ガジェット 公開日 2025/05/20 10:46

ソニー、“着るクーラー”に上位モデル「REON POCKET PRO」登場。冷却面積/吸熱性能/駆動時間が2倍に

ビジネス用途を想定して各種強化
Gadget Gate
編集部:平山洸太
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ソニーサーモテクノロジーは、ウェラブルサーモデバイスキット「REON POCKET PRO」を5月20日に発売する。価格はオープンだが、税込27,500円前後の実売が予想される。また、「REON POCKET TAG」とのセットを29,700円前後、専用ケースを3,300円前後で用意する(どちらも想定価格・税込)。

首元に装着することで、肌に接触する体表面を直接冷やしたり温めたりできるデバイス。既存モデル「REON POCKET 5」の上位モデルとして、冷温部面積を2倍に拡大。最大約2倍の吸熱性能と最大約2倍の駆動時間を実現したとしている。

初代「REON POCKET」は2019年にクラウドファンディングで初投入。2020年に事業化を開始してから発売した「REON POCKET 1」は販売開始2日で初回出荷分の1万台を完売したという。そこから毎年モデルチェンジを重ねてきており、2024年には現行のREON POCKET 5を発売している。

REON POCKET 5は「小型軽量、スマート冷却」がコンセプト、今回のREON POCKET PROは「強力な冷却と長時間駆動」の上位モデルとして、今後は2モデルで展開していく。REON POCKETは後述する基本性能やバッテリーの強化により厚みが増しており、質量も100g近く増えている。

またREON POCKET PROではグローバル展開も拡大を予定。すでにREON POCKET 5を展開しているシンガポール、マレーシア、タイ、ベトナム、英国だけでなく、台湾、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、バーレン、カタール、フランス、ドイツ、スペイン、オーストリア、イタリアにも発売を予定する。

REON POCKET PROの大きな特徴が、従来1つだったサーモモジュールを2つに増やした「DUALサーモモジュール」の採用。これによって冷温部面積が約2倍に増大し、 “ほぼ全面冷却” を実現している。サーモモジュール自体はREON POCKET 5と同様のものを採用。なお、サーモモジュールはペルチェ素子とも呼ばれており、電圧を加えることで片側が冷え、片側が発熱するというものだ。

さらに、各モジュールを交互に駆動して冷却することで、常に冷たい感覚が持続するようなシステムを新たに導入。既存モデルは冷却した温度に肌が慣れると、冷たく感じにくくなるというユーザーからのフィードバックがあったという。波形のように強弱をつけながら交互に冷却させる制御となっており、温度センサーの数値を加味しつつ基本的には10数秒の周期で入れ替えていくとする。

放熱構造も新たに開発しており、これによって冷却性能を示す吸熱量も従来比最大2倍を実現。サーモモジュールの熱は、新たに搭載したベイパーチャンバーで吸い取り、大型のヒートシンクからファンで放熱するようになっている。細かいポイントだが、ベイパーチャンバーを体のカーブに合わせて曲げることで、より多くのユーザーの肌に冷温部が接触できるよう設計している。

また、ヒートシンクとファンも大型化している。特にファンについては厚みや大きさを従来から増やしたり、ブレードの形状を見直したりすることで、風量を2倍を大きく上回る水準に強化。ファンの回転数を落としても風量を確保できることで、従来から動作音を約50%低減したとしており、エレベーターや会議室、電車内といった人のいる場所でも使いやすくなったとアピールする。

冷温部の下部分には、新たに接触センサーと温度センサーを追加した。これによって、冷温部の状態だけでなくユーザーの装着・脱着状態をセンシングできるようになり、冷却・温熱を自動で開始・停止する「AUTO START/STOP」機能の精度が向上している。

バッテリー容量も従来の1500mAhから3000mAhに倍増させることで、従来比最大約2倍となる約34時間(COOLレベル1)の駆動時間を実現させている。また本体側面には操作ボタンを搭載することで、COOL/WARMモードの切替やレベルの選択、電源のオンオフといった操作がスマートフォンなしで利用できる。

なお、操作ボタンを搭載した背景として、スマートフォンを使用できないビジネスシーンからのフィードバックがあったとのこと。また、そもそも冷却能力を強化させた理由として海外展開も大きいとしており、温度の高い中東をはじめとした国々や、体型が大きい欧米の人々に対しても十分な冷却を確保する目的もあったという。

本体カラーは従来のホワイトではなく、ビジネスシーンを想定し、白のワイシャツでも透けにくいようなライトグレーを採用する。放熱した空気を吐出するエアフローパーツについても、ワイシャツ等を想定した短いもの、ジャケット等を着用しても空気の流れを妨げないような長いものの2種類が付属している。

ほか、ネックバンドについても新たに設計。バンドは従来同様の3層構造となっており、形状を司るワイヤーフレームを芯に、形状を維持するメカニカルフレキシブルチューブ、表面には肌触りの良いシリコンラバーを採用している。加えて、先端には柔らかいシリコン製のバンドサポーターを新たに設けている。

冒頭の通り、本体単体に加えて、「REON POCKET TAG」をセットにしたセンシングキットも用意する。REON POCKET TAGは、湿度/温度/照度/加速度/近接の5センサーを内蔵したデバイスで、外気温を加味した動作をREON POCKET PROが行えるようになる。このタグとの組み合わせで使える「SMART COOLモード」も進化しており、ユーザーの行動や周囲環境の温度を推定、状況に応じて冷却を強くすることで、最長15時間の使用が行えるとする。

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