パイプオルガンの最低域、どこまで再現できる?石丸由佳さんと聴くパラダイム「Founder 100F」
2025/04/09
PHILE WEBのライター陣の今年の購入した「お気に入りアイテム」を披露!クラシック音楽ファシリテーターの飯田有抄さんのお気に入りは、手軽に気軽に、いつでもCDが聴けるFIIOのポータブルCDプレーヤー「DM13 BT」です。
ストリーミング主流の時代、CDはいわゆる“懐かしのアイテム”化している? いやいや、そんなことはない。少なくとも私が専門としているクラシック音楽の分野では、CDはまだバリバリの現役メディアだ。毎月CDの新譜は続々とリリースされ、私もライナーノートをよく執筆する。CDレビューの依頼も毎月何枚も担当している。
そうした仕事柄、机の上には常に10枚、20枚ほどのCDの山がある。聴かなければいけない音楽は尽きない。けれど、アンプの電源を入れて、システムを整えて、腰を据えて……という一連の流れが、忙しい日常の中で、時にはちょっと重く感じられることもある(もちろんオーディオ好きにとっては、それも楽しいルーティンではあるのだけれど)。
仕事終わりの夜、原稿から離れて一度だけ通して聴く。ソファに腰掛けて、気になっていた1曲だけ確認する。ベッドサイドで、好きなアルバムを何も考えずに流す。そんなふうに使えるガジェットが欲しいなぁ…と思っていたときに、登場してくれた!
2025年2月発売のFIIOのポータブルCDプレーヤー「DM13 BT」である。
CDをケースから出し、蓋を開けてセットし、再生ボタンを押す。それだけで音楽が始まる。そんなシンプルなことなのだが、ちょっと新鮮で心地よい!
DM13は高音質なのだ。なんというか、「雑に聴けない音」だと思う。必要以上に派手ではないし、誇張もない。けれど、音にしっかりとした芯やツヤがあり、支えとなる低音の力は十分、音楽の流れやフレーズの表情も自然に伝わってくる。
内部にはDACとアンプがを左右独立で搭載されているそうだ。細かな仕様を知らなくても、「あ、ちゃんと作られているな」という感触はすぐにわかる。
今は一時期よりも、安価なポータブルCDプレーヤーが増えている印象だ。CDを「懐かしアイテム」として捉える人が、レトロ・ブームで増えているからかもしれない。
でも、DM13には、「オーディオ機器」としての矜持がちゃんとある。左右独立のDACもそうだが、私がDM13を買った一番のポイントは、ヘッドホンの出力が3.5mm端子のシングルエンド接続だけでなく、4.4mm端子のバランス接続にも対応してくれるということ。
愛用のヘッドホン、ソニーの「MDR-MV1」とバランス接続でCDを聴けるのは嬉しい。ケーブルはMUS-S12NB1を使用。このセットで聴くのが実に心地よいのである。いわゆるロスレス音と比較しても、バランス接続で聴くCD、こんなに音が良いものかと驚くばかり。
これでいい。いや、これがいい。音楽のまとまりがよく、長く聴いても疲れにくい。だから、リラックスタイムにも、実は仕事用にも、そのまま使えてしまうのだ。用途を切り替える必要がない、というのは、思っていた以上に快適だった。
そんな、オーディオ製品としても「きちんと感」のあるDM13だが、デザインはいたってシンプル。そこも素敵なところだ。色はシルバー、ブラック、レッド、トランスペアレントの4色展開。死ぬほど悩んだ。赤が欲しかったけれど、トランスペアレントにした。
というのも、私はよくプレーヤーの中にCDを置き去りにしがちなのだ。ケースを開けて、CDが入っていない!ということがよく起こる。それを少しでも減らすために、中が見える「トランスペアレント」にしてみたのだ。透明な窓に傷がつかないように、ちゃんと保護シートまで付属している。気が利いているなぁ。
実際に使ってみて気に入っているところはまだまだある。充電のもちが非常にいいのだ。フル充電で連続10時間再生可能とのことだが、私は前回いつ充電したのか、もはや覚えていない。
ヘッドホン試聴は連続で何時間もしない方なので、細切れ使用にはなるのだが、あきらかに10時間以上は使えている。しばらく使わない期間があってもほとんど放電している気配がないというか、かなり長持ちする。バッテリーは3750mAhの高容量とのことだ。
私は有線でシンプルに使うという用途なので使っていないが、便利な機能は他にもある。CDをWAV形式でUSBメモリに保存できたり、ワイヤレスイヤホンなどへのBluetooth接続もSBC aptX aptX Low Latency aptX HDといった高音質のコーデックに対応している。
LINE OUT端子(シングルとバランス)もあるので、外部のプリメインアンプやアクティブスピーカーなどに出力できる。とても優秀!
10枚組みのBOXから一枚ずつサクサク聴く。あるいは、アーティストの写真を眺めたり、楽曲情報や、アルバムのコンセプトなどが書かれたライナーを読みながら、じっくり丁寧に聴く。再生までのアクションが少なく、なおかつ良質な音楽を届けてくれるDM13は、私のCD生活に欠かせない相棒だ。