ニュース
HOME > ニュース > AV&ホームシアターニュース
<CEATEC>“ゴジラ襲来”を富士通の技術で検証/Matterでメーカーの壁を越える
編集部:原田郁未最先端IT・エレクトロニクス総合展「CEATEC 2026」が、10月13日(火)から16日(金)まで幕張メッセで開催されている。本稿では、“ゴジラ”とのタイアップでAIやデジタルツイン技術を紹介する富士通と、スマートホーム向け共通規格「Matter」などを展示するConnectivity Standards Alliance(CSA)日本支部をレポートする。
富士通、“ゴジラ来襲”をデジタル空間でリハーサル
富士通は「『もしも』に挑む、確かな力を。」をテーマに、危機の影響を抑え、速やかに回復できる“レジリエントな社会”への取り組みを紹介。自然災害や交通・物流の混乱、システム障害などに対し、「信頼できるデータとAI」で未来をシミュレーションし、備えや行動につなげることを掲げる。
その考え方を直感的に伝えるため、東宝の協力のもと起用されたのがゴジラだ。来襲を災害に見立てて避難施策を試す「デジタルリハーサル体験」と、人の身体動作を骨格認識AIで捉え、ゴジラのCGへ反映する「GODZILLA in MOTION」を用意している。
ゴジラ到達まで約60分。現実では試せない避難施策を事前検証
「デジタルリハーサル」は、来場者が避難施策を選び、人々や街の状況の変化をデジタル空間でシミュレーションする体験展示だ。舞台は、都市型複合フェスティバル「KAWASAKI FESTIVAL」でにぎわう川崎駅周辺。東京湾から上陸したゴジラが約60分後に到達する設定で、フェス参加者を含む25万人を安全な場所へ誘導する課題に挑む。
現実では繰り返し実験しづらい大規模な避難も、デジタル空間なら人や物、社会の振る舞いを再現し、施策の効果や副作用を比較できる。その基盤が「ソーシャルデジタルツイン」だ。実世界のデータから経済・社会活動まで再現し、問題の仕組みの把握や施策立案、意思決定を支援する技術群で、リアルタイムデータを仮想空間へ反映し、検証結果を現実へ戻す循環を想定する。説明員によると、人や物の動きや相互作用をモデル化し、その一部でAIを活用しているという。
体験は約15分。想定災害や事前検討の説明を受け、卓上タッチディスプレイで5つの施策から選ぶと、条件を反映した結果が表示される。記者も体験したところ、前面モニターに迫るゴジラと足元の振動が緊張感を演出。「多言語対応誘導スタッフ」「デジタルサイネージ」「駅へ向かう人の抑制」を選び、適切と思しき地点に配置すると、シミュレーション上では49分で25万人の避難が完了し、人的被害を回避できた。
自分の動きをゴジラへ反映する「GODZILLA in MOTION」
「GODZILLA in MOTION Powered by Uvance」は、カメラで捉えた身体動作を骨格認識AIでリアルタイムにデータ化し、ゴジラのCGへ反映する展示。富士通の事業モデル「Uvance」の「AI Technologies and Solutions」を活用し、来場者がゴジラになりきって技術を体験できる。
所要時間は約10分。お手本動画を見た後、画面の前で15秒間身体を動かすと、その姿勢や動作がCGへ反映される。生成した動画はQRコードから確認することも可能だ。骨格認識AIは、スポーツ、製造、教育、ヘルスケアなどでも活用が進むという。社会全体を扱うデジタルリハーサルと、一人ひとりの動きを捉える本展示。異なるスケールの技術をゴジラで体験できる点も興味深かった。
Matterで「メーカーの壁」を越えるスマートホームを提案
「暮らしのDXパビリオン」に出展するCSAは、2002年設立のZigbee Allianceを前身とする国際的な標準化団体。世界各国のスマートホーム/IoT関連企業が参加し、メーカーやサービスを越えて機器をつなぐ、オープンなグローバル標準を策定している。
