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公開日 2025/06/19 11:06
日本ケーブルテレビ連盟「2025年第53回定時総会」開催

地域経済社会のキープレーヤー「ケーブルテレビ」。地域の課題解決や地方創生、地域DXの頼れる存在

編集部・竹内 純

国や自治体の対応を受け身で待つのでなく、我々自身が考え行動を起こす


一般社団法人日本ケーブルテレビ連盟は、2025年第53回定時総会を開催。理事長の今林顯一氏が開会のあいさつを述べた。


昨年、能登半島を襲った地震と豪雨について触れた今林理事長は、「5月末、北陸支部の総会にお招きをいただき、その機会に金沢ケーブルさんのご案内で輪島まで行って参りました。市長からは復旧復興において、ケーブルテレビ業界に尽力いただいたと感謝の言葉を頂戴しました。通信放送はもちろん、ケーブルテレビは地域の様々な活動に引き続き貢献して参りたいと申し上げました」。



一般社団法人日本ケーブルテレビ連盟 理事長 今林顯一氏


本年1月には気仙沼で東北支部主催の防災フォーラムが開催された。「南海トラフや首都直下地震の可能性が高まるなか、連盟本部でも改めて災害に真正面から向き合うこととしました。災害、人口減少、地域経済の停滞といった課題は国家レベルの課題であり、ケーブルテレビ業界だけで解決できる問題ではありません。しかし、地域を基盤とする我々の業界は、地域が弱くなり消滅することにでもなれば、最も強みとするところを失うことになります。国や自治体の対応を受け身の姿勢で待つのでなく、我々自身でも考え、行動を起こしていかなければなりません」と訴えた。


すでに戦略推進委員会を中心に、各委員会との戦略的な連携、各支部との縦断的な連携のもと、大規模災害の対応について検討を進めているという。


「自助に加え、私たちが得意とする事業者間連携や関係業界の皆様との共助、自助や共助でカバーしきれない部分を補完するために政府や自治体の皆様にお願いする公助の3つが軸。連盟として、自助の手助けとなる情報提供、共助に必要となる連携の橋渡しや下地となる議論の場の設定や運営、公助についての意見、要望などを関係方面に届けて実現に結びつけるための渉外活動などの役割を果たして参ります」。


今林理事長は「会員事業者の皆様にとって、いつでも、どこでも、誰にでも役に立つ連盟であるように、皆様のお知恵をいただきながら取り組んで参ります。ご協力のほどよろしくお願い申し上げます」とあいさつを締めくくった。


続いて、総務省情報流通行政局長 豊島基暢氏が登壇した。「今年は放送業界において大きな区切りの年と言われています。放送開始100年、ラジオがスタートして100年になります。BSデジタル放送は25年、四半世紀。ケーブルテレビも開始して70年を迎えます。先輩方をはじめ多くの方々が事業を発展させてきたことに改めて想いを馳せるとともに、今後、未来に向かってどういう道を歩いていくのかを、皆で改めて考え直すのに非常によい年になると思います」。



総務省情報流通行政局長 豊島基暢氏


放送はこれまで、国民の知る権利を充実させ、健全な民主主義の発展に寄与する社会的役割を一貫して担ってきたと指摘。さらにケーブルテレビは、「地域住民の多様なニーズに応える重要な役割を果たし、“わが街のテレビ” として、地域情報をはじめ様々なコンテンツを提供し発信する大きな役割を果たしてきました」と続ける。


災害時、緊急時には避難情報、被災状況を伝える重要な役割を果たし、地域に根差したメディアという地位を確立しているとし、「昨年能登では地震、集中豪雨による大きな災害がありましたが、特に能登はケーブルテレビに大きく支えられている地域です。ネットワークをどう維持するのか、仮設住宅にテレビをお届けするなど、地元のケーブルテレビが粉骨砕身に頑張っていただきました」と敬意を表した。


「地元だけではとても維持、復旧が難しいところ、ケーブルテレビ連盟に総力を挙げて協力いただき、地元のニーズに応えていただいたことは、総務省としても深く御礼を申し上げます。こうした取り組みを通じで、ケーブルテレビが地域にとって頼りになるメディア、信頼できるメディア、なくてはならないメディアであるという認識を、地元はもちろん、全国で改めて感じ取る機会になったのではないかと思います」。


地域に根差したケーブルテレビ事業者は、情報通信やインフラはもちろん、デジタル技術のノウハウや地域密着の体制を背景に、地域経済社会の有力なキープレーヤーであると語る豊島氏。


「例えば地域の見守り、遠隔医療、スマートシティの推進など、それぞれの地域が抱える課題にICTを持って解決に貢献できる重要な役割を担う存在としてもケーブルテレビが注目されています。日本ケーブルテレビ連盟が中心となり、放送サービスのみならず、地域の課題解決、地方創生、地域DXなど様々な取り組みが行われています」と大きな期待を寄せた。


また「地域の情報通信インフラを支える皆様のくだんの努力に深く感謝を申し上げるとともに、総務省としても、今後も連携を一層強化し、共に地域の課題解決に向けて取り組んでいきたい」と力を込めた。


定時総会では役員改選が行われ、会長には塩治憲司氏(株式会社CCJ 代表取締役 会長兼社長)、副会長には芳賀敏氏(JCOM株式会社 代表取締役会長)、理事長には今林顯一氏が選任された。任期は20276月に開催予定の第55回定時総会終結までとなる。



前列中央が塩治会長、右隣が芳賀副会長、左隣が今林理事長 


また、総会終了後には2025年 第21回「一般社団法人日本ケーブルテレビ連盟 功労者表彰」贈賞式が行われた。業界の振興、発展に多大な貢献をした、イッツ・コミュニケーションズ株式会社 代表取締役社長 金井美恵氏、株式会社コミュニティネットワークセンター 代表取締役社長 原年幸氏、株式会社ジェイコム札幌 代表取締役社長 寺尾弘一氏ら10名が受賞した。



一般社団法人日本ケーブルテレビ連盟 功労者表彰の受賞者。今回は10名(当日は1名欠席)の個人が表彰された 


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