公開日 2025/05/12 13:15

パナソニック、新有機ELパネル「プライマリーRGBタンデム」搭載のフラグシップ4Kビエラ「Z95B」

フラグシップ・4K有機ELテレビ6年ぶりのフルモデルチェンジ
編集部 : 伴 修二郎
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パナソニックは、新世代有機ELパネル「プライマリーRGBタンデム」を搭載した4Kテレビ “ビエラ” のフラグシップ・4K有機ELテレビ「Z95B」シリーズを6月下旬より発売する。価格はオープンだが、ラインナップと税込の市場予想価格は以下の通り。

「Z95B」シリーズ

Z95Bシリーズ
・65型「TV-65Z95B」 530,000円前後
・55型「TV-55Z95B」 380,000円前後

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65型モデル
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55型モデル

Z95Bシリーズは、フラグシップ・4K有機ELテレビ6年ぶりのフルモデルチェンジを行った、2024年度モデル “Z95Aシリーズ” の後継機。大きく刷新された筐体デザインと共に、画質や音質を従来から大きく進化させたとアピールする。

フラグシップ・4K有機ELテレビ6年ぶりのフルモデルチェンジを実施

大きな特徴として、これまでフラグシップ有機ELテレビで採用していたマイクロレンズ有機ELに変わり、Z95Bシリーズでは新たに新世代有機ELパネル「プライマリーRGBタンデム」を搭載する。

従来の有機パネルでは、発光層が青、黄色(赤+黄+緑)、青の3層構造だったのに対し、今回のプライマリーRGBタンデムでは発光層が赤、濃青、緑、濃青の独立した3色に分かれた4層の新構造を採用。加えて最新の青色の発光層採用により光の波長を最適化したことで、発光効率の向上による輝度とコントラストの向上、そして光の純度アップによる広色域化を実現し、「前世代機からもう1段階ステップアップした画質を実現した」という。

発光効率と光の純度向上により高輝度化と広色域化を実現

また、このプライマリーRGBタンデムの発光性能を最大限引き出すためには、パネルからの放熱を素早く逃がす放熱管理も重要であると同社は指摘。従来の独自素材を用いた貼り付け構造とバックカバー一体型放熱プレートを用いた独自構造から、刷新された新デザインによって実現した、独自の筐体内部構造を用いる特許出願中の新パネル空冷技術「サーマルフロー」を採用する。

発光性能を最大限引き出すため新パネル空冷技術「サーマルフロー」を採用

サーマルフロー技術は、レーシングカーの設計にも活用される空気の流れをコントロールする技術「エアロダイナミクス」を放熱設計に用いて、空気の流れを見える化する流体シミュレーションを駆使し、試作と検証を何度も繰り返したことで開発できた新構造と説明する。

流体シミュレーションでは、放熱のために開けている通気孔がかえって空気のスムーズな流れを妨げている点と、パネルなどの放熱を筐体の内部構造が妨げているという2点の課題を特定したという。

その課題に対してサーマルフロー構造では、通気孔の位置およびウーファーをはじめ内部構造物の配置を刷新。空気の流れを最適化するため、背面真ん中に位置することで乱流を発生させる要因となっていたウーファーを上面に移動させ、上下にある通気孔を背面部にフラットに設置する設計とした。

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背面部。ウーファーの位置を真ん中から上面部に移動させ、通気孔の配置も刷新した
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煙に模した空気の流れを見える化したデモ。写真右のZ95Bの方が煙の放出量が多いことが分かる

これにより、従来よりも下部から吸気した空気を素早く廃棄してよりスムーズな気流を実現。さらなる放熱効率の改善を促し、有機ELの発光効率をさらに高めることに成功したという。

独自のパネル制御技術「Bright Booster」も進化した。本技術は、パネルの発光状態を「3次元映像信号解析」と「温度センサー」を用いて画素毎に管理し、リアルタイムでパネル発光性能を解析してフィードバックすることでパネルの発光性能を最大限に引き出すというもの。

今回はそのリアルタイムパネル発光性能解析がアップデートされており、新たに開発した独自の熱解析シミュレーションの結果を参照してパネル制御に反映させることで、有機ELパネルの性能をより引き出し、さらなるコントラスト向上を実現したという。

進化した独自のパネル制御技術によって高コントラスト化を実現

ほかパネル制御の面では、画素単位で明るさや色情報を制御し、画面上の明るさの分布、入力信号状況をエリア毎に解析して、その解析結果をパネル制御に反映させる「Dot ContrastパネルコントローラーPro」も盛り込まれている。

