8Kパブリックビューイングや4Kマルチスクリーンなど幅広い用途に利用可能

8K信号を分割して現行4Kエンコーダー/デコーダーでの送受信に成功。スカパーなど3社が共同実験

編集部:小野佳希
2018年05月11日
スカパーJSAT、アストロデザイン、富士通の3社は、通信衛星を使用した8K映像伝送実験を5月8日に共同で実施。アストロデザインの8K変換技術の活用により、現行の4Kエンコーダー/デコーダーでの8K映像送受信が可能であることを実証した。

実験システム概要

実験の成功により、「放送事業者や通信事業者が既に所有している4Kエンコーダー/デコーダーを使用し、今までよりも容易な8K伝送が可能になることが明らかになった」とスカパーJSATは説明。また、スカパーJSATの通信衛星を利用することにより、スポーツイベントなどでの8K中継や多拠点への8Kパブリックビューイング、4面までの4Kマルチスクリーン、ドームシアターへの中継など、幅広い用途での利用が期待されるとしている。

現在、8K映像を伝送する際には専用のエンコーダー/デコーダーが必要であるというのが一般的な認識。しかし8K専用のエンコーダー/デコーダーは、未だ希少で高額であるため、現行の4K技術や製品を用いることでの利便性向上、利用シーンの拡大が期待されている。

これまで、スカパーJSATは、多くの放送事業者や通信事業者で導入が進められている4K H.265/HEVCエンコーダー/デコーダーを送信・受信各4台を用いて、画像を4画面に分割して伝送する検証を進めていた。しかし、この手法では分割した4画面それぞれの画像の複雑度の違いにより画面間に境界線が表れてしまう現象が発生していた。また、これを避けるには非常に多くの伝送帯域を必要とするため実用的ではなく、8K専用エンコーダー/デコーダーが必要だった。

今回の共同実験では、上記現象の改善策として、アストロデザインの8K変換技術により2SI信号へ変換。これにより、現行の4Kエンコーダー/デコーダーで圧縮/伸長しても境界線を出さずに合計120Mbpsの8K映像を伝送し映し出すことに成功した。

なお、データ量が膨大な8K信号を伝送する際は、データを4分割して伝送路の負荷を軽減する方法が用いられ、画像を上下左右の4つに分割して伝送する「SQD」(Square Division)と、2画素単位で細かく区切ってまとめる方法「2SI分割」(2 Sample Interleave)の2つの方法がある。今回の実験ではこのうちの2SI分割方式を採用した。

現在の8K関連機器は、カメラなど映像制作の領域ではSQD方式が多く用いられているが、今回の伝送のようなケースに対応するために、両方式の変換機能が求められることが増えることが予想されるとのこと。そこで、アストロデザインでは従来から培ってきた8K信号処理技術を応用して、今回のSQDと2SIの相互変換機器を開発したという。

実験では衛星ネットワーク 戸田SNG車庫から発信した8K信号を、スカパーJSATによる衛星JCSAT-3Aによってアストロデザイン雪谷本社で受信。映像の出力および表示にアストロデザインの各種機材、4Kエンコード/デコードに富士通の機材を使用した。使用機材は下記の通り。

■映像出力: アストロデザイン
 8K SSDレコーダHR-7518
 単盤式カメラヘッドAH-4801-B
 8K対応2SIコンバータ

■4Kエンコード/デコード:富士通 FUJITSU Network
 リアルタイム映像伝送装置 IP-HE950

■映像表示:アストロデザイン
 8K液晶モニタDM-3815
 8K DLPプロジェクター

■使用衛星: JCSAT-3A 合計120Mbpsによる伝送

関連記事