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大阪本社買い戻し案も

鴻海のシャープ買収、正式調印。鴻海会長「企業文化の違いこそ強み」

公開日 2016/04/02 20:47 編集部:小野佳希
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さらに、消費増税をしない風潮にもっていくようマスコミに要求。「増税されるとお金が消費より貯蓄に回ってしまう。増税せずに多くの人にシャープ製品を買ってもらえれば結果として税収も上がるという論調を張ってもらいたい。経済的に大変な状況だが、両者が緊密に連携していきたい」と述べた。

投資した資金の用途については戴 副総裁もコメントし、「できれば大阪本社を買い戻したい」との考えを表明。「不可能だったとしても別の場所に再建したい」とし、「新しい建物の最上階に、シャープと早川徳次の博物館を作りたい。そのほかのスペースにはスマートハウス、エコハウスの展示をしたい」と続けた。

鴻海 戴副総裁

一方で、郭会長は「この戦略的投資が直面する課題を甘く見ることはできない」ともコメント。「現在世界経済は厳しい状況にある。世界の経済大国は成長力を失ってしまった。見通しも明るいとは言えない」としたが、「ただ、正しい方向性と競争力を持ち続ける限り、景気が悪いことを恐れることはないと思っている」と語った。

そのほか、質疑応答ではシャープ経営陣の責任を鴻海はどう捉えているのかや、従業員の解雇はあるのかといった質問も出た。これに対し郭会長は「現在の鴻海では個人の能力を理由に解雇している人が毎年3%程度いるが、日本においては、今いる人は全員残ってもらえるようにしたいと思っている」と回答。

「個人個人を見ていくと優秀な人達だが、現在のシャープは製品ラインが多すぎて、その統合がうまくいっていない。必ずしも適材適所になっていないので、適切な責任、適切なポジションをそれぞれの人が見つけられるようにしていく」と従業員の雇用について述べるにとどめ、経営陣の退陣については明言しなかった。

■「有機ELよりもIGZOを推したい」

シャープの技術力を高く評価する郭会長は、その技術力の好例が8Kディスプレイだとコメント。「私のような66歳の人間でも若者に見せてくれる(笑)」とジョークで会場の笑いを誘いつつ、「この技術を使って2020年の東京オリンピックを楽しむことができたらどうだろうか。それは革命とも言えるもので、世界中にこのディスプレイを見せられることを誇りに思っている」と語る。

会場では各ジャンルでのシャープ製品も展示

8K HDR対応のIGZO液晶ディスプレイも

加えて、シャープは世界で初めて液晶ディスプレイ技術をコンシューマー製品に投入した会社であった点にも言及。「シャープのリーダーシップによって、世界中の何億人という視聴者の喜びがさらに高まった」としたほか、「IGZO技術で先端を走っている」とも述べ、「シャープは液晶ディスプレイ業界の生みの親のひとつだ」とした。

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