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公開日 2025/10/16 10:00
10/18(土)の17時から

真空管アンプで聴くSLサウンド!“ステレオ効果と壮大なスケール”、トライオードの人気イベント聴きどころチェック

石田善之

東京インターナショナルオーディオショウのトライオードブースで、恒例となりつつある「蒸気機関車の音を聴く」イベントが今年も1018日(土)に開催される。今年も参加するという評論家の石田善之氏に、今年の内容について話を聞いた。



イベントを再生する音源を選定中の石田善之氏


壮大なスケールを描くSLサウンド


東京インターナショナルオーディオショウの出展社のひとつであるトライオードのブースで「SLサウンドを聴く会」が今年も10月18日(土)に予定されている。


そもそもこのイベントは、熱烈なSLファンでかつて国鉄マンであったトライオード社長の山崎順一氏の「真空管アンプでSLサウンドを聴いてみよう」というお声がけで2022年にスタートした。


SLサウンドを堪能するには真空管アンプが適しているということではないのだが、イメージとしてSLと真空管は何となく重なる。というのも真空管アンプにはフィラメントやヒーターと呼ぶ、あのポーッと赤い灯のようなものがあり発熱も大きく、目一杯活躍してくれるというイメージが伝わる。SLも石炭を燃やして発熱も高く、きつい勾配ではまさに喘ぐように目いっぱいの活躍を見せる。



TRIODE 真空管プリメインアンプ「EVOLUTION MUSASHI」(770,000円/税込)


真空管もSLもかつては主役でありながら、現在はトランジスタや新幹線にその座を譲っているのだが、なにか捨てきれない、高効率以外の魅力を感じさせ続ける。


さて、そのSLサウンドだが、音を聴くのも、ボクは「オーディオ鑑賞」と呼び、音を味わう行為のひとつと考えている。


音楽と最も異なるのは、旋律やリズムが迫り来るのではなく、実際に右から左、あるいは左から右へと動きを伴うことで、ステレオ効果を最も現実的に感じさせる。SLのその音は音楽における広がりや奥行きとは一味異なった壮大なスケールを描くことができる。


このオーディオ鑑賞の基となるのは、音楽にしてもSLにしても録音があってこそ成立する世界であり、SLが主役であった時代はアナログのオープンテープにより記録され、そのため「オーディオ鑑賞」に適した録音はクオリティ的にも多くなかったと思う。屋外での録音は人の声や自動車の音など思いがけない音が飛び込んだり、風や雨など自然条件との折り合いであったりと、非常に難しいのだ。


アメリカや中国大陸で収録した貴重な録音も


そもそもこのイベントは、ボク自身が担当した「蘇るドラフト 蒸気機関車のサウンド」というムック本(音楽之友社刊)がきっかけであった。北は留萌本線から南は鹿児島本線まで、国鉄で現役だったSLを記録した付録のCD2枚組を聴いてみよう、というところからスタートしている。


これまでもイベントでは、いくつかのシーンを聴いていただいたが、今回はSLファン、特に写真撮影ではお馴染み、九州肥薩線の大畑ループでD51が目一杯の力を振り絞り、大きなループ線を「切り通し」もあれば「トンネル」もあるという険しい山あいを通り抜けていく。10分以上かかる大きなシーンで、しかもループ線のため右へ左へ、遠くへ近くへ、後ろをグルリと抜けて中央奥へと走り去るというシーンを図解とともに聴いていただきたく準備をしている。


また、オープンテープの時代(1975年のこと)になるが、アメリカのコロラド州にある保存鉄道に出かけた際の音も準備している。保存鉄道としては最も有名な「デュランゴ〜シルバートーン」のシーンは岩肌をなめるように登る姿だけではなく、そのサウンドがゾクゾクするような聴き応えを感じさせる。ぜひみなさんと一緒に聴いてみたい。


そしてもうひとつ、DATの時代だったが中国大陸の新疆ウイグル自治区(セイガ〜ウシャレイ)で250トンもある中国最大の機関車「前進型」の録音をしている。日本最大のSLである、C62は150トン弱だというから、その巨体から繰り出されるサウンドは圧巻だ。それも再生してみたい。


オープン時代の録音には国鉄最後、1975年の北海道夕張線、追分や紅葉山での9600、D51のサウンドなどもあるし、DATの記録で2008年とやや新しいが、秩父鉄道三峰口駅でC58の発車をとらえている。汽笛が周辺の秩父の山々にこだまする様子なども美しい。


十分な音量でSLサウンドを聴きまくる!


使用アンプは「EVOLUTION MUSASHI」で100W+100W、管球アンプとしては最大級のパワーの持ち主で、トライオード・アンプ群のなかでも力強さと押し出しの良いサウンドはSL再生に最適な能力と言え、黒いボディにそびえ立つトランス類は視覚的にも迫力がありSLのイメージにもつながる。プリアンプにはEVOLUTION PREを使う予定。



TRIODE 真空管プリアンプ「EVOLUTION PRE」(396,000円/税込)


スピーカーシステムには、スペンドールの大口径31cmダブル・ウーファー3ウェイのフロア型「Classic200Ti」を使い、十分な音量でSLサウンドの「オーディオ鑑賞」を予定しているので、ぜひ会場までお越しいただきたい。



SPENDOR スピーカーシステム「Classic 200」(3,300,000円/ペア・税込)



■イベント情報


「蒸気機関車の音を1時間思う存分鳴らす」
日時:2025年10月18日(土) 17:00 - 18:00
場所:東京国際フォーラム G507号室・トライオードブース




(提供:トライオード)




※本記事は『季刊・アナログ vol.89』からの転載です

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