住宅は「OS」を持つ時代へ。ホームシアターから始まった「住宅OS」の進化 LWL online、CEDIAが育んできたスマートホーム思想を読み解く特集を展開
音元出版が運営するラグジュアリーライフスタイルメディア「LWL online(Living Wellness in Luxury)」は、2025年12月から2026年1月にかけて、【スマートホーム/ホームオートメーション特集】を展開している。
本特集は、近年語られることの多いIoTガジェット中心のスマートホームとは一線を画し、ホームシアターを起点に発展してきた「Home OS(住宅OS)」という思想と、その現在地を掘り下げる内容となっている。

すべては「AV機器(と照明やカーテン)をまとめて操作したい」という欲求から始まった
建築統合型スマートホーム、いわゆるHome OSの中核を担うCrestronやControl4といった統合型プラットフォーム(いわゆる司令塔)は、もともと照明や空調のために生まれたものではない。
その原点は、ホームシアターを楽しむ際に、プロジェクター/スクリーン/AVアンプ/再生機器などのAV機器と、照明やカーテン(シェード)を連動して、誰でも直感的に簡単に操作できるようにしたいという、AVファンの切実な要求だった。
「映画を見る」という行為のために、複数のリモコンを使い分けるのではなく、ワンタッチで「正しい状態」を呼び出すこと。これこそが、CEDIA(Custom Electronic Design & Installation Association)を中心に育まれてきた、スマートホームの原点である。

ワンタッチ操作が生んだ「Home OS」という発想
ホームシアターの現場では早くから、「AV機器単体の性能」だけでなく、「照明を調光して緩やかに消していく」「カーテンやシェードをAV機器にあわせて閉める」「空調を静音モードに切り替える」といった空間全体の連動が、ホームシアター体験の質を大きく左右することが知られていた。
AV機器の統合制御から始まったオートメーションの思想は、2010年頃から「住まい全体を一つのシステムとして扱う=住宅OS(Home OS)」へと進化していく。
LWL onlineの本特集では、この流れを「結果論」ではなく、AV体験を突き詰めた必然としての進化として捉えている点が特徴だ。
ちなみに、PHILE WEBでは、AV機器の統合制御から始まったホームオートメーション由来のHome OSの可能性についていち早く言及している。ホームシアターの延長線上にある「建築統合型スマートホーム」
欧米では、CEDIAを中心に発展したAVインテグレーションの思想が、やがて照明・空調・遮光・セキュリティへと拡張され、建築そのものに組み込まれるホームオートメーションへと発展していった。
Home OSの原点は、「家電を便利に操作する」ためのIoTガジェット起点のスマートホームではない。Home OSは最良の音響・映像体験を成立させることから始まった、住環境全体を制御する思想である。
LWL onlineの特集では、こうしたHome OSの成り立ちを踏まえたうえで、現在のスマートホームがどこまで到達しているのか、そして日本の住宅において何が課題となっているのかを掘り下げていく。
AVファンにこそ読んでほしい特集
前述したとおり、AV機器、照明、遮光、空調、生活動線が噛み合うことで、ホームシアター体験の質は向上する。
映画大国アメリカのホームシアターでは、90年代からホームシアター体験のクオリティアップを目指してワンタッチコントロールを試行錯誤してきた。
LWL onlineの本特集は、「ホームシアターの体験価値」を支えるのは機器だけではなく「Home OS」であるという視点を、AVファンにも改めて提示する内容となっている。



