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IoT活用の家電開発も

シャープ、鴻海が買収。出資金のうち2,000億を有機EL事業化に支出

公開日 2016/02/25 15:13 編集部:風間雄介
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シャープ(株)は本日、臨時取締役会を実施。経営状態を改善するための取り組みについて、台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業による支援を受け入れることを決議した。

シャープが4,890億円規模の第三者割当増資を行い、鴻海やその関連子会社のFoxconn Limited、Foxconn Technology Pte. Ltdがそれを引き受ける。これにより鴻海精密工業関連企業の持ち株比率は合計57.43%となり、過半を超える親会社となる。第三者割当増資の払込期間は今年6月28日から9月5日まで。

シャープの再建を巡っては、当初は官民ファンドである(株)産業革新機構が主導して再建するという構想が有力だった。

今回シャープが鴻海に決めた理由として、出資規模が4,890億円と大きいため、ディスプレイデバイス事業の競争力強化が見込めること、世界トップクラスの鴻海のEMSとしての製造技術を活用することで生産性やコストをさらに強められることなどを挙げている。

また経営の独立性や従業員の雇用維持、ブランド価値の維持、コア技術の国外流出防止など、シャープが求める項目に関して鴻海から強いコミットメントを得られたことも、鴻海を選んだ理由として強調している。

鴻海から調達した資金は、2,000億円規模を有機ELの事業化に向けた技術開発投資、量産設備投資などに活用する。2018年初頭には量産開始できるように準備する。

そのほか1,000億円は中小型液晶の高精細化や歩留まり改善、次世代技術開発投資などに振り向ける。そのほかIoTに450億円、エネルギーソリューションに100億円を投資する。

有機ELについては、今後スマホのディスプレイが液晶から有機ELに変わることを見越し、それに対応する。

具体的には、シャープがすでに持つ低温ポリシリコン技術(LTPS)とIGZO技術を組み合わせ、「これまでの有機ELディスプレイでは実現できなかったさらなる低消費電力を低コストで実現」する、としている。

またコンシューマーエレクトロニクス事業については、IoTとAI技術を組み合わせた液晶テレビやコミュニケーションロボット、調理家電など、これまでなかった新商品の開発を行う予定。

これらについてシャープは、「現下の財政状況により抑制せざるを得なかった成長投資であり、この第三者割当増資の実行後、すみやかに支出を開始する予定」と説明している。

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