公開日 2025/12/23 12:19

カーオーディオの頂点からホームへ──AV Kansai岩元秀明氏が構築した理想郷。京都・宇治に誕生したハイエンドショールーム

「本格的な音と映像が体験できる場所」として注目を集めるAV Kansaiの実態

オーディオファン、ホームシアターファンの間でいま話題となっているのが、京都・宇治の穏やかな住宅街に佇むAV Kansai京都ショールームだ。「本格的な音と映像が体験できる場所」として注目を集めつつある。

30年以上にわたりカーオーディオ、ハイエンドシアターの施工やシステム提案を行ってきた、AV Kansaiを率いる岩元秀明氏が、自らの経験と理想を注ぎ込んだショールームを構築したのだ。

1階にはハイエンドオーディオ、3階には本格シアタールーム。住空間における最高峰の「音」と「映像」を、実際の生活スケールで体験できる場となっている。


1階はハイエンドオーディオのショールームとなっている


シアタールームは3階

赤い「Project K2」が象徴する、突き抜けたピュアオーディオ空間

ショールームの扉を開けた筆者がまず目を奪われたのが、赤いキャビネットをまとったJBLのProject K2。Project K2を導入したショールームやお宅は多々拝見しているが、赤いキャビネットは見たことがない。その存在感は圧倒的だ。

京都・宇治の静かな環境との対比が生むインパクトは大きく、このショールームが「本気のオーディオを体験するための場所」であることを一瞬で理解させる。

1階はピュアオーディオ専用フロアとして設計されており、機器の配置、配線経路、ルームアコースティックまで徹底的に最適化を図っている。

カーオーディオ時代から培ってきた岩元氏の緻密な施工技術が、そのままホームのオーディオ環境に持ち込まれているのだ。

「まずは純粋な音の魅力を体験してほしい」――そんな岩元氏の思想が、このフロア全体にストレートに現れている。

カーオーディオとホームシアター、二足のわらじで頂点へ

AV Kansaiの岩元氏と言えば、カーオーディオの世界で圧倒的な知名度を持つ。数十年以上にわたって、カーオーディオの数々のコンテストでは必ず上位に入り、日本を代表するカーオーディオインストーラーとして知られている。

また、ホームシアターファンにとってはハイエンドシアターやホームオートメーションのトップインストーラーとして知られている。カーオーディオ、ホームシアター、いずれにおいても圧倒的な存在感を示すインストーラーである。

だが、しかし、この京都ショールームの1階フロア、顔とも言える1階フロアを彩るのはカーオーディオではなくハイファイオーディオである。その理由を尋ねると、岩元氏はこう語る。

「中学生の頃からホームオーディオが好きでした。だからずっとホームオーディオをやりたいと思っていました」

いつかはホームオーディオを!と考えていた岩元氏は、カーオーディオからキャリアをスタートし、2002年からホームシアターのインストールを開始。そして両方の世界で確固たる地位を築いた。

そしてついに、2年前にこの京都店をオープンして、ハイファイオーディオを本格的にスタートした。

AV Kansaiを率いる岩元秀明氏。カーオーディオ、ホームシアターでは著名インストーラーとして知られている

ショールーム全体に宿る “AV Kansaiらしい美意識”

ショールームの場所として選ばれた京都・宇治は、平等院に代表されるように、歴史と自然に包まれた静かな土地だ。

岩元氏は「古民家が残る京都という地域に、自分が理想とする “音の居場所” をつくりたかった」と語る。カーオーディオやホームシアターでの住宅の内装デザインを長年見続け、なおかつ携わり続けてきた経験が、ショールーム全体の質感や色使い、さらには製品選びにも反映されている。

前述した赤いキャビネットを纏ったProject K2だけでなく、流線形が美しい白いキャビネットのKEFのBlade、重厚なB&W 801 D4。

白眉なのがTANNOYのGRF。「昔から憧れていて、いつかはほしいと思っていた(岩元氏)」GRFをAIR TIGHTの真空管アンプで鳴らす。昔からの思い入れはあっても、決して懐古趣味ではなく、ここでは生き生きと音を鳴らす。

ブランドもタイプも異なるシステムが並べられているが、不思議と統一感がある。表現が難しいが「AV Kansaiらしい」ラインアップであり、システム構成だ。その疑問を口にすると、「ここに置いてある製品はすべて自分でほしいと思ったものばかり」。

岩元氏と会話を続けていると、この統一感のヒントが見つかる。「カーもホームも『良い音』は同じです。好みの違いはあっても、人間の耳に届く音に絶対的に『良い音』というはある」「ホームシアターも(コンテンツは)音楽ではなく映画になりますが、やはり『良い音』という基準は同じです」

そう、このショールームに貫かれているのは、岩元さんの長年の経験を踏まえた『良い音』なのだ。

 

岩元氏が導き出した“劇場クラス”の本格シアター

3階のシアタールームに入る。さすがに、ホームシアターインストーラーとして20年以上もキャリアを積んだ岩元さんならではの安定感がある。

注目したいのがオーエスの「張り込み式スクリーン」を採用している点だ。ロールスクリーンと異なり、スクリーン面がフラットで、たわみや波打ちが一切ない。これにより、映像の微細なディテールやHDRの階調、暗部の沈み込みなど、プロジェクターのポテンシャルを余すことなく引き出せる。

プロジェクターはJVCの「DLA-V900R」。8Kの解像度と圧倒的なネイティブコントラストが、張り込み式スクリーンと組み合わさることで劇場クラスの映像体験を実現している。

JVC DLA-V900Rの映像がオーエスの張り込み式スクリーンでひと際映える。専用室であればやはり張り込み式スクリーンを選択すべきだと実感させられる

岩元さんお気に入りの『グラディエーターII』を視聴させていただいたが、スクリーンに映し出される黒は深く、明部は瑞々しく、暗闇の中に浮かぶ光の粒立ちは思わず息をのむほど。きらびやかな装飾品の輝きも素晴らしく、DLA-V900Rのポテンシャルを余すところなく引き出していた。

「音はもっと追い込めるはず」と岩元氏は謙遜するが、いやいやKEFで構築されたシステムは立体感があり、迫力に満ちたサラウンドを聴かせる。

サラウンドはKEFを使用したドルビーアトモス仕様

そして再び動き出す「ホームシアターグループ」

実は筆者は、岩元氏と20年以上の付き合いがある。岩元氏がホームシアターのカスタムインストールをスタートした時からの付き合いになる。

当時、既にカーオーディオの世界では数々のコンテストの上位受賞を総なめにしていて、その名前は全国に響いていた。その時はAV Kansaiをはじめとする「ホームシアターグループ」を立ち上げたタイミングだった。

岩元氏はこう語る。

「もう一度新たにホームシアターグループを再編して、再スタートを切ります。いまその準備をしています。ホームシアターグループのメンバーも入れ替わり、気持ちも新たにスタートする予定です」

今後の展開が気になるところだ。近々当サイトでリスタートを切ったホームシアターグループの記事をお伝えできることだろう。

楽しみにお待ちいただきたい。

ホームシアターグループの再始動も近い

■ショールーム情報

・店名:AV Kansai 京都店(要予約)
・住所:〒611-0041 京都府宇治市槇島町薗場29-79
・サイト:https://www.avkansai.co.jp/

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