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【特別企画】ヤマハ“S2100”シリーズ徹底解剖!

ヤマハ開発陣が明かす、最新Hi-Fi「A-S2100」「CD-S2100」開発秘話

公開日 2014/06/27 12:08 インタビュー:山之内 正 / 記事構成:ファイル・ウェブ編集部
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【3】“ヤマハのアイデンティティ”の証 − ブラックパネルに込められた思い


山之内: 私個人にとって、ヤマハのHi-Fi製品の記憶を辿ると古くは70〜80年代にまで遡るのですが、S3000もS2100も全体のシェイプやデザインなど、あの頃のHi-Fiコンポーネント製品と通じる品位を感じます。

「S3000/S2100には、70〜80年代のヤマハHi-Fiコンポーネントにも通じる“品位”がある」と語る山之内氏

森井: S3000シリーズ開発の際に、外観デザインについて社内議論になり、様々な意見のもとに最終的にこのデザインに落ち着いたんです。一見してヤマハの製品とわかるけれど、各パーツの細かいデザインが昔と変わっていて少しずつ進化しているとでもいいましょうか。

2007年に発売したS2000の開発時に話が遡りますが、S2000のデザインコンセプトは「直接触れることで感じられる操作感」というものでした。それを突き詰めていった結果、レバーやノブといった70年代のヤマハデザインのテイストに近付いていきました。

A-S2000(左)とCD-S2000(右)の外観デザインは、「直接触れることで感じられる操作感」をコンセプトとしている

S3000シリーズでは、この流れを汲みながらも新しいものを表現していこうという思いでデザインを決めました。結果、A-S3000ではアナログメーターをセンターに配置するという、過去のヤマハ製プリメインアンプとは異なるデザインを採用し、フロントパネルの操作ノブを横一列に並べるなど新しい試みを実施しました。A-S2100でもこの考え方を踏襲して、基本デザインはA-S3000と同じなんです。

A-S3000(左)とCD-S3000(右)は、S2000の流れを組みながらも新しいものを表現した


S2100は、サイドをブラックパネルとするデザインをS3000から継承している
山之内: 記憶にあるヤマハのHi-Fiデザインをベースに新しいテイストが入っていて、歴史あるものと新しいものが融合しているというのがよくわかります。なお、S2100がS3000から引き継いだ新しい外観といえば、サイドパネルが白木調ではなくブラックパネルになりましたが、これにはどんな意味が込められているのでしょうか。

辻川: ピアノのイメージです。楽器メーカーであるヤマハのアイデンティティを表すという意味から、ヤマハのピアノを彷彿とさせるブラックを採用しました。このピアノカラーは、ヤマハのスピーカーシステム最上位機“Soavo”「NS-901」シリーズにも採用されていて、“ヤマハの新しいHi-Fi思想を表すカラー”と位置づけています。

スピーカーシステム最上位“Soavo”「NS-901」シリーズにも、同じくハイグレードHi-Fiの思想を投入し、ピアノブラックカラーを採用している

ちなみに、日本以外の市場ではブラックカラーなど筐体にカラバリがあるのですが、私たちとしてはヤマハの新しいHi-Fiイメージをシルバー筐体+ピアノブラックのサイドパネルで定着させたいという思いもあり、現時点で国内では一色展開としています。過去のヤマハHi-Fi製品をご存知の方からすると、「一体型プリメイン=シルバー筐体+白木のサイドウッド」「セパレートアンプ=ブラック筐体」というイメージが一般的だと思いますので、その流れを継承しつつ、新しくピアノブラックのサイドパネルにしました。

山之内: そう聞くと…今後新たにブラック筐体のセパレートアンプが登場するのかな?と期待してしまいますね。

森井: いやまあその辺は…(笑)。でも、今後セパレートアンプ製品の開発に取り組む際はブラック筐体を採用する可能性はあります。

山之内: 期待しています(笑)。では最後に、森井さんと辻川さんがどんな風にS2100シリーズ全体の音を決定していったか、流れをお聞かせ頂きたいと思います

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