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Pyramixのサウンドを家庭で

高音質DAWの最高峰がオーディオ参入。マージングが投入する「NADAC」の全貌を開発責任者に聞く

公開日 2015/10/07 12:41 季刊NetAudio編集部 浅田陽介
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■AUDIO over IP「Ravenna」が可能とすること

―Pyramix Sysytemといえば、昨今デジタル・オーディオの世界で話題となりつつあるAUDIO over IP「Ravenna」をそのまま採用していますね。

Bruhart氏 はい。USBでもThunderboltでもなく、私たちはRavennaを採用したレコーディングソリューションを開発しています。もともとRavennaは放送業界向けに策定されたもので、IPそのものも大容量のデータを制限されることなく伝送することを前提としています。このAUDIO over IPの方式には他に「Dante」などがあるのですが、それらはライセンスの兼ね合いもあって不透明な部分が少なからずあるのです。一方でRavennaはオープンなものですので、この伝送方式についてすべてを理解することができました。私たちは、自分たちで完全に理解できないものを採用することを避けたかったので、Ravennaを採用したのです。

NADACの接続例。NADACとPCをP2Pで接続できる他、ネットワーク上の複数のデバイスをNADACへ接続することもできる

―Ravennaを採用したことで、何が可能となるのですか?

Bruhart氏 サウンドに関わるフォーマットの部分では、DSDやDXDを安定して、かつ正確に伝送できるということですね。もともとレコーディングソリューションを開発している私達にとっては、DSDやDXDといったハイサンプルのデータを多チャンネルで安定して伝送することが求められます。IPでは先程も申し上げた通り大容量のデータを伝送することができるので、結果として多くのDAWでは不可能だったハイサンプルのデータ伝送を実用レベルまで引き上げることができました。ですから、NADACでは8chのマルチチャンネルにおいてDSD256まで伝送することが可能となったのです。

それと使い方の面でも、通常の機器でありがちなある種の制限を、大きく取り払うことができます。例えば、通常のD/AコンバーターのようにP2P(1対1)で接続したり、ルーターを介在させて複数のNADACを接続したり、あるいは複数のソースをNADACへ送り込んで一つはヘッドホン、一つはラインアウトというように分配することも可能です。また、この場合は、同一のネットワーク上にある他のデバイスからNADACのIPアドレスにアクセスすることで、音量や入力を切り替えるリモコンとして機能させることも可能となります。UPnPではないので、通常のネットワークプレーヤーとは異なりますが、それと近い使い勝手も実現することが可能です。

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