公開日 2025/05/09 19:32

パナソニックHD、1万人規模人員削減。テレビ事業は「いろいろな可能性を検討」

パナソニック ホールディングスが2024年度年間決算・グループ経営改革説明会
編集部:竹内 純
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パナソニックが経営改革について説明。人員削減などを明らかに

パナソニック ホールディングス株式会社は、2024年度年間決算・グループ経営改革に関する説明会を開催。同社代表取締役 社長執行役員 グループCEO 楠見雄規氏が、経営改革について説明を行った。

持続可能な企業構造への転換を目指したグループ経営改革へ、固定費構造改革・収益改善、事業ポートフォリオマネジメントを加速させ、収益改善効果として2026年度1,500億円以上、2028年度3,000億円以上を掲げ、「今度こそROE10%以上、調整後営業利益率10%以上を必達したい」と力を込めた。

1,500億円の改善に向けた内容については、グループ経営改革で進める構造改革効果が1220億円。内訳は、本社本部改革(間接機能・オペレーションの集約・効率化など)で470億円、家電事業改革(分散した営業・間接部門の集約・効率化など)で330億円、事業部門改革(赤字事業の撤退・終息、拠点統廃合など)で420億円。「経営改革により収益を改善し、環境変化に強い体質を目指す」と説明した。

社員1人当たりの生産体制の高い組織への改革を目指し、人員をゼロベースで見直し、グローバルで10,000人(国内5,000人、海外5,000人)規模の人員削減を2025年度及び2026年度に行う。営業・間接部門の集約、事業終息・拠点統廃合、早期希望退職プログラムを実施する。

楠見社長は「変化の激し事業環境でも、耐性のあるリーンな体質に再構築し、お客様と社会へのお役立ちを果たし続ける。これだけの規模の人員削減は忸怩たる思い」と語るとともに、「徹底した効率化を一過性とせず、継続的に実施していく」と述べた。

1万人以上の人員削減を伴う構造改革の断行について、「中期経営計画を振り返ると大きく目標が未達になっている。販管比率が極めて高い状況にあり、固定費構造に大きくメスを入れないと、再び成長に転じることができない。急を要する」との考えを示した。

「営業利益率はそれほど悪くないように見えるかもしれないが、同業他社と比べるとまだまだ低収益。雇用に手を付けるのは忸怩たる思いで申し訳なく思うが、ここで会社の経営基盤を変えなければ、10年後20年後にこの会社を持続的に成長させていくことはできない」と訴えた。

経営計画は例年年度初めに発表されるが、構造改革について早めに24日発表したことで、幹部が重要性を理解し、多くの社員から会社を変えていきたいとの声が届いたというが、「今回の構造改革の規模からすると不安に思われることは間違いない。理解を求めるべく説明を続けていく。2月に発表ができたことで、そこへ行く道筋がまとまってきた。今から発表していたらできていなかった」と早期に発表した意義を強調した。

テレビ事業の今後はどうなる?

2月の発表で課題事業のひとつとして挙げられたテレビ事業については、収益の絶対値としては苦戦するものの、23年度から24年度へ向けて改善が見られた。

楠見社長は「テレビ事業はグローバルに厳しい事業構造にある。パートナーとの協業を取り入れ、ライトアセット化を行ってきたが、さらに改善をしていく必要がある。協業の一層の進化などいろいろな可能性を検討しており、現時点で決定していることはない」と語った。

ただ、認識しておいていただきたいこととして、「これからスマートライフの領域で進める家電の事業においては、日本や台湾、香港ではテレビは商材としては非常に重要。商品をお届けしながらサービスを継続する必要性を認識しながらこの改革を進めている」と説明した。

なお、見極めが必要な事業については、「その後の検討状況をお伝えしたいが、対応策が正式に決定した段階で順次お伝えしていく」とした。

2024年度の決算概要と見通しについては、執行役員 グループCFO 和仁古明氏が説明を行った。2024年度実績は売上高84,582億円、調整後営業利益4,672億円と、ともに公表値を上回り、非連結となったオートモーティブを除くベースで増収増益となった。2025年度の見通しは、売上高780000億円、調整後営業利益5,000億円の減収増益とした。

注目される米国関税の影響については、2025年度の見通しに織り込んでおらず、今後の動向を見極める必要があるとした。各事業で一定程度、北米での生産の基盤を築いており、短期・中長期の観点による対策を講じ、関税影響の最小化を図るとともに、調整後営業利益への影響額は、連結売上の1%未満になる見込みとの見方を示した。

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