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大阪本社買い戻し案も

鴻海のシャープ買収、正式調印。鴻海会長「企業文化の違いこそ強み」

公開日 2016/04/02 20:47 編集部:小野佳希
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また、「多くの方が有機ELのことばかりを言うが、IGZOのことも忘れないで欲しい」ともコメント。「OLEDの将来を考えると、IGZOのほうがコスト的には優れていると私は思っている。10年くらい前、VHS対ベータの対決があって、勝敗が決したのは技術面ではなくビジネス面が理由だった。もし私がエンジニアだったらコストも削減できるIGZOを推したい」と述べる。

会見終了後に郭会長が高橋社長と戴副総裁の肩を抱く一幕も

そして「弊社には優秀なデザインチームがいて、タブレットでもノートPCでもIGZOに対応できるようになっている。なのになぜOLEDと言われ続けているのかを考えていただければと思う。名前は伏せるが某社の罠にはまらないようお願いしたい」と、シャープのIGZO技術を積極的に活用していく意向を見せた。

■質疑応答で多数の質問

以下、質疑応答の模様をお届けする。

台湾からも多くのメディアが駆けつけていた

Q.高橋社長に、鴻海を選んだ理由を改めて聞きたい。

A.2010年以来、(SDPで)鴻海と一緒にやってきた。私自身も2年前に台北のヘッドクォーターで、特にナノテクノロジーで凄い技術開発をやっているのを見せてもらった。それに加えて、今回、この締結に至る間、多くの鴻海の方といろんな協議交渉をしてきた。そのときのスピードとパワーは凄まじいものがあった。その2つの経験を通して、よく巷に言われる、技術と生産力の融合などいうレベルではない、それを遥かに越えるようなポテンシャルがあるとひしひしと感じた。その結果、今回の提携に至ったということだ。

Q.郭会長から見た、シャープの強みと弱みはどこにあると思うか。また、その弱みをどう変えていくのか。

A.この数ヶ月やりとりしてきて、お互いを深く知ることになった。その過程でお互いの強さも弱みも知ったが、ここでは強みを説明したい。研究重視、開発重視といった考えがイノベーションに強みをもっている。鴻海は研究開発をサポートする、共同開発する、迅速にコスト効率を高めていくことに強みがある。シャープが製品を開発し、世界的な運営ができるようになるサポートをしていきたい。両者は補完的な関係にあると考えている。

Q.高橋社長に聞きたい。66%の出資を受けるということで資本の上では独立経営ではなくなるが、このことをどう思っているのか。また、デポジットの使途は限定されているのか。

A.前回、戴副総裁の会見で「買収ではなく投資だ」と言ってもらっている。鴻海はそういう気持ちをもってくれているし、我々も「買収されたから後はもういいや」という気持ちは絶対にもっていない。自分たちで立ってやっていかないといけない。1,000億円は成長分野に投資していきたい。ケースバイケースで使っていく。運転資金に使うことはできるだけ避けたい。

Q.高橋社長に聞きたい。4,890億円という話があった時点より前に「もうちょっと時間をかけたい」という連絡が鴻海からあったと思うが、なぜその時点で決議したのか。そして出資額が1,000億下がったことに対してどう思っているのか。

A.確かにいろんな経緯があったが、現在こうして並んで座っているということで、この提携が両社にとってよいものであるということだと思っている。まだ独禁法のクリアランスなどがあるので、締結のクロージングに向けて全力を尽くしていく。

Q.郭会長に聞きたい。今回の出資によって非常にポジティブな影響が鴻海の中小型ディスプレイ事業にあると思う。鴻海グループ全体のディスプレイビジネスの展開において、シャープはどのような位置づけになるのか。どういった形でシャープの技術、人材を活用していくのか。そして、これらは今回の条項にある、技術の国外流出を防ぐことの障害にならないのか。

A.古い技術の話はしたくない。3年か4年はその技術で生き残れるかもしれないが、それよりも将来の新しい技術のことを話したい。今までもいろいろな技術的変化を経てきたわけだが、新たなディスプレイ技術を開くにあたって非常に重要な時期だ。数年前はシャープはナンバーワンだったが、今はそうではない。できるだけ早く新しい技術のために投資していきたい。

今、まさに競争の土俵が変わるタイミングだと思うので、古い技術を見るのではなく、新しい技術に目を向けたい。新しい技術に勝利するのは早く動いたところだと思う。もう一点言うと、シャープはディスプレイだけの会社ではない。空気清浄機も白物家電もあるし、将来のIoT技術にも取り組んでいる。

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