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シンガポールから日本に8K映像を多重送信

NICT、国際間で8K映像を途切れず配信する「8K多重化ライブ配信」を実施

公開日 2018/02/26 18:59 編集部:成藤正宣
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NICT(国立研究開発法人情報通信研究機構)総合テストベッド研究開発推進センターは、複数のIPネットワークを通じた多重通信により、シンガポールから日本へ8K映像を一切途切れることなく送信/再生する実証実験に世界で初めて成功したと発表した。

NICTがIPネットワークを用いた8K配信実験を実施

今回行われた実験は、データ量が非常に大きく伝送に多くの通信帯域を必要とする8K非圧縮映像について、多地点に対し多重配信が行えることを実証するもの。通常、ライブ映像を途切れ/乱れなくリアルタイムに遠隔地に送るためには、バックアップ経路を用意するだけでなく複数の通信経路から映像を同時送信する必要があるが、データ量が非常に多い8K非圧縮映像では多地点に多重配信できるネットワークの構築が必要とされていた。

実験は今年2月6日に行われ、シンガポールの南洋工科大から大阪の間に2本の100Gbps国際回線2本を用意。HD-SDI信号を16本使用するデュアルグリーン方式を用いて、シンガポール国内の8K録画および8Kライブ映像を大阪会場に向けて多重配信を実施。同時に国内6箇所の拠点でも受信を行い、その内3拠点で同時受信を行った。また、札幌-大阪間にも2本の回線を引き、8K伝送試験を行った。

シンガポールから遅延時間の異なる2回線を用意した

シンガポールから大阪の間に用意された2本の回線は、それぞれ香港と米国西海岸を経由しており、伝送遅延時間に約100msと大きな差があったが、IPマルチパス技術を応用することで受信側でパケット重複を同期制御。一方の通信経路でデータ喪失が発生したとき、別の通信経路からデータを補完できるシステムを構築した。

大阪会場では回線を切断するデモンストレーションも行われた

またIPマルチキャスト技術により、データの複製を送信元ではなく、通信経路上のルーターで行うことで通信経路の逼迫を防ぎ、複数の宛先に対して効率的なデータ配信も実現。国内3拠点での8K同時受信にも成功した。

今回の実験成功は、国際間でも8K映像の安定した配信がIPネットワークを用いて実現可能であることを示しており、同機構では医療用途などにおいても応用が期待できるとして、今後も技術開発を支援していくとしている。

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