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SCE開発担当者にインタビュー

“torne”発売から「約3ヶ月」の開発期間で実現したファームウェア「Ver.2.00」の中味とは

公開日 2010/06/29 20:05 インタビュー・レポート/鈴木桂水
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■「Ver.2.00」以降のアップデートについては?

━━ 今回のアップデートでカバーできなかった点もあると思います。実際にはどのような内容が検討されているのでしょうか。例えばPS3とも関わることですが、HDD容量をもっと大きくして欲しいという声はありますか。
渋谷氏:AVC長時間モードを追加する前までは、PS3の内蔵HDDにもっと多くの録画したいという声がかなり多くありました。3倍録画モードのアップデート発表後は問い合わせが一気に減って、ご期待に沿えたのではないかと思います。AVC録画のモードをどの程度増やしていくかについては、今検討しているところです。

石塚氏:長時間録画モードはもっと増やすこともできたのですが、多くても、かえってどれを選んでいいのか分からないということになりかねないと考え、3倍モードからスタートしました。

EPGをさらに見やすくする表示調整も行われた

ゲームプレイ中の通知に番組名が表示されるようにもなった


━━ torneを買ったらPS3に録画機能が付いて、「もっと便利になって欲しい」と考えるようになったユーザーも増えたのではないでしょうか。そのような要望の中で、例えば「デジタル2番組録画」の要望はありますか。また、今後の検討課題には挙がっているのでしょうか。
渋谷氏:そうですね。「2番組同時録画」「デジタル3波対応」へのご要望が大きいことは認識しています。ただ、この2つに関しては現時点でハードウェアが対応しておらず、実現するにはハードのアップデートも必要になります。

しかもPS3と一緒に使うtorneの場合、あくまで「ゲームを快適に楽しめること」が第一条件になりますので、これと同時に2番組同時録画や3波チューナー搭載を実現することは、非常に難易度の高い課題です。

石塚氏:正直にいって、その2つは技術的にはとても大変です。PS3が搭載するメモリーの容量がここでも課題になります。最近のBDレコーダーが搭載しているメモリーと比べ、PS3はその容量が極端に少ないので、技術的にとても難しくなりますが、将来の可能性の一つとして検討しています。

渋谷氏:torneの今後の進化については「ハード的にどう発展させるか」という点と、torneならではの「ちょっと楽しい」「ちょっと面白い」といった遊び感覚の要素にどんなものを採り入れていくかの2点がポイントになると考えています。あとは石塚のチームで実現可能なものを検討しながら、ベストなサービスを探っていきたいと考えています。

━━せっかくなので、テレビ録画と連動したゲームが出てくると楽しいと思うのですが。
石塚氏:そうですね。ゲーム機ならではの機能も検討しています。torneはこれからも使い勝手どんどん良くして、楽しい製品に進化させたいと思っていますので、ぜひ楽しみにしていて下さい。


今回のバージョンアップで、いっそうtorneでのテレビ録画が楽しくなってきた。できれば発売時に、ここまでの機能は欲しかった、という意見もあるだろう。筆者も一ユーザーとしてそう思うのだが、寝不足&休み返上で頑張っている石塚氏(と開発チームの方々)を前にすると、苦言を呈するよりもエールを送りたくなってしまう。

今後も現ハードでできる限りのバージョンアップがあることを楽しみに待つことにしたい。開発チームの方々は、真摯にユーザーの声に耳を傾けていると感じた。改善ポイントなどがあれば、ねぎらいのメッセージといっしょに届けてみてはいかがだろうか。


◆筆者プロフィール 鈴木桂水
元産業用ロボットメーカーの開発、設計担当を経て、現在はAV機器とパソコン周辺機器を主に扱うフリーライター。テレビ番組表を日夜分析している自称「テレビ番組表アナリスト」でもある。ユーザーの視点と元エンジニアの直感を頼りに、使いこなし系のコラムを得意とする。そのほかAV機器の情報雑誌などで執筆中。

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