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公開日 2025/06/12 10:58
【連載】佐野正弘のITインサイト 第163回

ついにiPhoneも対応、スマホ搭載のマイナンバーカードで何ができる?

佐野正弘
政府が普及を進めている「マイナンバーカード」。その運用などを巡っては過去トラブルもあったことから、今なお利用に抵抗を示す人もいるようだが、各種行政手続きをデジタル化し、本人確認をより厳格化する上で必要不可欠なものであることは間違いない。

実際、筆者も各種証明書の発行から確定申告、最近であれば携帯電話や金融サービスの契約など、さまざまな手続きでマイナンバーカードを用いている。自宅や近所のコンビニエンスストアで手続きを済ませられるだけに、利便性は高い。

■スマホのマイナンバーカード搭載にiPhoneが対応



そして実は、そのマイナンバーカードをスマートフォンに搭載する取り組みも、デジタル庁の主導によって進められている。すでにAndroidスマートフォンに向けては、マイナンバーカードの機能の一部で、オンラインでの本人確認などに活用できる「電子証明機能」を利用できる「スマホ用電子証明書搭載サービス」が提供されている。

スマートフォンでマイナンバーカードを利用できる取り組みは以前より進められており、Androidスマートフォンに向けては既に「スマホ用電子証明書搭載サービス」が提供されている。画像は同Webサイトより

だが正直なところ、スマートフォンでのマイナンバーカード利用は進んでいるとは言い難い状況にある。理由の1つは、スマホ用電子証明書搭載サービスに対応するスマートフォンがAndroid端末のみで、日本国民の半数が使っているとされるアップルのiPhoneに対応していないことだった。

そしてもう1つは、スマホ用電子証明書搭載サービスだけではマイナンバーカードの機能を全て利用できないこと。マイナンバーカードには電子証明機能のほか、券面にある顔写真や名前、住所や生年月日などの情報を活用した「属性証明機能」も備わっているのだが、スマホ用電子証明書搭載サービスは属性証明機能をカバーしていないので、対面での本人確認に活用するのが難しかった。

それゆえデジタル庁では、これら2つの課題を解消する取り組みを進めており、その成果として2025年6月6日に打ち出したのが、「iPhoneのマイナンバーカード」を2025年6月24日より提供開始予定だということだ。

平将明デジタル大臣は2026年6月6日の会見で、「iPhoneのマイナンバーカード」を提供予定であることを発表している。画像はデジタル庁のYouTubeチャンネルより

これは文字通り、iPhoneでマイナンバーカードが利用できる仕組みで、電子証明機能だけでなく属性証明機能も利用できる。スマホ用電子証明書搭載サービスとは違って、マイナンバーカードの機能をほぼフル活用できる仕組みが整えられているのが大きなポイントとなる。

iPhoneでマイナンバーカードが利用できる仕組み「iPhoneのマイナンバーカード」は、2025年6月24日より提供開始予定。電子証明機能だけでなく属性証明機能も利用できる

では実際のところ、スマートフォンに登録したマイナンバーカードでは何ができるのだろうか。まずはAndroidとiPhoneともに利用できるのは電子証明機能を活用したもので、マイナポータルへのログインやコンビニエンスストアでの各種証明書の発行などが主な用途となる。

デジタル庁「マイナンバーカードの機能のスマートフォン搭載に関する検討会」第5回会合資料より。マイナンバーカードで利用できる機能のうち、現在スマートフォンで利用できるのはマイナポータルへのログインやコンビニ交付サービスなどが主だ

さらに今後対応が進む予定なのが、マイナンバーカードを健康保険証として利用できる「マイナ保険証」だ。デジタル庁では2025年7月より、一部医療機関でスマートフォンのマイナ保険証対応に向けた実証実験を実施するとしており、2025年頃からは環境が整った医療機関から順次、運用開始するとしている。

スマートフォンのマイナ保険証対応も進められており、2025年7月からの実証実験を経て9月頃から順次導入予定とされている

一方で、属性証明機能を含むiPhoneのマイナンバーカードで利用できるのが対面での本人確認で、その認証に用いられるのが「マイナンバーカード対面確認アプリ」だ。これは偽物のマイナンバーカードを用いて対面で本人認証をし、不正に携帯電話などを契約するなどの問題が起きたことなどを受け、対面での本人確認を厳格化するために提供されたアプリだ。

このアプリでは現状、スマートフォンでマイナンバーカードの写真を撮り、さらにICチップを読み取り属性証明機能を用いることで、対面での本人確認とマイナンバーカードの正確性を確認できるようにしている。だがデジタル庁ではこのアプリのiOS版を、2025年7月中旬頃を目途にアップデートし、iPhoneのマイナンバーカードでも対面での本人確認をできるようにするとのことだ。

「マイナンバーカード対面確認アプリ」は今後iOS版がアップデートされ、iPhoneのマイナンバーカードを用いて本人確認できる仕組みが整えられる

一方で、現時点ではどのスマートフォンでも対応していないのが、マイナンバーカードを運転免許証として利用できる「マイナ免許証」である。マイナ免許証は2025年3月から対応したもので、マイナンバーカードのICチップの中に専用のアプリを追加して運転免許証の情報を記録することで実現している。

実装がやや特殊なことから、iPhoneのマイナンバーカードでもまだ対応が進んでいないようだ。だがデジタル庁ではマイナ免許証、そしてAndroid端末での属性証明機能の対応なども進めているようで、前者は警察庁と、後者はGoogleなどと実現に向けた対応を協議しているとのことだ。

スマートフォンでマイナンバーカードの機能を完全に代替できるようになれば、マイナンバーカードを持ち歩く必要なく、スマートフォン1台だけで行政手続きや本人確認などができ、デジタル化の促進に大きく貢献することは確かだろう。ただそれを実現する上では、スマートフォンのOSの深い部分に手を入れ、安全に利用できる仕組みの構築が不可欠だ。

そしてそのためには、OSを提供するアップルやGoogle、そしてスマートフォンメーカーの協力が求められ、それがさまざまな機能の実現に時間がかる要因となっている。実際、マイナンバーカードの交付が始まったのは2016年1月だが、Androidスマートフォンでスマホ用電子証明書搭載サービスが開始したのは2023年5月、iPhoneのマイナンバーカードは2025年6月予定なので、かなり時間がかかっている。

それゆえ、スマートフォンのマイナンバーカード対応も “ようやく” という印象はあるし、機能の不足感はまだ否めないのだが、それでも実際にスマートフォンでマイナンバーカードを利用する人が増えていかなければ意味がない。

今後は機能面の実現だけでなく、いかに多くの国民に対して、スマートフォンにマイナンバーカードを登録し、利用してもらうことを促進する取り組みも同時に求められるだろう。

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