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登場から1年あまり、その魅力を改めて検証

【特別鼎談】PC-Triple C開発陣×貝山知弘 - 「ペンクラブ音楽賞」受賞や開発秘話を語る

公開日 2015/06/02 10:00 構成:編集部 小澤貴信
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PC-OCC生産終了後の懸念を見事に晴らしたPC-Triple C

貝山 これだけPC-Triple Cが注目された背景には、PC-OCC生産終了へのショックの大きさもあったはずです。この先、ケーブル導体はどうなってしまうのか、多くの評論家が案じていた中でのPC-Triple C登場は、大きな出来事でした。

矢口 私たちはPC-OCCの開発・製造に20数年関わってきました。PC-OCCは優れた導体ですが、製品にはライフサイクルがあり、性能のいかんに関わらず飽きられてくるものです。そろそろ新しい素材に挑戦しなければ、と議論をしているちょうどその時にPC-OCCが生産中止になったのです。

PC-OCC生産終了後、矢口氏と芥田氏は多くのメーカーからの問い合わせや要望もあり、すぐにPC-Triple Cの開発に取りかかった。一方で、ポストPC-OCCとなる導体については以前から模索を続けていたという

芥田 タイミング的にも運がよかったかもしれません。すぐに新導体の開発に取りかかることができたのですから。

貝山 ペンクラブ会員が何より評価したのは、PC-Triple Cの音の素晴らしさです。私自身、最初にその音を聴いたときに驚きました。音そのものが画期的だったのです。音源が本来持っている情報をここまで引き出した素材は、実は今までなかったのではないでしょうか。

PC-OCCも素晴らしい素材でしたが、PC-Triple Cは音楽的なバランスが非常に良いのです。解像度も上がりました。低音域がだらりとすることなく、引き締まって力があるのは、クラシック録音の現在の潮流にも合致しています。これだけの情報量を引き出すことを、ケーブル1本でできてしまうとわかったことは大きいです。

オーディオ評論家である貝山知弘氏は、ミュージック・ペンクラブ・ジャパンにおいて昨季まで2期にわたって会長を務めた。今回、PC-Triple Cがペンクラブ音楽賞を受賞した背景を語ってくれた

矢口 私が長年にわたってPC-OCCを採用したケーブルを設計してきた中で、常にポリシーとしていたのは「ケーブルはイコライザーであってはいけない」ということです。ケーブルは、入ってきた信号をそのまま出さなければならないと思います。ソース機器からスピーカーまで、何の足し引きもなく伝送することがケーブルの役目ではないかと考えます。ケーブルで再生音楽に味付けをしたい方もいらっしゃるでしょうが、そういう方にはそういうケーブルを楽しんでいただければと思います。

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