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公開日 2026/08/18 18:09
ヴェルヴェット・アンダーグラウンド & ニコ/UNRIPENED(青バナナ)

あの幻の音源の“青バナナ”アナログ盤がPHILEWEBドットショップに再登場!

PHILEWEBドットショップ

 The Velvet Underground & Nico(ヴェルヴェット・アンダーグラウンド & ニコ)の『UNRIPENED』は、彼らの歴史的なデビューアルバム(通称「バナナ・アルバム」)の公式リリース前に制作された幻のアセテート盤音源を収録した作品である。長らく熱心なファンの間で伝説となっていた音源であり、愛蔵すべき1枚だ。



ヴェルヴェット・アンダーグラウンド & ニコ (VELVET UNDERGROUND & NICO) /UNRIPENED


 



 


幻の「アセテート盤」音源


1966年4月、アンディ・ウォーホルらの支援のもと、ノーマン・ドルフのプロデュースによって録音された最初期のセッションが元になっている。この音源は当時コロムビア・レコードに持ち込まれたが、ドラッグなどを扱う歌詞が過激すぎるとして契約を拒否され、そのままお蔵入りとなっていた。後にMGM/Verveと契約し直してデビューすることになるが、本作はその前の非常に貴重な記録である。


公式デビューアルバムとの違い


のちに公式リリースされるデビュー盤とは異なり、別テイクや別ミックスが収録されているのが最大の魅力だ。音は全体的に荒々しく、よりノイジーで生々しい初期衝動を感じさせるサウンドが特徴である。


収録曲は「Heroin」「I'm Waiting For My Man」「All Tomorrow's Parties」「Run Run Run」、そしてニコが歌う「Femme Fatale」など、1stアルバムに収録される名曲のアーリー・バージョンを堪能できる。特に「European Son」などは、公式盤と展開が大きく異なることで知られている。


ジャケットの違い(青バナナ)


アンディ・ウォーホルがデザインした有名な「黄色いバナナ」のジャケットに対し、この『UNRIPENED』などの初期アセテート音源を収録した作品群では、意図的に「緑色(果物などが青い、熟していない=UNRIPENED)のバナナ」のジャケットが使われている。


もともとはニューヨークの路上で75セントで売られていたアセテート盤から発掘されたと言われており、長らくブートレグ(海賊盤)として流通していたが、2000年代以降にCDやLPとして公式・半公式に復刻・流通するようになり、手軽に聴けるようになった。ヴェルヴェッツのルーツを知る上で、非常に重要な一枚である。


アセテート盤(ラッカー盤)とは


アセテート盤(Acetate disc)とは、レコードの大量生産を行う前に、スタジオでの試し聴き(テスト)やラジオ局へのプロモーション目的で、特別に数枚だけ直接カッティング(録音)されるテスト用レコードのことである。「ラッカー盤」と呼ばれることもある。


市販のレコードは、金型(スタンパー)を作って塩化ビニールをプレスし大量生産する。しかしアセテート盤は、カッティングマシンを使ってレコード盤に直接針で溝を削って作られるため、基本的に世界に数枚しか存在しない。


ラッカーの層は塩化ビニールに比べて非常に柔らかく、レコード針を落として再生するたびに溝が少しずつ削れてしまう。数十回再生すると「サーッ」というノイズが増え、音質が劣化してしまうため、長期保存や鑑賞には向いていない。


路上での奇跡的な発掘劇


『UNRIPENED』の元となったアセテート盤の発見劇は、レコードコレクター界隈における「歴史上最も有名な発掘ストーリー(トレジャーハンティング)」の一つとして語り継がれている。


2002年9月、カナダ・モントリオール出身のレコードコレクター、ウォーレン・ヒル(Warren Hill)が、ニューヨークのチェルシー地区を歩いていた時のことだ。彼は路上のフリーマーケット(ガレージセール)で、段ボール箱に入った古いレコードを漁っていた。その中に、レーベル面にアーティスト名もなく、ただ手書きで曲名と「1966年4月25日」という日付、そしてプロデューサーである「ノーマン・ドルフ」の名前だけが書かれた金属製のテスト盤(アセテート盤)があった。


ヒルは「もしかしたら何かの海賊盤ライブ音源かもしれない」と軽い気持ちでそれを購入した。その時の値段は、わずか75セント(約100円程度)であった。


音源の正体判明


その後、友人のレコード店主とともにその盤をレコードプレーヤーにかけてみた彼は、すぐにそれが「ただの海賊盤」ではないことに気づく。そこから流れてきたのは、名盤『The Velvet Underground & Nico』に収録されている名曲群の、「誰も聴いたことのない別バージョン」だったのだ。


調査の結果、それは1966年4月にニューヨークのセプター・スタジオで録音され、コロムビア・レコードに持ち込まれて一蹴された「幻の初期セッション音源」そのものであることが判明した。世界に1 - 2枚しか存在しないと言われるテスト盤が、なぜかニューヨークの路上に数十年間も眠り、奇跡的に再生可能な状態で残っていたのである。


伝説のeBayオークション(2006年)


音源の歴史的価値と希少性を確信したヒルは、2006年後半にこのアセテート盤をネットオークションの「eBay」に出品した。最終的に15万5401ドル(当時のレートで約1800万円)という途方もない価格で落札され、大きなニュースになった。


※補足:ただし、この最高額落札者は最終的に支払いを放棄したため、その後再出品され、最終的には2万5200ドル(約300万円)で売却されている。


ブートレグ化、そして公式リリースへ


このオークションをきっかけに、アセテート盤に収録されていた音源のデジタルコピーが世に出回り、2007年頃に『UNRIPENED』というタイトルのブートレグ(海賊盤)CDとしてアンダーグラウンド市場に流通し始めた。


その後、この音源の歴史的価値が公式にも認められ、2012年にリリースされた『The Velvet Underground & Nico』の45周年記念スーパー・デラックス・エディションにて、ついに「セプター・スタジオ・セッション」として公式発表されるに至った。


75セントで買われたボロボロのレコードが、ロック史の空白を埋める超一級の歴史的資料となったのである。



 

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