(英語の綴りはSAPPHIRE)だ。なお、現時点で日本に導入される同社イヤホンはSAPHIREと「Pyco」(関連ニュース)となる。

SAPHIREの4ウェイ・6ドライバー構成の内訳はBAドライバーを低域用×2、中域用×1、高域用×1、静電型ドライバーを超高域用×2となる。

静電型トゥイーターはヘッドホン出力からの電力を内蔵トランスで増幅して駆動するので、専用電源は不要。従って本機は通常のプレーヤー/ヘッドホンアンプで利用できる。この静電型トゥイーターは、ゴールドコーティングを施した6μgの超軽量ダイアフラムを採用し、優れた過渡特性を実現。「極めて歪みの少ない、クリアな高音域を再現する」としている。

4ウェイ・6ドライバーを搭載

SAPHIREの内部

また、内蔵トランスは16μワイヤーを15,000巻したコイルでできており、ヘッドホン出力をこのトランスで100倍に増幅して静電型トゥイーターを駆動する。

Willberg氏によれば、2基の静電型トゥイーターは「特に音楽のアンビエント成分の再現に使っている」とのことだ。

イヤーピースを外したところ

ハウジングには高い耐久性と剛性を兼ね備えているという航空機グレードのアルミニウムを使用。酸化皮膜塗装でブルーの配色を施す。フェイスプレートにはステンレススチールを用いてる。

Edition 7のオマージュとしてブルーのカラーリングを施したとのこと

ケーブルは着脱式で、2pinコネクターを採用。2.5mm 4極バランス端子ケーブルと3.5mm 3極アンバランス端子ケーブルの2種類を同梱する。長さはいずれも1.2m。

ケーブルは着脱式で2pin端子を採用

いずれも銀コートしたOFC導体を用いているが、アンバランスのみツイスト形状となっている。理由については「ツイスト形状は絡まりにくく取り回しがよく、さらにタッチノイズが少ない。しかし、バランスケーブルで同様の形状にすると太くなってしまうため、こちらはツイスト形状を採用しなかった」(Willberg氏)とのこと。

上がアンバランスケーブル、下がバランスケーブル

写真のようにケーブルの形状が異なっている

イヤーチップは、スピンフィット(CP145)とコンプライフォーム(Tz-400)がそれぞれS/M/Lの3サイズ同梱される。ハードレザーキャリーケース、クリーニングクロスとクリーニングツールも付属する。

専用ケースが付属

インピーダンスは25Ω、周波数特性は10Hz〜50kHz、音圧レベルは106dB、質量は約15g(ケーブル含まず)。


試行錯誤を経て静電型2基の4ウェイ・6ドライバーに到達

このタイミングで静電型トゥイーター搭載のハイエンドイヤホンを出した理由については「静電型ドライバーには可能性を感じていて、さらにそれを搭載したイヤホンもまだ市場で数が少ないこともあり、製品化を検討していた。静電型ドライバーの技術が成熟し、さらに2基用いることでULTRASONEの理想とする音が実現できたことが今回SAPHIREの実現につながった」(Willberg氏)とのことだ。

「SAPHIRE」

4ウェイ・6ドライバー構成という仕様に至るまでには試行錯誤があったという。「静電型ドライバー1基の構成や、超高域(スーパートゥイーター)ではなく高域(トゥイーター)として用いる方法も試したが、納得できる音にはならなかった。静電型ドライバーの技術が成熟したこと、2基を超高域用に用いるという構成にたどり着いたことで理想の音が実現できた」(Willberg氏)。

静電型トゥイーターを2基用いるメリットについては「1基ではパワフルさが足りなかった。2基用いることで初めて、理想とするエネルギッシュなサウンドが実現できた」と説明していた。

また、低域にダイナミックドライバーを用いる構成も試したが、思い通りの低音が実現できず、イヤホン本体のサイズが大きくなってしまうことも問題だったとのことだ。

SAPHIREで目指したサウンドについても言及。ウルトラゾーンは常に原音再生、ナチュラルな音を目指しており、SAPHIREについてもそれは同様だという。その上で、同社のEditionシリーズのヘッドホンが備える音場感や力強さを、イヤホンでも再現することを意識して開発したと同氏は語ってくれた。


早速その音をチェックした

発表会の会場では短時間ながらSAPHIREを試聴することができたので、サウンドの印象を記しておく。試聴は主にAstell&Kern「SP1000M」で行った。

SP1000Mと組み合わせたところ

高解像度ながら柔らかさやしなやかさを同居させており、音の強弱、濃淡を雄弁に描き分けてくれる。また、静電型トゥイーター2基は超高域を担当するが、こうした音調が全帯域にわたっている。低音は深みがあって心地良い。

4ウェイであることを感じさせない音の繋がり、音離れの良さにも好感を持った。いわゆるモニター調とは異なる、豊かな音楽性を備えていて、短時間の試聴でもそのポテンシャルの高さを感じることができた。

バランス駆動にするとその真価がさらに発揮され、音の広がりや艶やかさ、低域の締まりがさらに増す。同梱ケーブルがバランス/アンバランスで仕様が異なることもあるのだろうが、その差は大きかった。40万円という価格はおいそれと手が出せるものではないが、ハイエンドクラスのイヤホンとして現時点で最高峰の音質を備えたモデルのひとつと言えるだろう。

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