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大阪本社買い戻し案も

鴻海のシャープ買収、正式調印。鴻海会長「企業文化の違いこそ強み」

公開日 2016/04/02 20:47 編集部:小野佳希
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既報の通り、シャープは台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業、および同社の完全子会社であるFoxconn(Far East)Limited、Foxconn Technology Pte. Ltd.、SIO International Holdings Limitedへの新株式(普通株式及びC種種類株式)割り当てを決定。本日4月2日、契約の調印式を実施し、シャープの高橋興三社長、鴻海の郭台銘会長と戴正呉副総裁が会見を行った。


■「本提携でシャープ自らが脱皮し、今後10年100年にわたって必要とされる企業であり続ける」

本提携は、鴻海精密工業とその関連子会社に、シャープの普通株式約2,888億円、C種種類株式約1,000億円の総額約3,888億円の株式を割り当てるというもの。出資総額が2月25日に発表していた4,890億円から3,888億円へ引き下げられた形となっていた。なお、「すでに契約を締結したので、今後これ以上の減額はない」(鴻海・郭会長)という。

調印を終え握手を交わす両社幹部。左から鴻海の戴副総裁、郭会長、シャープ高橋社長

シャープの高橋社長は、今回の提携合意を「当社の事業拡大および財務体質の改善にも寄与するとともに、SDPの共同運営で成功している両社にさらなるシナジーをもたらすものだ」と表現。「ホンハイが保有する世界最大の生産能力、グローバルな顧客基盤、そして当社の革新的な技術開発力の融合を図っていく」とする。

シャープ 高橋社長

また、シャープとしては本提携によって財務体質の改善を図り、今までは抑えざるを得なかった技術開発への投資を行う考えであると説明。加えて、今後もシャープブランドを維持すること、従業員の雇用を維持し、シャープの企業としての一体性も保っていくことに合意している点を改めて説明した。

そして、「本提携によってシャープ自らが脱皮し、今後10年100年にわたって必要とされる企業であるために、新しい価値を提供していく」と宣言。「我々はさらに前進して行く」と述べた。

敷地内にはシャープの旗とともに鴻海の旗も掲揚されていた

■「鴻海が変化をもたらさなければシャープは世界から食べ尽くされてしまう」

「シャープの歴史、イノベーターとして果たしてきた役割を尊敬している」と語る鴻海の郭会長は、「創業者早川徳次の勤勉さ、革新的な考え方はいまでも社員に息づいている。初のシャープペンシルから電卓、テレビ、家電への参入までイノベーターであることをシャープは繰り返し証明してきた」とコメント。「このイノベーションのDNAがあるからこそ私はシャープが大好きなのだ」と続ける。

鴻海 郭台銘(テリー・ゴウ)会長

そして、今回の提携は“買収”ではなく“投資”である点を強調。「シャープも鴻海も独立したものとして存続し、シャープの大株主が鴻海ということになる。両者の強みを活かして業務を進めていきたい」と述べた。また、シャープの高橋社長も「我々も『買収されたからもういいや』という気持ちは絶対にない。自分たちで立ってやっていかないといけない」と決意を語った。

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