HDMI Licensing、HDMI 2.0概要説明会開催 − 8Kへのトライアルも

ファイル・ウェブ編集部
2013年09月12日
HDMIのライセンス業務を行うHDMI Licensing,LLCは、9月4日に発表されたHDMI新規格「HDMI 2.0(関連ニュース)」に関する記者発表会を都内で開催した。同社社長 スティーブ・ベヌーティ氏が登壇し、HDMI 2.0の概要と同社の取り組みについて説明を行った。

HDMI 2.0規格がサポートする9つの新機能

なおHDMI規格については、1.0〜1.4まではHDMIコンソーシアムの設立メンバーである7社が開発してきたが、1.4bの規格制定後に「より幅広い業界がHDMI規格策定に参加するべきである」との考えから、2011年10月にHDMI Forum,Incが設立されている。現在の参加団体は88社。発表会の冒頭では、HDMI Forum 理事会 会長 アーノルド・ブラウン氏が登場し、「HDMIの新規格2.0は、次世代の4K(UHD)をサポートする大きなマイルストーンだ」とコメントした。

スティーブ・ベヌーティ氏

アーノルド・ブラウン氏

ベヌーティ氏はHDMI規格開発の姿勢について、「動画やオーディオをめぐるインフラに関わる会社として、常に市場が求める機能やフィーチャーを念頭に2年先、5年先を考えていかなくてはならない」とし、「10年以上前に私たちが活動を開始したとき、HDコンテンツは自宅で楽しむものだった。しかし今ではポータブルデバイスを含む数多くの製品で楽しめるようになり、利用環境も拡大している。こういった状況に対応していくことで、市場ニーズを満たしたい。今回のHDMI 2.0規格策定も、4K/60pのサポートが必要であるという市場の声を受けてのものだ」と語った。

HDMI Forumの参加団体は88社

■HDMI 2.0の概要

HDMI 2.0の概要はすでにお伝えしている通り(関連ニュース)で、これまでのHDMI規格との互換性も確保した最新の上位規格となる。

HDMI規格の機能比較一覧


大きな特徴としては、帯域幅が最大18Gbpsに拡大したことで、これまでより多くの情報が伝送可能になり、既存の4K 24/30pを拡張した4K 50/60pの映像信号を伝送できるようになった。

帯域幅が最大18Gbpsに拡大

4K 50/60pの映像信号に対応

なお、4K/60p伝送の際は輝度階調と色信号に制約があり、色信号を圧縮しない4:4:4信号のとき階調は8bitに制限される。4:2:2で12bit、4:2:0で16bitでの伝送が可能。なお、4:2:0はHDMI 2.0から設定された信号となり、1.4以前のHDMI規格ではサポートしていないとのこと。

60p以下の4K 24/30p信号の場合は、これまでは4:4:4で8bit、4:2:0で10bitとしていたが、HDMI 2.0では4:4:4で16bitまで対応するようになった。

また、CECも「CEC 2.0」に強化され、拡張コマンドと拡張コントロールを備えた。これまで、CECに準拠する機器が搭載するCEC機能は製品によってバラツキがあったが、CEC 2.0では既存のCEC機能を全て実装する仕様となる。

CEC 2.0では既存のCEC機能を全て実装する仕様になる

そのほかの新機能としては、同一画面を見る複数のユーザーに対して2つのビデオストリームを同時に伝送できる「デュアル表示」機能や、最大4人の複数ユーザーに対して個別のオーディオストリームを伝同時送できる「マルチストリームオーディオ」にも対応する。

「デュアル表示」

「マルチストリームオーディオ」

「デュアル表示」は3Dのアクティブシャッター方式を応用した仕組みで、視聴には3Dメガネを活用する。たとえば映像Aと映像Bを同一画面で表示する際は、映像AとBを超高速で交互に表示する。ユーザーはアクティブシャッターメガネを装着し、目当ての映像の際にだけシャッターを空けることで、自分が見たい映像だけを見ることができる。「デュアル表示」と「マルチストリームオーディオ」を組み合わせるといった利用法も考えられる。

映像表示としては、従来の16対9のほかに、シネスコ画面に対応する21対9の映像信号にも新たに対応するようになった。

画面アスペクト比21対9の映像信号にも対応

オーディオ信号のサポートは、従来の最大8chから最大32chに大幅拡大。ベヌーティ氏は「“3次元のオーディオエクスペリエンス”を可能にする機能強化」とコメントしている。なお、4K/60p映像と32chオーディオの同時出力も技術的にはサポートしているとのことだ。また、HDMI 2.0ではオーディオのサンプリングレートも従来から倍増しており、最大1,536kHzまで対応している。

オーディオ信号のサポートは最大32chに大幅拡大

サンプリングレートは最大1,536kHzまで対応

さらに新機能として「ダイナミック自動リップシンク」も加わった。これは、映像側の入力ソース・形式が拡大したことで処理速度にバラツキが生じ、映像と音声のタイミングがズレる現象を解消できる。映像と音声の再生機器が同一の場合はあまり発生しないが、例えば映像再生はテレビ、音声再生は外部スピーカーといったような、映像と音声の再生機器が異なる場合に生じるズレに有効な機能となる。自動で再生コンテンツの情報を検出しバッファーの調整を行うことで、ビデオストリームとオーディオストリームを同期する仕組みだ。

「ダイナミック自動リップシンク」にも新対応

■8Kへの対応は「トライアルを始めている」

既報の通り、HDMI 2.0はHDMIケーブルやプラグについては新たに定義を行っておらず、これまでのHDMI 1.4 HIGHSPEEDM(カテゴリー2)に対応した製品であれば対応可能。HDMI 2.0規格に単独で義務づけられている条件もなく、基本的には従来と同じ480p映像と2ch音声のサポートのみであとはオプションとなる。

HDMI 2.0は、HDMI 1.4 HIGHSPEEDM(カテゴリー2)であれば対応する

なお、8K映像への対応について質問を受けたベヌーティ氏は「4K/60pに対応するHDMI 2.0を発表したばかりなので、正直少し休みたい気持ちではあるのだが」と前置きしながら、「しかしインフラは静的ではない。私たちは常に市場ニーズに対応できるように成長することを考えており、既に8Kへのトライアルも始めている」と答えた。

HDMI対応機器の出荷数は年々増加しており、「2013年度で7億6,500万ほどを見込む」とベヌーティ氏は予想。HDMI規格採用企業は現在1,331社で、国別にみると中国が34%でトップ、次いで台湾が19%。日本は10%を構成している。

HDMI対応機器の出荷数予想


HDMI規格採用企業数

国別に見たHDMI規格採用企業の%
なお同社では、メーカー側がHDMI対応製品にHDMIのバージョンナンバーを表記することを原則禁止としていたが、HDMI 2.0でも基本方針は変わらないという。HDMI規格自体について語る場合にはバージョンナンバーを用いるが、対応製品にはバージョンナンバーではなく、機能名を使用するよう呼びかけていくとのことだ。

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