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【特別対談】bohemianvoodoo最新作「MOMENTS」試聴

ジャズピアニスト木村イオリ×エンジニア岡本司が語った、マランツ「M-CR612」は“血の通った音”が聴ける

インタビュー/構成:PHILE WEB編集部

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2019年04月12日

マランツ サウンドマネージャー 尾形好宣さん(以下、尾形さん) 一緒に聴いていて、特にハイレゾ音源の音については、最新サウンドだけれど暖かみがあって刺々しくない、肌触りの良い音で、それでいて密度感がある印象を受けました。本作ではどういった音の方向性を目指したんでしょうか?

岡本さん 方向性…難しいですね(笑)

7年間の経験とコミュニケーション、相性の良さもあって、音作りは言葉を交わさずともスムーズに進むという

イオリさん 言葉で説明しようとすると難しいですが、バンドのメンバーと岡本さんとの中で共通イメージはありました。でも、一緒にやってきてもう7年目になることもあって、あえて「今回はこうしよう」と言葉にして交わしてはいないです。

岡本さん そこは経験とコミュニケーションですね。bohemianvoodooとは最初から噛み合いが良かったというか、あまり細かく説明したりされたりしなくても、そういった共有がすんなりできました。相性が良かったんですね。

イオリさん あと、レコーディングの時はまず、試験的にワンテイク録るんですね。そこで岡本さんがイメージしたセッティングの音を確認するのですが、『MOMENTS』では、こういう音が作りたかったというものがその時点で出ていたと思います。

尾形さん 最初の録音は、各楽器ごとに個別で録られたのですか。

岡本さん 各楽器ごとにブースで区切ってマイクを立てていますが、全員で一緒に演奏して録音しています。

尾形さん 全員で一緒に演奏するとなると、録音した時のバランスはどのように調整していますか。

実際に鳴っている音を記憶し、コントロールルームに戻って確認、そうした作業を繰り返して「楽器が鳴っている自然なバランス」を大事にして録音を進めるとのこと

岡本さん 基本として最初に、演奏しやすいバランスを考えて設定します。その際は、楽器の鳴りが自然に聞こえるバランスを心がけていますね。楽器の一部の音が過剰に大きくなったり、変に目立つことがないように、一旦スタジオで楽器の音を聴いて、コントロールルームに戻っても同じバランスで再現できているかを確認しながら作業しています。

例えばピアノひとつとっても、弾く人が変われば音も違ってきます。なのでその音をしっかり覚えて、いかにコントロールルームに持ち帰るかが、最も重要といえます。ベースもギターも、みんな出したい音を出しているので、それを「こういう音にしたいんだろうな」と感じ取ってマイクを選ん で、楽器の音を聴いて、またコントロールルームに戻って...これらを繰り返して、実際に鳴ってい る音の気持ちいい部分をきちんと拾えているか、楽曲の世界観も考えながらバランスを組んでいきます。それによりいい演奏が録音でき、いい音楽の近道になります。

尾形さん なるほど。ちなみに私は普段スピーカーで音楽を聴くのですが、再生された時のサウンドバランス、音の定位など、製作時にどんな風に想像されていますか?

岡本さん 録っている時は、ライブに近い感覚を重要にしています。こういうプレイをしたらこう聴こえる、ということが理解できるようなバランスで録音しているつもりです。ミックスはまた別で、ライブとは異なる演出が必要になってくるので、そこはメンバーと話しながら方向性を共有して進めていますね。

尾形さん 私たちは、いまお二人がお話されたような、アーティストやエンジニアのみなさんがイメージした音をできるだけ再現できるようなオーディオ製品の開発を目指していると言えます。今回は、どんなふうに聴こえましたか?

岡本さん 気をつけてやったポイントがよく表現されていると思います。

イオリさん 今回、ピアノのタッチを変えて様々な音色を弾いているんですが、その変化が演奏に忠実に再現されています。このシステムで聴くことで、録音の仕方も正しかったということがわかりますよね。毎日これで聴きたいと感じる音です。

尾形さん ありがとうございます。それを聞いてほっとしました(笑)

ーー イオリさんは普段、モニタースピーカーで聴くことも多いと伺いましたが、今回、現在のマランツの最高峰のシステムで聴いてみて、“マランツの音”というのは何か感じるものはありましたか?

“マランツの音”は、「密度感が高くはっきりと聴こえるのに、耳に痛くない心地よいサウンド」に感じたという

イオリさん レコーディングで使うモニタースピーカーはニュートラルなのですが、味気なく感じることもあります。マランツのシステムではぎゅっとした密度感があって、はっきりと聴こえるんですが、それでも痛くないというか。心地良く気持ち良く聴けますし、それでいて物足りなさは感じないというのが今日聴いた印象でした。

ーー 岡本さんはいかがでしょう、エンジニアの立場からモニタースピーカーの音とハイエンドオーディオの音は、どんなふうに違って聴こえましたか?

岡本さん ハイエンドオーディオの音はやはり気持ち良く聴けますよね、自分が録音したものをこういった環境で聴いてもらえたら嬉しいです。96kHz/24bitで音作りをしているので、やはりハイレゾ音源で聴くと、スタジオで作業して最後に「やった!できた!」と完成させた時の音がそのまま出ていて、良いなと思いました。ここまでのシステムであれば、CDよりハイレゾで聴いて欲しいですね。

ーー なるほど。ハイレゾ品質での録音というのは現在では一般的かと思いますが、ハイレゾ品質のマスター音源とCDの音のちがいはどのように意識されていますか。

岡本さん そうですね。録音現場では5年くらい前から、特にアコースティックのインストルメンタルものは、96kHz/32bitなどで作業することも多いです。作業時は、今聴こえるものを全て信じて作業するという感じで、CD品質になることを特別意識してはいないです。もちろんCDでも大事なところはちゃんと残っていますが、録音時と同じ情報量で聴ける環境がもっと広まったらいいなというのは、エンジニアとして思うことでもあります。

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