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「AK4490」搭載機が人気に

AKMのオーディオマイスターに聞く、最新DACに搭載「VELVET SOUND」の特徴

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構成/編集部:風間雄介

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2015年07月02日

佐藤氏がOSRDについて説明する。「ΔΣモジュレーターが出すノイズは、通常は可聴帯域外に追いやられているので、従来はあまり気にしていなかったのですが、この部分を改善すると音が良くなるという検討結果があり、今回の製品で徹底的に下げたら、いろいろなところに良い影響が出ました」。

開発に携わった、同社 オーディオ&ボイス事業開発部 第三グループ グループ長の安仁屋満氏も付け加える。「システムには、DAC以外の別のクロックも使われています。その別のクロックの周波数帯に、このモジュレーターが発生するノイズがあると、このノイズが変調され、かけ算されて戻ってくることがあります。そうすると音全体に悪影響を与えてしまうというわけです」。

青が他社製DAC、ピンクがAKM製DACの帯域外ノイズ。これを押し下げたことが音質に大きな効果を発揮したという

ローディストーションテクノロジーとOSRDによって、歪みやノイズを徹底的に抑えたVELVET SOUND。開発に苦労もあったのではないか。

「いや、これが血のにじむような苦労の連続でした。私が、ではなくて開発の人間の話ですけどね」と佐藤氏は笑う。通常では試作品を1パターンしか作らないが、今回の新製品では、これを5〜6パターンも作り、試聴を繰り返したのだ。「10dBや数十dBの歪みを抑えるというのは、なかなか時間がかかりました。S/Nはシミュレーションでかなり事前に試算できるのですが、歪みというのはシミュレーションではなかなかわからないのです」。

開発にあたっては安仁屋氏が粘りに粘ったのことで、まずは定量的な評価を行い、スイッチドキャパシターなどを工夫するなど試行錯誤しながら、シミュレーションではあまり出ない部分の作り込みを行った。

ただし、数値ばかりにこだわったわけではない。今回のテーマである「原音再生」や「低音表現」という、音質の部分が最重要であることは当然。数値だけをよくして全体のバランスを崩し、結果的に音にしわ寄せが言ったのでは元も子もない。音質を高めながら、なおかつノイズフロアの数値を下げるという、いわば聴感とスペックの両立を限界まで追求したのだという。

佐藤氏が音決めを行っている専用試聴室

あらかじめ5種類のデジタルフィルターを用意している

VELVET SOUNDには、あらかじめ様々なSound Colorを持つ5種類のデジタルフィルターが用意されていることも特徴。ロールオフフィルターやプリ/ポストエコー、エッジなども設定されている。このフィルターを一般ユーザーに開放するか、それとも一つのフィルターを選択するかは、セットメーカーの裁量にゆだねられている。



ここまでAKM「VELVET SOUND」の特徴をお伝えしてきた。現在開発中の製品(2016年頃出荷予定)では、位相特性が変わらないデジタルフィルターが新たに搭載されるとのことで、今後も製品ラインナップは順次拡充される。

AKMのオーディオ用DACラインナップ

今回お話を伺って、DACが搭載された最終製品はもちろん、DACそのものの開発にも、非常に多くのこだわりが込められていることが、あらためて理解できた。DACは今後もオーディオ製品に欠かせないキーデバイス。引き続き最新動向をウォッチしていきたい。


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