「レコード持って出かけよう!」アウトドア趣味がもっと楽しくなる、オーレックスのポータブルプレーヤー
オーディオに熱中してますか?
楽しく、真面目に、そしてどっぷりとオーディオの楽しさに誘惑しちゃうぞ、というコンセプトで皆さんに提案していく連載「オーディオを、遊ぼう! “ザ・良音計画”」。第1回、トライオードの真空管アンプキット「TRK-3488」組立レポートはご一読いただけただろうか?
これに続く第2回のテーマは「レコードをアウトドアで楽しもう!」。本稿の出演は2台。主演はオーレックスのワイヤレスレコードプレーヤー「AX-RP10」。助演はJBLの大ヒットポータブルBluetoothスピーカーの最新型「Charge 6」である。
アウトドアでレコードを聴く! 「なぜ外で?」とは聞かないように! 君のキャンプシーンでもウケるぞきっと。
いずれ劣らぬオーディオの著名ブランドだ。JBLはアメリカ発スピーカーのまさしく代名詞的存在。特に近年では、世界的に愛好者を増やすアウトドアシーンにマッチする大小のBluetoothスピーカーでヒットを連発。従来からのJBLファンとは違う、Z世代などへのリーチに成功している。
JBLの古い歴史や往年の傑作スピーカーの数々は知らなくても、JBLのワイヤレススピーカーならお馴染み、むしろ使っているよ、という逆転現象(?)すら起きているほどだ。純粋なオーディオ発祥ブランドとしては大成功している老舗と言っていいだろう。
続いてオーレックスに目を向けてみる。JBLとはその歴史、歩みにおいて異なるが、共通するのはサブスクなどで音楽を日常的に楽しむ、若年世代へのリーチに取り組んでいる点だ。現在のオーレックスは2023年にリブランディングされた新生と言うべき存在で、ロゴタイプも往年の「aurex」から「AUREX」へと改められた。リブランドから2年ということもありラインナップはまだ少数精鋭だが、中でもBluetooth対応カセットプレーヤーの「AX-W10(Walky)」シリーズはAmazonでもセグメント売上トップを競う大ヒットを記録している。
針を落とす「作法」こそレコードの醍醐味
今再び、レコードだけがもつメディアとしての魅力が注目されている。アツい音質、黒くて大きな盤面、インテリアにもなり得るジャケットなど、それらは物理メディアレスの昨今における絶妙なカウンターパンチ。しかし、もっとも大きな魅力はその「聴く作法」だろう。
盤をターンテーブルに置いて針を乗せる。回転させることで針がレコード溝を引っかく音(!?)を聴くという一連の手順、作法、つまりはその面倒こそが大きな魅力なのである。細い針で溝をトレースする以上、振動は禁物。ゆえにレコードは家で聴くのが当然、いや家でしか聴けないものだった。
“心、踊る” をスローガンに掲げるオーレックスとしては、このレコード再興に黙っていられなかった(笑)のだろう。レコードが心躍るリスニング体験であるなら、オーレックスもやらなければならない、これは宿命だ!
オーレックス「AX-RP10」とサウンドバーガーは真っ向勝負のライバルであり、バッテリー内蔵型であること、Bluetoothでスピーカーやイヤホンとのワイヤレス接続ができること(ケーブル接続もできる)、さらにはリッド(フタ)を備え安心して持ち運べることなど、主な特長は共通している。
左からボリュームダイヤル、ラインアウト(ヘッドホン)端子、本体充電用のUSB Type-C端子。ヘッドホンはもちろん、コンポに出力する際も本体ボリュームはイキとなるのでご注意ください。
相違点としてはアームリフターの有無が大きい。「AX-RP10」はアームリフターを備えるため特にビギナーがキンチョーする盤への針の上げ下ろしが楽に行えるのだ。また本体後部にジャケットを飾るためのスリット(溝)が設けられるなど、後発ならではの楽しいアイデアが盛り込まれている。
「オーディオを、遊ぶ」という本連載の趣旨からすれば、スペックを比較検討してウンヌンするより、好みにピンとくるもの、見た目が気に入ったものを選ぶのが大正解。そういう意味では、カラバリや限定モデルの展開も行っているサウンドバーガーの方が、ガジェットとしての選び甲斐があると言えるかも知れない。
レコード+ワイヤレス=アウトドア!