日本支部は2024年に20社で設立され、現在は約80社が参加。MatterとAliroを中心に技術革新と普及を推進する。共同展示では、Aliro、Matterの初期設定「コミッショニング」、メーカーを越えた連携、国内で入手できる対応機器、マルチアドミンなどを紹介し、参加各社の個別展示も設けている。
Matterは「スマートホームデバイスの共通言語」
「Matter」は、異なるメーカーやプラットフォームのスマートホーム機器を、共通の方法で接続・操作するための規格。ブースでは「スマートホームデバイスの共通言語」と表現し、シンプルさ、安定性、セキュリティ、相互運用性を特徴として挙げていた。
説明員によると、従来はGoogleやAmazonなどの環境ごとに対応製品が分かれがちだったという。Matter対応のコントローラーと機器を組み合わせれば、対応範囲内で他社のスマートロックやIKEAの照明を操作できる。照明や鍵、家電を同じメーカーでそろえる必要性を減らし、基本操作を1つのアプリにまとめやすくする狙いだ。
同システムの特徴である「マルチアドミン」は、同じMatter対応機器を複数のスマートホームプラットフォームへ登録し、それぞれのアプリやコントローラーから操作できる機能。展示では、壁に設置したmuiボード、タブレット、Apple HomePodによる音声操作など、家族が使いやすい方法を選ぶ例を紹介。同じ操作方法に統一する必要がなく、「家族の誰かしか使いこなせない」という課題への回答にもなりそうだ。
“スマホを鍵にする”グローバル規格「Aliro」
「Aliro(アリロ)」は、スマートロック/デジタルキーの相互運用を目指す規格。スマートフォンやウェアラブルを鍵として使うため、アクセスリーダーと端末間の通信を標準化する。NFC、Bluetooth LE、UWBなどで、メーカーごとに分かれていた仕組みの共通化を図る。
施工事業者には導入やトラブル対応の簡素化、メーカーには開発負担の軽減、管理者には保守・運用の効率化、利用者には自分の端末を鍵にできる利便性が期待されている。展示では、NFCで「かざして開ける」、Bluetooth LEとUWBで「近づくだけで開ける」、Bluetooth LEで「少し離れた場所から開ける」という3つの利用像を紹介した。
鍵をスマートフォンのウォレットへ格納し、対応端末やサービスと組み合わせて、アプリの起動やインターネット接続に依存せず解錠する使い方も想定。紛失端末の鍵の無効化、電池切れ後の一定時間の利用、有効期限付きの鍵を家族や来客へ共有する用途も紹介された。
家の中の機器をつなぐMatterと、人と扉をつなぐAliro。この2つを軸に、メーカーやサービスの違いを意識せず使える環境を目指す。
パナソニック、ドアホン/カメラ映像をAIで“文章化”
CSAブース内では、パナソニックが「ドアホン・カメラ×AIの生み出す新たな価値」を参考展示。暮らしに関する知見とGoogle Home、AI/クラウド技術を組み合わせ、家族一人ひとりに最適化した「次世代の安心」を構想する。
掲げるのは「異常検知の高度化」「利用者ごとの最適化」「操作負担の低減」「継続的な進化」。映像解析で不審行動や異常を検知し、家族構成や生活スタイルに応じて通知・提案を変える。操作を簡素化し、ソフトウェア更新やクラウドAIの進化で導入後も機能を高める考えだ。
デモでは、監視カメラやドアホンの映像をAIが文章化し、映っていたものや出来事を確認できた。登録した人物を顔認識して行動を記録する機能や、録画・行動履歴をAIチャットで検索する機能も紹介。「誰が、いつ、何をしたか」を自然な言葉で尋ね、必要なシーンへアクセスする使い方を示した。
将来はカメラを住宅内の高度なセンサーとして活用し、人の存在や行動に応じた照明の点灯、室内状況に合わせたエアコンの自動運転なども想定。映像解析の結果を、Matterなどで接続された機器の制御に生かす構想だ。
- トピック
- PANASONIC
- FUJITSU
- AI
- CEATEC 2026