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コスト力強化のため薄型テレビ工場投資など見直し/欧州白物家電市場へ参入

パナソニック、2009年年頭会見を開催 − 「徹底的な体質改善と構造改革の年に」

公開日 2009/01/09 22:20 Phile-web編集部
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パナソニック(株)は本日、2009年の年頭会見を開催。同社社長の大坪文雄氏らが出席し、2008年の同社経営についての報告と、今年3月からはじまる2009年度の経営戦略について説明を行った。

パナソニック(株)大坪文雄社長

■2009年度は「徹底的な体質改善と構造改革の年」

大坪氏はまず2008年の総括を発表した。「世界的不況により、2001年度に行った構造改革による成長性・収益性の押し上げ効果は消失したと言っていい」と語った大坪氏。テレビなどデジタルAV事業や半導体・デバイス事業を含む「ABCDカルテット」はいずれも計画未達、海外増販も2桁成長は達成できない見通しだという。

2009年度は「徹底的な体質改善と構造改革の年にする」との方針を示し、引き続き「打って出る!(Rise to the Challenge!)」をスローガンとすることを発表。「難局をチャンスと捉え、経営の足腰を鍛える好機とする。グループの総合力を強め、社会に貢献できる企業であるためさらなる成長を目指す」と抱負を述べた。

2009年度を今後のための構造改革/体制強化の年と位置付けた

今年も引き続き「打って出る!」をスローガンに掲げ、収益を伴った着実な成長を目指す

2009年度は同社が2007年度から掲げるGP3計画の最終年度にあたるが、当初目標としていた売上高10兆円、ROE10%については「数字達成は正直に申し上げて厳しいかも知れない」と漏らした大坪氏。しかし「あらゆる施策をスピーディーに行い、目標に一歩でも近づけるよう努力を重ねることで、今後に繋げる。市況回復時には他社を大きく引き離し飛躍を狙う。来るべき創業100周年の年には、世界ナンバーワンだと胸を張れる企業を目指す」と前向きな姿勢を語った。

アメリカの金融危機に端を発した景気の低迷する現状を同社は「不況による需要縮小と、新興市場拡大や低価格製品への消費志向シフトなどといった市場構造変化が同時進行している」と分析しているという。大坪氏は「今必要なのは、今後の市場構造変化に対応できる事業構造の構築」と発言。複眼的な事業評価を行い、伸ばす事業と撤退する事業を明確化。シンプルかつ生産的な体制を目指し、今年4月より組織再編を行うことを明らかにした。

■組織再編で経営体質を再構築

具体的には本社機能を「経営戦略」「渉外」「ブランド戦略」「R&D」「グループ運営支援」の5つに再定義。各機能や組織ごとの費用ガイドラインに基づき大幅なコスト削減を実施する。削減分はドメイン・本部に還元するとともに、新規事業や新規市場の開拓へ重点投資するという。

本社構造を改革しグループ内の連携を強化する

ロボット事業など新規事業創出への取り組み強化も示された

グループ内のシナジー効果をより高めるための施策も実施。AVC社、パナソニック電工といった各ドメインと本社、本社R&Dが連携した「ものづくりイノベーション本部」や、2009年度より開始する「新規事業推進支援制度」によって資金/人材的支援を行い、ロボット事業などといった新規事業創出の強化を狙う。

また、2006年度以降赤字が続く事業/製品カテゴリーの撤退を前提とした整理を行うほか、社内基準に満たない約20の海外拠点からは原則撤退する。

これは一見、グローバル化を掲げる「GP3計画」の方向転換ともとれるが、大坪氏は「(方針は)変えるつもりはないし、目指してきた姿も間違っていない」と発言。新たにドメインと各地域本部・現地販社の間に「システム・設備事業推進本部(仮称)」を設け、ドメイン連携商材パッケージ開発や地域ごとの戦略構築を行うことにより、グローバルの事業基盤強化へ繋げる計画を発表した。

「特にアジア市場は前年に近い数字が見込める貴重な市場」(大坪氏)とのことから「BRICs(ブラジル/ロシア/インド/中国)+ベトナム」を中心に新興国に向け積極的に投資を行い、BRICs+Vで2009年度も2ケタ成長を死守する構えだ。また、欧州17カ国向けに白物家電展開を開始し、2月には欧州の拠点にてディーラーコンベンションを開催する予定だという。

海外増販はキーポイントを「強い製品の連打」と「販売力の強化」とし、主力製品のラインナップ拡大や地域ごとに最適化した製品の提供と販売網構築、そして新しい切り口を採り入れたブランドマーケティングを実践。該当地域の富裕層やNEXT Rich層へ向け積極的に製品訴求を行うという。

海外事業もドメインごとの連携を強化し競争力を高める

大坪氏は「いかにスピード感を持ってグローバル展開ができるか、そしてグループ内の力を融合した商品を作れるかがキーになるだろう」と語った。

■コスト力徹底強化目指し「イタコナ」の基本に還ってモノづくりプロセスを見直し

また、原材料の板と粉といった源流の部分まで遡り徹底したコスト削減を目指す「イタコナ」の意識を社員全員で共有することも目標に掲げ、全てのモノづくりのプロセスとそれにかかるコストを明確化し、効率化を図る。

「イタコナ」の意識を社内に浸透・定着させコスト力を付ける考えだ

後述する薄型テレビ工場のように、設備投資を厳しく選定。コスト回収を前提条件とした大胆な選択と集中を行うことにより、最小の投資で最大の効果を上げる姿勢を徹底するという。

そのほかスケールメリットの追求や材料調達コストダウン、固定費の削減や在庫管理の徹底を行う。大坪氏は「現状から考えるのではなくまず理論上可能なコスト水準を設け、その実現に向け全社員で知恵を集め努力する」という断固たる姿勢を見せた。

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