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日本戦や決勝戦などを4K録画放送

4K試験放送がスタート − W杯4試合も4K放送決定

公開日 2014/06/02 13:34 ファイル・ウェブ編集部
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■メーカー5社が4K受信デモ − 総務副大臣らも4K放送実現をアピール

式典には、4K対応チューナーの発売を発表しているシャープを始め、ソニー、パナソニック、東芝、LGの5社が4K対応製品を展示し、実際の4K試験放送を再生。また、NexTV-F名誉会長の渡辺捷昭氏や上川陽子総務副大臣らが出席しあいさつを行った。

ソニーは今秋発売を目標に開発中である4Kチューナーのモックなども展示

東芝の4K対応REGZA「Z9X」


LGの4K対応テレビ「LA9700」

テレビ以外にも各社が様々な対応製品を展示

最初に登壇した渡辺氏は「4K、8K、スマートテレビなど新たな技術を活用した映像サービスについて、様々な国々、事業者がトライアルやサービス導入を加速している。我が国の産業界はこうした厳しい環境の中でしっかりと勝ち残っていかねばならない」とあいさつ。「4Kや8Kの高精細映像は医療や教育などでも新たな課題解決の手段にもなり得る。こうした次世代のサービスを一日も早く実現し、新たな市場を創出することが我が国のICT戦略の柱であり、成長戦略を推進するものであると信じている」と続けた。

NexTV-F 渡辺氏

4Kや8K映像技術の医療や教育分野への活用については、「全国をカバーする衛星放送での4K放送は世界初。たいへん素晴らしいこと」だとあいさつした上川副大臣も言及。「それがひいては日本経済の活性化の大きなカギになる。総務省としても、フォーラムと連携しながら、4K放送の普及、8K放送の早期開始に向けて取り組んでいく」とした。

上川総務副大臣

また、上記のように「アリス コンサートツアー2013 〜It's a time〜」が4K放送されるアリスから、谷村新司さんもイベントに駆け付けてあいさつ。1996年にコンサートを世界で始めてDVDで発売したことなどにも触れながら、自身の4K映像について「ライブの途中で(ステージからいったん退いたタイミングで)モニターを見たときに、今まで観たことのない色というか、黒の深さを感じた。それを観て、キレイだなと思って舞台に戻っていたのを覚えている」とコメントするなどした。

谷村新司さん


以下、質疑応答の模様をお届けする。

Q.世界で初めて家庭に4K放送を届けたということだが、今現在、受信している数はどれくらいなのか。

A.今日始まった4K試験放送を受信しているのは、この会場にある5台のみだ。今後はシャープから4K対応チューナーの発売がすでに発表されている。そうした製品が店頭に並び、家庭に入っていくことで、これから徐々に増えていくだろう。

また、4KのコンテンツをCATVのいくつかでもサイマル放送する。まずはCATV局の拠点でデモ的に放送されると聞いているが、このように徐々に広がっていくものだと考えている。

Q.会場のデモを体験してみると、各社のテレビでHEVCのデコードにバラツキがあるように感じるが、これの技術的解決の目処はどうなっているのか。

A.デコーダーだけでなく、今の段階ではインターリーブなどの問題もあってのデコード時間のバラツキになっているのかなと思う。HEVCのデコーダー、LSIはまだまだ発展途上。各社がまったく同じLSIでやるということはないだろう。最終的にはメーカー各社の考え方だが、微妙なタイミングの違いは出てくるだろう。そうした部分については、必ずしもフォーラムで「こういうふうにしてください」と決めているわけではない。

質疑応答の様子

Q.試験放送の終了時期についてはどう考えているのか。

A.まだ明確にしていない。我々としては、民間の放送局がビジネススキームとして起ち上がれば徐々にフェードアウェイする。できるだけ早く放送局が本格的に放送をしてほしいと思っている。

Q.4Kチューナー一体型の開発をNexTV-Fとしてメーカーに働きかける予定はあるのか。

A.フォーラムで、チューナー内蔵テレビを作ってくれというお願いはしていない。ただ、4K対応テレビについては、我々が規格を定めるよりテレビの登場のほうが早かった。これからはフォーラムの規格に沿って内蔵されることになっていくのではないか。

Q.一般の視聴者からすると、本放送の時期が気になると思う。本放送に向けて超えなければいけない課題やハードルはどう考えているか。

A.まだ受信機が家庭に揃っていない状態なので、まずそれを普及させなければいけない。スカパー!の協力もあり、既存設備を使える状況でスタートはするが、各家庭では専用チューナーが新たに必要になるなどの問題もあるため、やはりある程度時間はかかると思う。

量販店の店頭等で受信していただいて観ていただく、それを販売につなげていくということが重要だろう。CATVにも協力いただいていくが、これも録画なので、できればなるべく早い段階でCATVでもリアルタイムに遅れるようにしたい。IPTVでもスムーズに送れるように対応していきたい。

Q.4Kの試験放送が始まったばかりだが、政府のロードマップでは8Kという言葉も出ている。4Kと8Kとのの住み分けなど、8Kの課題をどう見ているか。

A.この分野の技術の進歩は極めて早い。現時点では4Kのトップを日本が走っているが、すぐに追いつかれる。並行して8Kの準備を進めていかないと次の時代にトップを走れない。4Kも8Kもそれぞれの目標を持って取り組んでいく。4K、8Kは日本のICT技術をアピールする絶好のチャンス。フォーラムとしても、4K8K揃って、通信との連携も併せて取り組んでいきたい。

今日ご紹介している4K放送は、CS 124/128度を使っているが、ここで8Kをやろうとすると帯域の問題があって不可能だ。8KはCS 110度の帯域を使う必要がでてくる。そこでちゃんと4K8K放送を行えるようにする方式を情報通信審議会で検討している。それをさらにシステムデザインに落として運用規定を作っていかなければならない。それができなければ8Kの放送ができない。2016年の8K試験放送、2020年の本放送に向けて、その規定の策定を行っているという段階だ。

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