最先端テック企業が目指す究極の高音質。シンプル&ラグジュアリー、デビアレ「ASTRA」レビュー
2025/05/21
日本でもQobuzが正式にスタートし、続々登場するネットワークプレーヤーが多くの愛好家を魅了している。私もその一人であり、2階の趣味の部屋では、セパレートアンプとプリメインアンプの2つのシステムを切り替えて、ストリーミングサービスを楽しむシステムを構築している。
そのメインとなるのは、私が提唱する「One Speaker, One Amp」システム。メインスピーカーはカナダ・PARADIGMの「Persona 7F」、コアとなるネットワーク・プリメインアンプは、フランスのDEVIALET(デビアレ)の最新モデル「ASTRA “Opéra de Paris”」である。
同社の製品が日本に登場して以来ずっと気になる存在であり、この度自宅に導入することとなった。
その魅力は、優れたネットワーク制御とデジタルオーディオ回路に加えて、ADHという出力段を装備することだ。これは、A級出力段(DACのフィルター回路を兼ねる)とD級アンプをハイブリッドした独自の出力段である。
これが飛躍的に進化を遂げ、ダンピングファクターは2000。超低歪みと-117dBという高いS/N、DC〜80kHz(±2.3dB)というワイドレンジ再生も実現した。DACからスピーカー端子までの距離は、上下基板を重ね合わせているため、何と5cmという短さ。さらに、スピーカーとのマッチングを調整できるSAM機能により、「Persona 7F」のウーファー制動力を高めている。
肝心なQobuzの音質は、透明度の高い濃厚な音質が特徴で、高出力なA級パワーアンプと同様の豊潤な倍音を再生し、強力にダブルウーファーをドライブしている。中高域の伸びも良く、録音の良い音源を再生すると、眼前に生演奏が展開している感覚となる。
再生アプリはDEVIALETの専用アプリと「mconnect Player HD」を併用。Qobuzはもちろん、DELAのミュージックライブラリからのローカルファイル再生も活用している。
音楽空間を贅沢に楽しむために、部屋の明かりを消し、中央のスポットライトだけを残す。音量調整は、タブレットを見ずとも、美しいリモコンでも可能だ。
Opéra de Parisのゴールド仕上げの美しさは惚れ惚れするほどで、Duo(モノラル仕様)のためにもう一台増やしたい気持ちになってしまっている。
もうひとつのセパレートシステムは、Playback Designsの3筐体システム。ネットワークトランスポート「MPS-X」に、SACDプレーヤー「MPS-5 Limited」をDACとして使用している。
MPS-XからMPS-5へは、同社の光ファイバー接続であるPLINKで接続し、ネットワーク回路と完全に縁を切り、伝送ノイズを排除している。さらに、同社の「Syrah Server」も組み合わせている。
こちらも再生アプリは「mconnect Player HD」を使用する。プリアンプはJeff Rowlandの「Corus+PSU」、パワーアンプは、Burmester「911Mk3」。
ネットワーク環境で工夫していることは、ミュージックライブラリ、光ファイバー接続のスイッチングハブ(DELA「S100」)などの機器の電源アースをとらない方式にしている。これにより、ネットワーク周辺機器とオーディオ機器の筐体間アースを分離し、伝送ノイズが避けられるのだ。
このシステムの魅力は、Playback Designsの独自アルゴリズムによる50MHz DSD再生に尽きる。すべてのQobuzやダウンロード音源が50MHz DSD再生できることは実に魅力的。
その音は、アナログテープの音のように、滑らかで豊潤な音であり、ワイドレンジ。MPS-X内部のジッター低減回路やリクロック回路の効果により、解像度や空間描写性が格段に高まり、静寂感も増し、音楽にさらなる深みを感じさせている。
新たに導入したスピーカー「Persona 7F」についても触れておこう。極めてカラーレーションの少ないスピーカーで、ベリリウム振動板を中高域に使っているにもかかわらず、弦楽の響きはソフトドームやペーパーコーンと同等に生音に近い音を実現。オケのヴァイオリン・パートでは、膨らみある木質感やシルク、ビロードのようなきめ細かな響きを鮮明にする。
一方、これとは真逆の金属の響き、例えばトランペット、ホルンなどの金管楽器やシンバルのような金属パーカッションも得意とするところで、私の好きなマイルス・デイビスのトランペットをヴィヴィッドに、朗々と再生してくれる。ドラム表面の質感までリアルに再生するところも特徴。またヴォーカルは肉声のように生々しい。
さすが、長年カナダの研究機関等とコラボして開発されたスピーカーだけのことがあり、可能な限り、振動板の固有音を排除している。さらに理想の低音実現と歪み低減のため、ウーファーの磁気回路(ボイスコイル、マグネットなど)を前後に配置したディファレンシャル(差動)磁気回路を搭載。ウーファーを高速レスポンスで駆動し、量感たっぷりの低音を高い音圧で再生してくれる。さらに、キャビネット構造と形状により、スピーカー背後に広く深い空間描写を実現してくれる。
まさにカナディアン・スタジオモニターの資質を持つスピーカーと言えるだろう。