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音質追求の結果、ネックバンド型を採用

<ヘッドホン祭>デノン、低域再現を追求したBluetoothイヤホン「AH-C820W」の発表会を開催

公開日 2018/10/28 17:30 編集部:小澤貴信
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デノンは、27日より開幕したフジヤエービック主催「秋のヘッドホン祭 2018」にて、昨日発表されたBluetoothイヤホン「AH-C820W」(関連ニュース)の発表会を開催した。

AH-C820W

AH-C820Wは同社Bluetoothイヤホンの最上位モデル。有線イヤホンの最上位モデルで、特許技術のダブル・エアーコンプレッション・ドライバーを採用した「AH-C820」をBluetooth化したモデルとなる。Bluetoothはバージョン5.0で、コーデックはaptX Low Latency、aptX、AAC、SBCに対応する。12月中旬発売で、価格は25,000円前後が予想される。

発表会では、本機の設計を担当した成沢氏が技術面の詳細を説明した。また、本機が対応するBluetoothコーデック「aptX Low Latency」「aptX」を手がけるクアルコムの大島勉氏も登場。両コーデックが音質および遅延の面で優れた性能を誇ることを紹介した。

本機の設計を担当したデノン 成沢氏

クアルコムの大島勉氏が、aptXの優位性について改めて説明

デノンがこのタイミングで新たなBluetoothイヤホンを投入した背景についても紹介された。ワイヤレスイヤホンはここ2、3年で大きくシェアを拡大するなかで、ワイヤレスかつ高音質で楽しみたいという要望が多かったとのこと。従来、同社のBluetoothイヤホンはスポーツ向け「AH-C160W」のみがラインナップされていたが、より高音質を求めるユーザーの要望に応えるべく、本機の開発に着手した。また、すでに市場に数多くのBluetoothイヤホンがあることも踏まえ、デノン最高峰のサウンドをワイヤレスでも楽しんでもらいたいと有線イヤホンのトップエンド「AH-C820」をベースにすることに決めたという

ベースとなった「AH-C820」は、低音再生の究極を目指すことをコンセプトに開発したイヤホン。11.5mmダイナミック型ネオジウムマグネット・ドライバーを2基向かい合わせに配置したダブル・エアーコンプレッション・ドライバーを搭載したことが最大の特徴。また、この2つのドライバーに個別にケーブルを接続して、スピーカーでいうバイワイヤリングと同様の効果を発揮させる「デュアル・ダイレクトケーブル」を採用している。AH-C820Wでは、イヤホン部を完全にAH-C820から継承しており、結果としてこの2つの技術も搭載している。

なお、AH-C820Wがネックバンド型になった理由については「完全ワイヤレスイヤホンという選択肢もあったという。しかし、ダイキャストハウジングやダブルドライバーなどのAH-C820の物量、また2基のドライバーを鳴らし切るアンプの搭載を考えると、完全ワイヤレスイヤホンの利便性とはかけ離れたサイズになってしまうことから、AH-C820の音質をスムーズにワイヤレス化できるネックバンド型を選択したのだという。

ダブル・エアーコンプレッション・ドライバーは、2つのドライバーを向かい合わせに配置して同相で駆動する。これにより、より多くの空気をドライバーから押し出すことが可能になっている。

ダブル・エアーコンプレッション・ドライバーの構成イメージ

ダブル・エアーコンプレッション・ドライバーの上部からの透視図

こうした構造のメリットとして、振動板の面積がシングルに対して2倍確保できることが挙げられる。一般的に低音再生は、振動板の面積が大きければ大きいほど有利。効率的に振動板面積を増やすことができるのが、このダブル・エアーコンプレッション・ドライバーの狙いとなる。

ちなみに他社からもデュアルドライバー方式のイヤホンは多数登場しているが、例えば、向かい合った2つのドライバーを逆相で駆動するプッシュプル方式を採る場合、駆動力は向上するが振動板面積としてはドライバー1基分相当になってしまうのだという。また、プッシュプル方式はドライバー背面の放射からも音量を取るため、中高域の鮮度がスポイルされがちとのこと。

ダブル・エアーコンプレッション・ドライバーと、プッシュプル方式デュアルドライバーの比較図

また、AH-C820およびAH-C820Wのダブル・エアーコンプレッション・ドライバーは、向かい合わせのドライバーの片側にやや角度が付けられている。これは直進性の強い中高域をより鮮度高く耳に届けるために、最適な角度にドライバーを傾けているとのことだ。

発表会では、AH-C820Wがドライバーから放出できる空気量の多さを示す一例として、25Hzの信号を再生中のAH-C820Wのノズルの前に羽毛を置くと、排出された空気で羽毛がそよぐという映像も披露された。

AH-C820Wの先端から出る空気が羽毛を揺らしている

また、ダブル・エアーコンプレッション・ドライバーは、デュアル・アコースティックオプティマイザーと呼ばれる通気孔の設置によって、内部のエアフローが最適化されている。

デュアル・ダイレクトケーブルはスピーカーでいうバイワイヤリングと同様の効果があるという

そのほか、デュアル・ダイレクトケーブルにようる効能、重量級のイヤホン部に配慮した断線しにくいケーブルの引き回し設計、パソコンと有線接続して再生できるUSB-DAC機能についても紹介された。

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