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登場から1年あまり、その魅力を改めて検証

【特別鼎談】PC-Triple C開発陣×貝山知弘 - 「ペンクラブ音楽賞」受賞や開発秘話を語る

公開日 2015/06/02 10:00 構成:編集部 小澤貴信
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鍛造によって結晶粒を連続化させたPC-Triple C

矢口 PC-OCCの生産終了に伴って新導体の開発が急務となり、様々な方法を模索しました。いわゆる6N/7N等の高純度銅にも、スムーズな信号伝送を妨げる結晶粒界は多く存在しています。導電率の向上には、やはり結晶の連続化が不可欠だったのです。そこで、PC-OCCと同等に長手方向に連続した結晶構造をもっており、また信号が流れる方向を遮断する結晶粒界を極力少なくした導体の開発を目指したのです。

PC-Triple Cの母材となるOFCは、鋳造時に不純物が付着したミクロン単位の異物をさらに除去した、独自の鋳造法で製造される高純度銅素材です。屈曲性や強度の高さゆえにオーディオケーブルに適していて、結晶粒界の不純物が極微なので微小信号まで伝送が可能です。しかしOFCは、PC-OCCのような単結晶素材ではなく結晶粒界を持つため、導通特性でPC-OCCに及ばないのが欠点でした。またPC-OCCのような単結晶素材であっても、導体内部に空礫(くうれき)などが発生してしまうことは避けられません。

このOFCの結晶構造に一定の角度と方向を持たせ、80%まで小圧力で数万回の連続鍛造(定角連続移送鍛造法)を施すのです。すると縦方向に存在した結晶粒と粒界は長手方向に変化し、結晶同士が繋がって連続化されます。また、鍛造することによって導体内部の空礫も消滅させられるので、導電率の向上や音響特性に良い影響を与えます。

PC-Triple Cでは、信号経路の銅結晶粒を連続化させること、信号の妨げとなる結晶粒界を分離することの2つに同時に成功したのです。このため導電率の向上や信号伝送時に発生する振動を結晶粒界が吸収し、より良質な音響特性を実現できました。

上図はPC-Triple Cの加工による内部組織の変化を示している。右側の「縦断面マクロ組織」図における赤線は結晶方向を示す。鍛造から伸線を経て、結晶の方向が「縦」から、電流の流れと同方向である「横」へと変化していくことが確認できる

芥田 PC-OCCは、鋳造によって単結晶かつ長手方向に伸びた結晶を製造します。しかしPC-Triple Cで同様の手法を採るのは難しそうだと矢口社長に相談しました。そして、加工でもって結晶の柱を倒して、長手方向に伸ばしていくというアイデアにたどり着き、実際に試してみたらかなり効果がありました。もちろんオーディオ的な効果を判断するのは私の役目ではなく、矢口社長の仕事でした。

貝山 鍛造という手法の効果は極めて大きかったわけですね。

芥田 銅線において音を変えうる要素が大きく2つあります。まず1つが「銅の純度」です。6Nなどという世界ですよね。1ppm程度の不純物しか入っていないという素材もあることはあるのですが、コスト的には非常に高くなります。

貝山 はい。

芥田 もう1つが、PC-Triple CやPC-OCCが着目した結晶構造です。鋳造した際に原子レベルで配列の変化が起きるわけですが、それを鍛造でさらに変化させていくのです。明らかに内部の結晶構造が変わっていくのですが、それが音響面での好ましい効果を産んだのです。

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