「AX-RP10」の本領発揮を知るならアウトドアで聴くのがいい。そこで検討すべきがワイヤレスのポータブルスピーカーだ。同じオーレックスから選べばデザイン上のマッチングもいいが、なんとなく遊んでいない気がするし、なによりど真ん中ヒットモデルを選んでおけば間違いないというワタシの保守性が邪魔をする。というわけでJBLに即決。ワイヤレスでポータブル。防水、防塵、耐衝撃性をも備えるのでアウトドア適正はバツグンである。
今回チョイスした「Charge 6」は筒形ボディのパワフルサウンドに加え、その名の通り、スマホなど外部機器への充電機能も備えるニューモデルである。
2台で約2.5s程度、バックパックに丸っと収まるサイズ感だ。じゃあ行ってみましょうか、アウトドア “レコード” リスニングへ!
PHILE WEB編集部からほど近い神田川沿いをそぞろ歩く。いい感じのスペースを見つけて機材を取り出し、Bluetooth接続を完了。最初にかける一枚を選ぶ。何をかけるかでこれからのアウトドアレコードライフが方向づけられる気がするから不思議である。みなさんもそういう経験ありませんか? 新品で買ったアンプやスピーカーで最初に何を聴くかで機材との将来を占われるような……?
そんなオカルトな思い(というより冗談)は別にして、テーマを設けて選んだのがアイルランド出身のギタリスト、ゲイリー・ムーアと彼のバンドG-FORCEのレコードだ。
G-FORCEはゲイリー・ムーアが1980年に組んだハードロックバンドで、アルバムとしては1枚のみで解散している。当時の英国ミュージシャンがアメリカ市場でのヒットを狙ってアメリカナイズしていったように、G-FORCEもまた1978年デビューのヴァン・ヘイレンあたりをベンチマークに成功を狙ったのではないかと思われる。
持参したG-FORCEのレコードはいずれも本国MADE IN ENGLAND盤。(写真左から)(1)フルアルバムの黒盤(通常盤)、(2)フルアルバムのピクチャーディスク。さらにGARY MOORE & FRIENDS名義ではあるが、同じJET RECORDS時代の(3)45回転シングルも加えた。試聴のポイントは(1)と(2)で音の差はあるのか? (3)45回転シングルは音が良いというのは本当か? である。
「ロックはラジカセが調子いい!」の虚実
結論から申し上げますと、いずれもノリ良く、調子よく、アウトドアレコードリスニングを満喫できた。先に上げた試聴ポイントについては、雑踏のアウトドアでは比較が難しかったため自宅で再度試したが、(1)と(2)の盤の造り(素材)による音質差については、わからなかった。ただ同じであるならピクチャーディスクの方が楽しいのは確かだ。なにしろ絵がぐるぐる回って、視覚でも楽しめる。録音はやや団子気味ながら、ソロパートではバツグンにギターサウンドの見通しが良くなり、なるほどこれがギターヒーローの作品であることを思い知らされた。
80年代前半といえばMTV人気により12インチ盤のロングバージョン/エクステンデッドバージョン・シングルが多く発売された。12インチの45回転シングルは、例えるならVHS3倍録画に対する標準録画で音質的に有利とされていたし、なにより長い時間収録できた。(1)(2)と(3)は同曲の比較試聴ではないが、同じレコード会社でほぼ同時期の録音である。
(1)(2)がナローな中央集権型団子録音なのに対し、(3)は押し出しの強いドンシャリで音の分離も改善され、ベースの動きが判りやすいからリズミックに感じられる。よってノリがよい。同時期の同バンドの録音とは言えさすがにここまでの違いが回転数だけに由来するはずはない。プロデューサークレジットの有/無があるので、職人仕事の相違によるものと判断すべきだろう。
80年代にメジャーレコード会社でディレクターをしてした知人が「ハードロックとかヘヴィメタルはラジカセで聴くのが気持ちいい!」なんて言っていたが、さもありなん。ただし今回の場合、JBL「Charge 6」の個性が大きく反映されたサウンドであることを忘れてはならない。
もしも家のステレオにつないだら?
ちょうどというのもヘンだが、わたしはレコードプレーヤーを持っていない。しかし「AX-RP10」はフォノイコライザー内蔵だからコンポに直結できる……。ならやってみましょう! 偶然だがスピーカーはJBL製で「J316PRO」という小さなモニターだ。
いつもの環境に滑り込ませたレコードサウンドのなんと魅力的なことか! さっきまでこもって感じられた(1)(2)のサウンドが、勢いある音の塊として迫ってくる。ハイファイとは言えないがそこがいいんじゃない! (3)の45回転シングルになるとよりゲイリー・ムーアの存在感が際立ち、「俺もこんなふうに弾けるようになりたい!」と大勢のギターキッズを触発したに違いない。
さあ、もういちどオーディオを新体験してみないか? オーディオは君がドアを叩くのを待っているぞ。
編集部注:公園等の公共の場所でのスピーカー使用については、当該施設のルールを守り、周囲の人々への配慮を持ってご利用ください
































