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デジタル部門・ヘッドホン部門のリーダーが語る

オーディオクエストのキーマンが来社。同社初のイヤホン開発状況や「BEETLE」などを解説

2015/11/05 編集部:近藤 貴彦
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USBフィルター「JITTER BUG」

続いて、日本でも発売済みのUSBフィルター「JITTER BUG」を紹介。USB-DACと接続するUSBケーブルとPCの間に直列で接続するほか、空いたUSBポートに使うといういわゆる並列的な使い方でも大きな効果があるという。

JITTER BUG

「JITTER BUGを使用することは、Dragonflyのような安価なDACに有効なだけでなく、ハイエンドブランドのDACなど、いかなる価格のシステムにおいても改善が見られます」(Steve Silberman氏)

USBポートから発生するノイズを抑えるというのがJITTER BUGの1つ目のポイントで、2つ目のポイントはデータライン上の問題を修正することだという。

「デジタルデータというのはシンメトリカルでなくてはなりません。つまりバランスがとれた状態ということです。しかし、現実は歪んでいるというか、必ずしもきちっと同期していません。JITTER BUGは、それを訂正して、きちっとしたバランスで動作をするようにします」(Steve Silberman氏)

オーディオクエスト初のヘッドホン「NightHawk」

最後に、オーディオクエスト初のヘッドホン「NightHawk」の紹介と、来年発表予定のNightHawkの密閉型モデル「NightOwl」や、その次に発表を予定しているIEM(インイヤーモニター)の構想について語ってくれた。

NightHawk

「私は、ヘッドホンを100本以上所有するエンスー(熱心家)なのですが、それらのいずれについても少なからず問題を抱えています。その問題をどうやって改善していくかということを、NightHawkというモデルにつぎ込みました」(Skylar Gray氏)

ヘッドホンに内在している大きな問題として、安いモデルであろうと高い商品であろうと、価格帯に関わらず、トーンバランスとディストーションの2つが挙げられるという。

「トーンバランスについて、多くのオープン型ヘッドホンは3kHz〜8kHzくらいまでを強調した音作りになっています。この帯域を強調するのは、人間の知覚に深く関係していて、1970年〜80年にほぼ確立された理論です。これに対して我々は新しい理論に立脚して、“強調する”ということを見直し、もっとナチュラルに、本当に自然なサウンドにしたいと考えました。そうして製作したのがNightHawkです」(Skylar Gray氏)

ディストーションについては、NightHawkとマーケットで定評のあるハイエンドヘッドホン(価格はNightHawkの約2倍)を比較したというグラフを用意し、説明してくれた。

青色がハイエンドヘッドホン、赤色がNightHawkの周波数ごとのパターンを表記

ハイエンドヘッドホン(青)は周波数が低い段階からNightHawk(赤)よりはるかに悪く、非常に高い周波数で二回ピークを迎えている。この違いについては、ハイエンドヘッドホンが、大多数のヘッドホンがプラスティックの振動板を採用し、NightHawkがバイオセルロース振動板を採用していることに起因しているという。

「NightHawkは、サウンドキャラクターの部分やディストーションの部分などを大幅に改善していますので、長時間のリスニングに向いています。長く聴いても耳の疲労感が少ないのです」(Skylar Gray氏)

来年発表予定の密閉型ヘッドホン「NightOwl」とIEM

NightOwlは、NightHawkのプラットホームをそのまま使用した密閉型モデル。価格帯もほぼ同様となる予定だ。カラーは、ダークブラウンのNightHawkに対して、ダークグレイ仕様にすることで違いを一目で分かるようにするという。

そして、NightOwlに続いて発表予定というのが、同社初となるイヤホン。Skylar Gray氏は、もともとハイエンドイヤホンブランドのWestoneに在籍していたエンジニアで、カスタムIEMを含むイヤホンの開発を専門としていた。

形状は小さいとはいえ、IEMにもNightHawkで培ったテクノロジーをスケールダウンしながら盛り込んでいくという。また音響的な部分やエルゴノミクスのに関しても斬新なものにし、装着時の快適性についても従来にないものを考えていると説明した。

価格は、未定ではあるが100ドル以上300ドル未満になるとのこと。ケーブルはリタッチャブル式で、リケーブルも用意する。

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