高画質エンジンは、「新世代 AI高画質エンジン」を25年モデルとしてアップデート。シーンや環境光に連動した自動画質調整機能「オートAI画質」や、元素材の情報量に応じて最適に合成する新世代の超解像技術「デュアル超解像」、圧縮の大きいネット動画で多発するバンディングノイズを抑制する「ネット動画ノイズリダクション」、映画製作者の意図した映像を忠実に楽しむことができる映像モード「FILMMAKER MODE」などを引き続き備える。

映画製作者の意図した映像を忠実に楽しむことができる映像モード「FILMMAKER MODE」も備える

25年エンジンによる新機能としては、独自の映像処理アルゴリズムを用いた「ダイナミックディテールエンハンサー」を搭載。映像のガンマを微細なエリアごとに個別に調整してくれることで、よりクッキリとした解像感あふれる映像を表示できるとアピールする。

独自の映像処理アルゴリズムを用いた「ダイナミックディテールエンハンサー」を搭載

2024年度「4Kビエラ」に引き続き、Amazon全面協力の基に開発された「パナソニック専用Fire TV OS」を搭載し、多数のVODサービスに対応。また、Fire TV面の進化として、Prime Video向けの画質モード「Prime Videoキャリブレーションモード」が2025年度有機ELモデル全てに追加された。

Prime Videoの映像制作部隊からの意見を元にした、映画やビデオコンテンツに最適な画質に自動調整するというモードで、映像クリエイターの意図を忠実に再現する本格的な映像体験が味わえるとのこと。なお、本モードはPrime Video接続のもと映像モードからオン/オフが行える。

Prime Video向けの画質モード「Prime Videoキャリブレーションモード」が追加

HDMI入力では4K/144pまで対応し、テレビでありながら本格派ゲーマーの要求に応える仕様と謳う。また、最新フォーマットのDolby Visionの144Hzもフォロー。VRRの周波数レンジも最大144Hzの幅広いカバー率を実現する。

サウンド面では、Z95Aシリーズの「360立体音響サウンドシステム+」をベースに、新スピーカーを採用した独自制御の大出力マルチスピーカーシステムを内蔵。新デザインによって上部に位置するイネーブルドスピーカーをより外に配置できるようになったことで、スピーカー同士の左右の間隔が前世代機の約2倍に増加した。

これにより、音場の広がりや音の動きのダイナミズムが向上し、まるでプレミアムシアターのような広大な音場や、より臨場感のあるボーカル再生が可能になったとする。

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スピーカー配置のイメージ
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イネーブルドスピーカーの配置を立体音響効果に最適化

スピーカー構成は、多数のスピーカーを線上に並べて前向きの音を鳴らす新ラインアレイスピーカーに加えて、高さ方向の音を表現する新イネーブルドスピーカーを2基、横方向に広がるサウンドを鳴らす新ワイドスピーカーを2基、そして新ウーファーを1基搭載。さらにパッシブラジエーターは従来の2基から対向配置で計4基に増加させている。スピーカーの実用最大出力は65型が160Wから170W、55型が150Wから160Wに強化された。

前世代機に引き続き、同社のオーディオブランド・テクニクスのサウンドチューニング「Tuned by Technics」を施しており、3DオーディオフォーマットのDolby Atmosもサポート、オプションで別途サブウーファーにも対応する。

テクニクスのサウンドチューニング「Tuned by Technics」を施している

AI技術を活用することで、映像コンテンツのシーンに応じて理想的な音場と音質にオートで調整してくれる音声モード「オートAI音質」や、テレビから再生したテストトーンを基に、天井や壁の距離や反射の影響を付属リモコンに内蔵されているマイクで測定、解析してテレビの設置環境やリスニングポジションに最適な音質調整を行う自動音場補正機能「Space Tune Auto」も搭載する。

マルチスピーカーの音場設定も視聴ジャンルにあわせて設定できる

また本体周囲のスピーカー部分は、画質と音質を強化しながら住空間とインテリアに調和するデザインを実現するため、全てパブリック素材で包みこんだ新デザインを採用している。

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本体周囲のスピーカー部分は全てパブリック素材で包みこむ新デザイン

ほかデザイン面では、レイヤー構造によって薄く見せるフルフラット薄型デザインを採用し、本体最厚部は前年の69mmから52mmまで縮小。ミニマルな佇まいや壁掛け時の奥行を縮小したという。

端子部分は着脱カバー備えるほか、電源ケーブルは着脱式を採用。スタンド底面の吸盤とテレビ台との間を真空に近い状態にするパナソニック独自の「転倒防止スタンド」、および首振りが可能なスイーベルも備えている。

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専用リモコンも付属
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首振りが可能なスイーベルを備える

 

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