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日立、2010年に10mm以下の超薄型プラズマテレビを発売へ

2008/02/08
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(株)日立製作所は本日、同社パネル事業展開に関する説明会を開催。会には同社執行役常務 ユビキタスプラットフォームグループ長&CEOの江幡誠氏が登壇し、説明を行った。

(株)日立製作所 江幡誠氏

江幡氏は今後の薄型テレビに求められる性能として「デザイン」「インテリア性」「高画質」「いつでもどこでも楽しめる」「エコ」の5つを挙げ、2009年以降の同社薄型テレビ商品展開のロードマップを発表した。

薄型TVロードマップ。2010年以降は有機ELパネルも事業のひとつに加わる予定だという

2010年には薄さ10mm以下のプラズマテレビを商品化することを発表した

これからのテレビに必要な5つの要素をカバーしていくことを示唆

2008年春には、既に発売された「UTシリーズ」(関連ニュース)に加え、コントラスト比15,000対1の新パネルを搭載した製品をリリース予定。また2008年中には、アクトビラ対応製品の発売や、全機種のiVDR対応なども計画している。また、2009年を目処に、薄さ19mmの液晶テレビに加え、今年のCESでも展示された薄さ35mmのプラズマテレビ(関連ニュース)などの超薄型PDP/LCDを商品化。消費電力を半減させたプラズマテレビ、LEDバックライトを採用した液晶テレビなども計画する。そして2010年には、薄さ10mm以下の超薄型PDPを商品化する予定だという。江幡氏は「2010年度は、超薄型テレビを中心に薄型テレビ市場シェア10%、特に50V型以上の市場ではシェア15%を狙いたい」と抱負を語った。

中でもプラズマパネル事業は強化を図る。同社によれば、ブラウン管からの置き換え需要継続や中国企業のPDP事業強化などの理由から、PDPの需要は引き続き拡大する見込みだという。これを受け同社は、パネルの外販を本格的に拡大。富士通日立プラズマディスプレイ(株)を100%子会社化し、2008年4月1日より「日立プラズマディスプレイ(株)」とし、「プラズマ・ソリューション・カンパニー」として、生産効率やコスト力を強化していく意向だ。また、独自方式のALISパネルだけでなく、一般的なプログレッシブ方式のパネル生産も開始。外販先の意向に合わせて両方式のパネルを用意し、2008年度下期には50万台、2009年度は120万台の外販を見込んでいるという。

拡大するPDP市場に向けパネルの外販事業を展開するという

テレビ・パネル合わせて薄型テレビ事業の黒字化を図る考えだ

2010年度には薄型テレビ市場シェア10%を目指す

なお同社広報によれば、ALIS方式パネルは完全に廃止されるわけではなく、メイン製品ではなくなるがラインナップのひとつとして継続して用意していくという。

今回プラズマパネル外販拡大を発表した背景には、同社の薄型テレビ事業部門の収益悪化がある。北米市場での苦戦や日本市場での製品大型化伸び悩みなどを受け、2006年度は売り上げ拡大を実現したものの当初の目標には届かず、投資を回収しきれなかったという。

この現状を受け同社は、コストを削減し競争力を強化するため、製造・販売拠点の効率化や原価低減、サプライチェーン・マネジメントによるロジスティクスコスト削減などを計画。市場環境や開発投資効率などの理由から、オーストラリアからは今春を目処に撤退。日本と中国、アジア市場での販売を強化し、北米や欧州市場では販売戦略の見直しを行う。また、商品開発・製造の効率化を図るため、モニター部とチューナー部を分離したデザインを採用。日本にて製造した全世界共通設計のモニター部分に、各地域ごとの仕様に対応したチューナー部を合わせて販売することで、開発コストを削減するという。

説明会場には薄さ19mm液晶テレビも展示された

薄さ35mmプラズマテレビも登場

以下、説明会で執り行われた質疑応答の主な内容を掲載する。

Q.今後は液晶よりもPDPに注力していくということなのか。また、液晶・有機EL分野で松下やキヤノンと包括提携したように、PDP事業を他社と提携して行う考えはあるのか。
A.サイズによって液晶/プラズマそれぞれのパネルの強みを活かした製品を作りたいと考えている。プラズマのみに注力するということではない。PDP事業提携は、互いに利益があるなら進める考えはある。

Q.薄型化より先に進めるべき技術開発があるのではないか。
A.我々としても闇雲に薄型化を推し進めているわけではない。薄型化は発光効率、エコ、デザイン性などテレビに重要な要素を包括し、集約されたものだと考えている。

Q.営業コストを削減することにより、日立製品のシェアが下がってしまうおそれはないか。
A.確かに実売台数が減少することは必定であり、やむを得ないことであると考えている。コストや固定費の削減でこれをカバーし、全体としての体力を保持していく考えだ。

(Phile-web編集部)

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