HOME > インタビュー > 記事

インタビュー

オーディオアクセサリー160号に全文掲載

デノンとマランツ、新サウンドマネージャー対談が実現! 両氏が語る「変えていくこと」「継承するもの」

季刊オーディオアクセサリー編集部
2016年02月19日
日本を代表するオーディオブランドであるデノンとマランツは、ディーアンドエムホールディングスという同じ会社が手がけるブランドだ。しかし、その起源や歴史、サウンドポリシーも全く異なっている。この2大ブランドに、新たなサウンドマネージャーが誕生した。2月20日発売の『季刊オーディオアクセサリー 160号』では、今回新たに就任したお二人に、それぞれのブランドの「継承」と「革新」について語ってもらった。

【写真右】(株)ディーアンドエムホールディングス GPDエンジニアリング デノンサウンドマネージャー 山内慎一氏 【写真左】同社 GPDエンジニアリング マランツサウンドマネージャー 尾形好宣氏

−− 本日はデノン、マランツそれぞれの新たなサウンドマネージャーを務めるお二人にご登場いただきました。お二人ともCDプレーヤーのご担当だったというのは興味深いところです。まずはデノン、マランツそれぞれの音質ポリシーについて、"受け継いで行くところ”と"新たに更新していくところ”についてのお考えを伺いたいと思います。

山内氏 デノンの音質として受け継いでいく部分は当然あります。従来のデノンファンの方々に理解してもらうことはやはり大切です。私はデノンの伝統の音とは「繊細さと力強さ」だと考えていまして、そこは守っていきたい。ただ、自分はそれを少し発展させて、新しい要素として「反応の良さ」という要素を加えていきたいと思います。自分では「ヴィヴィッド」とも呼んでいます。自分にとってヴィヴィッドな音とは、つまるところ音楽の表情やパッションなどがクリアに伝わることです。デノンの音を発展させて、よりそういう方向に持っていきたいと考えています。

【山内氏プロフィール】1987年、日本コロムビア(株)に入社。設計部に配属され、業務機器からそのキャリアをスタート。1988年にはコンシューマー向けのCDプレーヤー設計に配属。以後、CD/DVDプレーヤーほか、光ディスク関連の開発設計をはじめとする多ジャンルでの音質設計に従事した。大ヒットとなった1650シリーズ、名機として名高い「DP-S1/DA-S1」「DCD-S1」「DCD-SA1」「DCD-SX」などのハイエンドモデルの開発にも携わった。2015年、デノンのサウンドマネージャーに就任した。

もう一つは、デノンはもともとレコーディングやプロ用機器の会社だったので、やはり性能に関してはこだわってきました。そこから音の正確さや安定感といった部分が生まれてきたのですが、そこから発展させて「音楽再生の全体的な見通しの良さ」も進化させていきたいのです。いわゆる「サウンドステージ」とか、自分としては「スペーシャス」という言葉を使うのですが、これは現在のオーディオに必要な要素だと思っています。今回の2500シリーズにはまさにそのような要素が注入されています。まずは音を体験していただきたいですね。


2月20日発売「オーディオアクセサリー160号」は創刊40周年記念号。厳選コンポーネントの大スクランブルテストのほか、MAYAさんの特別CDも付いてくる。40年の振り返り企画も!
先日もプレス向けに発表会を行いましたが、製品の解説の時間では音質についてイメージできない方も多かったようなのですが、最後の試聴タイムを終えたあとになって「あ、そういうことなんですね」とご納得いただけました。そういう意味では良かったと思いました。

尾形氏 私はサウンドマネージャーとしてはまだ見習いで、具体的にマランツの音を「ああしたい、こうしたい」とは現段階では明確な言葉を持っていません。私は入社して20年になりますが、製品として出てくるマランツの音は、どんどん変わってきていると思います。それはレコードの時代、CDの時代、SACDの時代、そして今はハイレゾの時代などと言われていますが、ソース自体も変遷していますし、モニタースピーカーも違います。ですから、どんどん周りの環境が変わってくるのに合わせて、それに適応できるように製品を開発してきています。

マランツのポリシーはソースをいかにありのままに再生するのかという点にあります。アコースティックな録音であれば、空間表現がどれだけ自然に出せるかということになります。ですから「このソフトはこういう風に録音されているのだな」ということが感じられるような音であったらいいなと思っています。それは前任者の澤田も求めてきたと思いますし、きちんと受け継いでいきたいところです。

それから、私が思うマランツとデノンの音の違いですが、イメージとして、マランツはスピーカーの奥に音場が広がり、高さが出るという部分で違いがあると思っています。

−− 理想の音質を追求するために取り組んでいる技術的なポリシーがありましたらお聞かせください。

山内氏 デノンの場合は最新技術を開発し、活用することは比較的先駆けてやってきたという背景があります。また、もともとが局用の機器なども作っていたので、精密さや正確さにこだわっています。 私自身は、もちろん技術は大切なのですが、機構や回路、グラウンドの処理等々、なるべくシンプルで複雑化しない方が、響きというか素性的にもいいのではないかと思います。ですから設計の担当者はサウンドマネージャーが変わったことで、その部分はアプローチが少し変わったのではと思っているはずです。

あとはUHC-MOSやAdvanced AL32といったデノン独自の技術的なポイントがありますが、そこは今後も発展させていこうと思っています。

尾形氏 マランツは技術的なところでは、アンプでいうとオペアンプを使わないで、ディスクリートの回路構成で、スルーレートの高いアンプにしましょうという基本的なところは一貫しているので、その部分を継承していきます。デジタル系でいうと、デノンの方は最新のものを次々に開発していくという話がありましたが、マランツは歴史的に、あまり新しい技術には飛び付かない部分があります。吟味してそのパーツが生きるシーンがあれば考えましょうというスタンスです。ただし、最新のフォーマットに対応するとかは別の話で、その部分は積極的に取り入れています。

【尾形氏プロフィール】1995年、日本マランツに入社。CDプレーヤーの電気設計となり「SA-1」など数多くの名機を担当。2001年に商品企画に異動となりHi-FiモデルやDLPプロジェクターを担当。2007年よりマランツアメリカで3年間駐在した。商品企画に戻り、マランツモデルの企画を経た後、アプリの企画を担当。2012年アプリ開発、2013年UX/UI開発にてアプリ仕様を担当、ユーザー分析も兼務した。2015年次期マランツサウンドマネージャーとして指名を受け、2016年より同職に就任予定。

その中で、デノンでいうとアルファプロセッサーみたいなものがありますが、そういう部分は、マランツは歴史的にやってきていないです。デジタルのデータを補完したり加工したりはしません。例えばDAコンバーターも、たすき掛けで重ねて何段にもして、ノイズレベルを下げるようなことはマランツはやらない。経験的に音が濁ってしまうのです。“シンプルでストレート”がポリシーです。

デジタルフィルターに関しては伝統的な手法を使っています。「HD-AMP1」ではESSの新しいDACを使いましたが、その時にもESSに内蔵するデジタルフィルターではなく、カスタムメイドのフィルター係数のものを書き込んで使えるという特徴があったので採用し、マランツなりのアレンジをしています。アレンジというのは音を加工することではなくて、マランツなりのオリジナリティが出せたという意味です。



ここまででも、デノンとマランツの音作りの違い、あるいは共通しているところがおわかりいただけたのではないだろうか。AA誌所収記事ではこの後、山内氏、尾形氏が各ブランドで実現したい目標を語る。さらにはマランツサウンドマネージャーの前任者である澤田龍一氏が対談に乱入! 全文は2月20日発売の季刊オーディオアクセサリー160号でお楽しみ下さい。

関連記事